性感染症といえば誰もが思い浮かべるのはHIVですが、日本においてその感染者数は年間800~900人ほどと、病気の深刻度を別にすれば多くはありません。
もっと身近なところでいえば、クラミジアは日本でも20人に1人は感染しているといわれる病気。10~20代の女性になるとその割合はさらに増えてきます。
ここまでくるともう「よくある病気」というレベルですが、そのくせクラミジアは、放っておくとHIVにも負けず恐ろしい症状を引き起こすからタチが悪いのです。
【性の雑学】クラミジアはどんな病気?対策にはコンドームが必須!
クラミジアは症状がほとんど出ない…
クラミジアはセックスの際に、「クラミジア・トラコマティス」という病原体が性器や口から体内に入ってくることで感染します。
症状としては男性の場合、排尿時に痛みやかゆみが出るなど。女性は子宮頸部に炎症を起こしますが、症状が出たとしてもおりものが水っぽいぐらいで、見た目はほとんどわかりません。また口からの感染の場合は咽頭炎など、風邪のような症状が出ます。
この「ほとんど症状が出ない」というのが、クラミジアの怖いところ。しかも症状が出るまで2週間ほどかかるため、セックスが原因だと気付かないことも多く、スルーしてしまいやすいのです。
どこからやってくるかわからない怖さがあるわけですね。
放っておくと不妊症になってしまうことも
前述のように、クラミジアは初期の症状こそごくごく軽いものですが、気付かずに放置していると、男女問わず不妊症の原因になります。
男性は精管が炎症を起こし、精液の分泌に異常が出たり、女性は卵管が炎症を起こして、二度と妊娠できない身体になってしまうこともあります。
すごく身近な感染症なのに、人生を左右しかねない症状を招くのです…。
また妊婦さんの場合、お腹のなかの赤ちゃんに結膜炎や肺炎など、深刻な影響が出てしまうことがあります。これだけの危険をはらんでいるのですから、予防はもはや必須…義務といっていいぐらいでしょう。
日頃からコンドームで予防しておこう
クラミジアにかからないためには、必ずコンドームを使ってセックスをすることです。性器同士が直接触れたり、コンドームなしで性器を口に入れたりしなければ移ることはないので、男性はなるべく早い段階からコンドームを付けるようにしましょう。
ちなみに挿入していなくても、性器同士が触れ合えば感染する可能性はあります。
コンドームは完全に勃起してから付けるものですから、この点に気をつけておかないと「コンドームをしていたのに感染した」ということもあり得るのです。
定期的にクラミジア検査を受けよう!
クラミジアは放っておくと怖い病気ですが、早期に発見して薬を飲めばすぐに治せます。症状では判断しにくいので、定期的に検査を受けるようにしましょう。頻度としては年1~2回といったところでしょうか。
HIVなどの感染症と同じく、保健所などで無料診断をやっている場合が多いので、合わせて受けると手間も省けますね。
「HIV検査相談マップ」では、クラミジアなどのほかの性感染症の検査をやっている場所も検索できるので、お近くの施設を探してみてください。
また感染が発覚した場合は、パートナーにも検査を受けてもらうようにしましょう。「相手が感染に気づいていなくて、せっかく治療してもまたすぐに移されてしまった」というパターンも多いです。
雑学まとめ
クラミジアはほかの性感染症に比べて特に身近なうえに、「症状がわかりにくい」「放っておくと不妊症になる」という怖い性質をもった病気です。毎回のセックスでコンドームを欠かさず使い、しっかり予防しましょう。
セックスでコンドームをすることは、いわば風邪のときにマスクをするようなものです。そう考えれば、必須のエチケットだという認識もより理解しやすいでしょう。