俳句の季語といえば、「桃の花」「雨蛙」などの自然の事象や「稲刈り」「潮干狩り」のようなイベントや風習、「秋時雨」「小春日和」といった天候…。
そんな時代に左右されない古風な言葉を想像することが多いのではないだろうか。そもそも俳句という文化に古風なイメージをいだく。
だが、どんな文化も時代に合わせてアップデートされていくもの。俳句も例外ではなく、実は俳句のイメージからは想像できない季語も存在するのだ。
今回はそんな、聞いてびっくり! 珍しい俳句の季語の雑学を紹介していくぞ!
【サブカル雑学】山下達郎・松任谷由実・サザンオールスターズは俳句の季語になっている
【雑学解説】俳句の季語では、ユーミンは冬、サザンは夏。達郎は夏と冬!?
かつて「東京ヘップバーン」という句会が存在した。彼らはそれまでの常識にとらわれない、時代に合わせた俳句の季語を生み出したのだ。そのなかに、「ユーミン」・「サザン」・「山下達郎」がある。
ユーミンは冬で、サザンは夏。山下達郎にいたっては、なんと夏と冬の2つの季節をカバーしている。一年の半分を達郎で詠むことができるのだ。
3組とも日本を代表するアーティストなだけあって、多くの楽曲を作っている。その功績があってなのかは分からないが、一つの季節の象徴として君臨できるのはすごいことだ。
ユーミンとサザンなんてまさに「冬」と「夏」がぴったり。
松任谷由実
春夏秋冬それぞれの季節にちなんだ曲を出しているユーミンこと松任谷由実だが、スキー場で流れるイメージが強い人も多いのではないだろうか。
「サーフ天国、スキー天国」「恋人はサンタクロース」「BLIZZARD」などバブルの時代に起こったスキーブームを牽引したユーミンの楽曲。
今でも苗場のスキー場で毎年コンサートを行っているユーミン。「スキー」、そして「冬」がユーミンの代名詞といっても過言ではないだろう。
サザンオールスターズ
ユーミンが「スキー」なのに対してサザンオールスターズはいわずもがな「海」である。夏になると海に行く車で誰もが流すサザン。「波乗りジョニー」「真夏の果実」など底抜けに明るくちょっぴり切ないサザンの楽曲たちはまさしく「夏」そのものだ。
山下達郎
「夏」と「冬」の季語、山下達郎はどうだろうか。往年のファンからしたら夏のイメージが強いようだが、筆者はどちらかといえば冬のイメージが強い。
それもひとえに、押しも押されもせぬド名曲「クリスマスイブ」のせいだろう。12月に入ると毎年耳にするこの曲。クリスマスの定番をつくった功績は大きい。
ところで、「やましたたつろう」は8文字。俳句は5・7・5の17文字だから、実に半分近くを埋めてしまうことになる。そして、絶対に字余りになってしまう…。俳人泣かせの季語である。
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【追加雑学①】他にもたくさん…変わった俳句の季語!
実はユーミンやサザン、山下達郎の他にも変わった俳句の季語はたくさんある。
ボートレース(春)
おじさんたちが舟券を握りしめ、ダミ声で叫んでいるイメージが強い「ボートレース」も季語である。ボートレースを代表する隅田川の大会「早慶レガッタ」が春に行われているため、春の季語なのだそう。
昼寝(夏)
「昼寝」は季節問わずいつでもするものでは? 思うが、実は夏の季語。暑さで体力を消耗する夏は回復のために午後に睡眠をとるためだそう。
昼寝が夏という季節に限定されるなんて、のび太君もびっくりだ。
童貞聖マリア無原罪の御孕りの祝日(冬)
山下達郎について、8文字で俳人泣かせだと述べたが、世の中にはそれを凌駕する季語も存在する。
「どうていせいまりあむげんざいのおんやどりのしゅくじつ」
なんと、25文字! 17文字をはるかに超えているのだ。いったいどうやって使うのだろうか…。
寅さん(冬)
ご存知フーテンの寅さん。渥美博演じる「男はつらいよ」の主人公である。実は「寅さん」も季語になっているのだ。かつて毎年お正月に新シリーズが封切られていたことから「冬」の代名詞となったようだ。
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【追加雑学②】俳句の季語は誰が決める?
ここまで様々な季語について紹介してきたが、そもそも俳句の季語ってどのように作られているのだろうか。
俳句には季語を入れなければならないと定められているくらいだから、季語にも明確なルールがあるのかと思いきや、実は俳句の季語に決まりはないのだ。
一般に季語の一覧表、いわゆる歳時記を俳句を作る際には参考にする。だから、歳時記に載っている言葉しか季語ではないのかというとそうではない。
そもそも歳時記によっても載っている季語は変わるのだ。ようするに全ては裁量によるのである。「その言葉を聞いて誰もが同じ季節を想像するか」という観点が重要であって、それさえクリアできれば様々な単語が季語になり得るのだ。
だから句会などによっても独自の季語が生まれたりする。先のアーティストを俳句の季語にするのも「東京ヘップバーン」という句会が独自に編み出したもの。実は俳人のあいだでは賛否両論なのである。
雑学まとめ
今回は、俳句の珍しい季語についての雑学を紹介させてもらった。
俳句というと小難しく堅苦しいイメージがあるが、今回ご紹介した季語でわかるように、実生活に寄り添うような、くだけた作品もたくさんあるのだ。
不思議な季語で一句、詠んでみるのも楽しいかもしれない。
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