料理の腕を活かして自分のお店をもちたいと思ったとき、いろいろと準備が必要になるのだが、調理師免許がないと開業ができないと思っている人は意外と多い。実は飲食店の開業に調理師免許や栄養士などの資格は必要ない。
唯一必要なのは「食品衛生責任者」という資格だけ。しかもこれは法定講習を受けるだけで簡単に取れてしまう資格だ。飲食店開業の敷居は案外低いのだ。
今回の雑学記事では、あなたが飲食店を開業したいと思ったときに必要なことをまとめてご紹介しよう。
【生活雑学】飲食店開業に必要な資格は「食品衛生責任者」のみ
【雑学解説】「食品衛生責任者」とは
食品衛生責任者とは、食品衛生法に基づいて、その店舗において適切な管理運営を行う者で、食品業を営むにあたっては1店舗に1人必ず設置しなければならない。つまり、食品衛生責任者がいない飲食店は存在しないのだ。
食品衛生責任者になる資格をもつ者は、栄養士・調理師・医師などの資格を有するものに限られるが、そんなものはもってないよ! という方が大半だろう。
ご安心を。食品衛生責任者の資格は養成講習を受講することで簡単に取得することができる。用意するのは1万円と1日だけ。
この資格は各都道府県で実施されている食品衛生責任者養成講習会に参加することで、即日免状が発行される。講習時間は修了テストを含め6時間。最後に行われる修了テストはいわゆる効果測定程度のもので、講習をまじめに受けていれば容易に通過できるものとなっている。
平日の1日をまるまる使うことになるので、受講のスケジュール調整がちょっとした手間だが、逆をいえば、これさえ取ってしまえば、誰でも飲食店の開業ができるということだ。
そもそもなぜ、食品衛生責任者の資格が必要なのかといえば、飲食店に限らず、あらゆるお店を開業するためには国の許可を得る必要があり、飲食店の場合、各都道府県の保健所から開業の許可を得る必要があるからである。
お店は開く場合はどちらかというと、そういった手続き面の方が面倒なことが多いのである。
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【追加雑学】飲食店開業に必要な手続き
飲食店を開業するには「食品衛生責任者」の資格だけあればいいことはわかったが、もちろん準備することはそれだけではない。
飲食店を開くにあたっては、少なくとも保健所と消防署での手続きが必要で、場合によっては警察署や税務署、労働基準監督署などのお役所まわりをしなければならない。必要な手続きを下記にまとめてみたので参考にしてほしい。
届け出先 | 手続き | 対象 |
保健所 | 食品営業許可申請 | 全店舗 |
消防署 | 防火管理者選任届 | 収容人数が30人を超える店舗 |
防火対象設備使用開始届 | 建物や建物の一部を新たに使用し始める場合 | |
火を使用する設備等の設置届 | 火を使用する設備を設置する場合 | |
警察署 | 深夜酒類提供飲食店営業開始届 | 深夜12時以降もお酒を提供する場合 |
風俗営業許可申請 | 客に接待行為を行う場合 | |
税務署 | 個人事業の開廃業等届出 | 個人で開業する場合 |
労働基準監督署 | 労災保険の加入手続き | 従業員を雇う場合 |
公共職業安定所 | 雇用保険の加入手続き | 従業員を雇う場合 |
社会保険事務所 | 社会保険加入の手続き |
法人の場合は強制加入 個人の場合は任意 |
開業の手続きだけでこれほどの手間がかかる。飲食店を開業するにはそれなりの覚悟が必要だろう。
このほかにも不動産屋での店舗探しやメニュー開発、コンセプト設定などなど、手続き以外にもやることや山積みであるが、これを乗り越えて「自分の店」をもったときの喜びは格別であろう。
雑学まとめ
今回は飲食店の開業にまつわる雑学をご紹介してきた。将来飲食店をもちたくて調理師を目指している、または栄養士を目指している方も多いと思うが、飲食店を開くだけなら「食品衛生責任者」のみで十分なのである。
もちろん、飲食店で成功を収めたいのであれば、調理師免許などを取得してしっかりとした料理を提供した方がいいに決まっている。調理師や栄養士がいる飲食店と「食品衛生責任者」しかいない飲食店であれば、多くの方が前者を選ぶであろう。