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【後編】現役声優養成所の講師が"養成所の闇"についてぶっちゃけトーク。
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どうも、福原安祥です。
ナレーターをしたり、声優養成所の講師をしたり、会社の経営をしたりしています。
今回のテーマは『声優は事務所に所属するべきなのか?』です!
皆さんご存知の通り、活躍している声優さんは基本的に事務所に所属しています。
ただ、事務所に所属していない、いわゆるフリーの状態で活躍している声優さんもいます。なので「絶対に事務所に入らなきゃいけない」ということではないんですね。僕はナレーターなんですけど、今はフリーで活動しています。
ただ、声優とナレーターだと「フリーの生きやすさの度合い」がちょっと違うので、今回は声優の場合について解説していきますね。。ナレーターに関する解説は今後出そうと思います!
動画はこちら↓
【声優】事務所所属とフリーの違い
まず、「事務所に所属している場合」と「フリーの場合」の違いについて解説していきましょう。
①お金(ギャラ)
一番の違いは…「お金」です!
事務所に所属している場合は、ギャラのトータルから2~4割くらいをマネージメント料として引かれます。例えば、ギャラが2万円でマネージメント料が3割だった場合は…
2万円-(2万円の3割)=1万4千円
これが声優さんに入るギャラとなります。
フリーの場合はマネージメント料というものが発生しないので、2万円がそのままギャラとして声優さんに入るわけなんですね!これはうれしいぃぃぃ!
ただ、大人の世界なので、おいしいことばかりではありません…。ギャラの交渉をしたり、仕事をした後に請求書を出したり、ギャラの入金確認などを全部一人でやらなきゃいけないんですよね。こういうところはフリーの大変なところです。。
②人間関係
所属とフリーの違い2コ目は「フリーは事務所内で立ち回る必要がなくなる」ということです!
事務所に所属していると、特に新人のうちはマネージャーや社長に気に入られる努力をしないと仕事が来ません…。なので、人間関係をスゴく円滑にする努力をしなきゃいけないんですけど、フリーの場合はそういったことがまったく必要ないんですよ!
「組織内での人間関係」という部分では、フリーはとてもラクですね。ただ、事務所からではなく外部から仕事を頂くので、外部との人間関係がものスゴく濃くないとダメなんですよ…。
なので、人間関係はどっちにしろ大事ということになりますね!
というわけで、事務所に所属している場合とフリーの場合の違いというのは、大きく2つです。
- お金
- 人間関係が内部か外部か
こういうふうな違いがあるんですけど、自分ははたして「事務所に所属しなければいけない」のか…それとも「フリーでいけちゃう」のか…というところについて、これから解説していきたいと思います!
声優はフリーで生きていける?
まずは結論からお伝えしていきますね。
声優がフリーで生きていくのは…「無理ゲー」です。。
つまり、事務所に所属していないと、とても食べていけないという世界なんですね。ただ、ある条件を満たせばフリーでも食べていくことができるんです。その条件は後ほど!
声優がフリーで食べていけない理由
まずはフリーだと食べていけない理由について解説していきますね。
声優の仕事って、皆さんご存知のとおり、アニメ・ゲーム・外画・ナレーションとか、歌やイベントみたいなかんじでいろいろあるんですよ。
そのいろんな仕事がどういうふうに決まるかというと…だいたい「オーディション」か「ボイスサンプル」なんですよね。
ここからは「制作会社」「事務所」「声優」の3つの単語を思い浮かべながら読んでみてほしいんですけど…
オーディションやボイスサンプルなどが必要な仕事の依頼は、「制作会社」から、まず「事務所」にいくんですね。
そして「事務所」から「声優」さんにいくんです。
つまり、「制作会社」から「声優」個人に直接仕事がいくことは、基本的にありません…。
もうわかったと思うんですけど…声優は事務所に所属してない状態だと、オーディションやボイスサンプルを聞いてもらえる機会がないんですよ!
ただ、制作会社から事務所に向かって「誰かいい子いない?」と声がかけられて、そのとき所属していたとしても、「事務所が制作会社に出す候補に入っていない」場合は、結局事務所に入ってる意味があまりないんです。
なので、「候補に入る実力」がなければ、事務所に入っている意味がないんですね。
ただ、フリーの場合は事務所からの候補に入る可能性すらありません。。なので仕事を取れる可能性はものスゴく低くなるということなんです。
なぜ制作会社は、声優個人ではなく事務所に仕事を依頼するんでしょうか?
声優事務所に仕事が依頼される理由
それは事務所には当然声優さんが多いので、個人個人に連絡を取っていくよりも…
①効率がいい
いろんな人に声をかけたいし、いろんな人の声を聞きたいので、一人一人に連絡してたらキリがないんですよ。それに個人の連絡先を知らない場合も多いですからね。
なのでA事務所ごと、B事務所ごと、C事務所ごと…みたいに一括して仕事を投げていくんです。
あとは、事務所にお願いをすると、仕事が決まったときに…
②事務所が責任を取れる
もしフリーの声優がなにかやらかしちゃった場合に、責任を取れるのってその本人しかいないんですよね。
事務所に所属していると、所属の声優がやらかした場合には事務所が責任を取ってくれるわけです。「責任の所在が明らかになる」ことは、大人の社会的にスゴく大事なことなんですよね…。
そういう2点の理由もあって、「制作会社」は「事務所」に基本的に仕事を依頼するんです!
そういう仕事は、基本的に地上波のアニメであったり、大きいタイトルのゲームだったりになるんですね。
逆に言えば、フリーだと、だいたい舞台が中心になるんですよ。「アニメ・ゲーム・外画」は作ろうと思っても、そう簡単に作れないですよね?
その点、舞台はやろうとおもって頑張れば…公演自体は行うことができます。なのでフリーの、とくに新人声優さんは、舞台中心の活動になるということなんですね。
ただ、そういう舞台は商業演劇ではないんですよ。。商業演劇がなにかというと、言葉が悪いかもしれませんが…「お金を生み出すエンターテイメント」ですね。
そういった商業演劇ではないので、自分でお金を払って出る可能性が高いわけです…。これはもう「仕事」の枠でなく、「修行の場」なんですよね。
修行の場を否定するわけではありませんが、「食べていけるか」というと…フリーはそうとうキツイということなんです!
ではここで、最初に言っていた、声優が「フリーで生きていける条件」はいったい何なのかを解説していきます!
フリーで生き残る条件とは?
声優がフリーで生きていくために必要な条件は…「フリーになるまでに実績があること」です!
実績というのは、わかりやすく言うと「有名なアニメや外画に何本も出ている」みたいなことです。簡単にまとめると、「業界内で知名度が抜群にある」状態ですね!
実績があると、今まで仕事をしたことがある音響監督さんやスタッフさんに気に入られていることが多いので、「またこの人と仕事したい」と思っている人も多いわけなんですよ。
そうなると、特例で「制作会社」から「声優個人」に仕事の話がいくんですね!そこで役をゲットできれば生き残っていける、というわけなんです。
逆に、業界で実績がない新人がフリーでやっていくのは、ほぼ不可能と言えますね…。
今、フリーで活躍している声優さんをwikiとかで調べてみるとわかるんですけど、だいたいどこかに所属していて、そのあとフリーになってるんです。
なので事務所に所属している段階で、たくさんの仕事をされたあとにフリーになってるということなんですね。
新人声優でも、業界内にスゴく強力なコネクションがあれば、なんとかやっていくことはできなくはないかも…とは思います。。
ちなみにコネというのは、「卑怯」とか「汚い」と思われがちですが、プロの世界からすれば「全然汚くない」ですからね!コネは人脈なので、実力のうちです!
コネを作る能力がたまたまあるにせよ、培ったものにせよ、どちらにしても卑怯なんかじゃありませんよ、「実力」です!
新人声優がフリーで仕事を取る道
「じゃあフリーの新人声優はまったく仕事がないのか?」というと…そうではないんですよね。今はSNSがスゴく活発になったおかげで、自分で営業をすることができるようになったからです。
なので、仕事自体をすることができるんですが…前半に言ったとおり、事務所に頼まない仕事は基本的に「ノーギャラ」あるいは「メチャクチャ安いギャラ」という仕事になっちゃうんです。。
事務所に頼まない時点で「予算があまりない」ケースが多いんですよ。そうなると、演者側のギャラも当然安くなっちゃうということですね。
こうなると、仕事自体はできても、「食べていく」となるとかなり厳しい状況になってしまうので、あくまでアルバイトをしながら活動を続ける、という形になっちゃうんですよ…。これが現状です。
なので新人のうちは「フリーで生きていくのはかなり厳しい」業界だということをお伝えしておきますね!
「声優はフリーで生きていける?」まとめ
今回は『事務所に所属しなきゃいけないのか』というテーマでお話ししてきました。
結論をまとめると…「大きい仕事は事務所経由であることが多いので、所属してないと厳しい」という話でした。。
オーディションやボイスサンプルを聞いてもらう機会がないっていうのが厳しいところですね…。
僕個人としては、事務所とか個人とかに関係なく、実力がある人や魅力的な人が世に出るといいなって思うんですけど…これは伝統なんですよね。声優業界がガラッと変わらない限り、この仕事発注方法は変わらないんじゃないかと思います。。
なのでフリーでやっていきたい人は、「まず事務所に入って、結果を出して、そしてフリーに転向する!」という道しか、現在はありません!
僕も今フリーでやってるので、厳しくてなかなか大変な道だとは思うんですが…フリーはフリーでスゴく気楽で楽しいところも多いんですよ。
なのでフリーを目指している皆さん…がんばってくださいね!
本日は以上です、それではまたお会いしましょう!
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