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【声優養成所講師が解説】声優のボイスサンプルの作り方①知らないとヤバいポイント
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どうも、福原安祥です。
ナレーターをしたり、声優養成所の講師をしたり、会社の経営をしたりしています。
今回は『声優のボイスサンプルの作り方・後編』です!
前編をまだ見てないという方は、先にそちらを確認してから読んだほうが理解が深まると思いますので、先に前編をチェックしてみてくださいね。
前編の内容を軽くまとめておくと…
大前提として、ボイスサンプルは名刺以上にメチャクチャ大事なものである
そしてボイスサンプルを作るときのポイントは…
ポイント
- やりたいことではなく、やらなきゃいけないことをやれ
- コンセプトを決めろ
ということでした。今回は続きの3つ目のポイントから解説していきたいと思います!
動画はこちら↓
声優の「ボイスサンプルの作り方」・後編
さっそくですが3つ目のポイントは「エースを最初にもってこい」です。
ボイスサンプルの作り方③エースを最初にもってこい
ボイスサンプルというのは順番がメチャクチャ大事です!順番というのは、名前を言ったあとのセリフの部分の順番ですね。
どういう順番でそのセリフを並べていくのか、ということがスゴく大事になってきます。
なぜなら、ボイスサンプルを聞く人たちってキャスティング権を持ってる人だったり、事務所の人だったりとか…簡単にいうとエライ人なんですよね。
エライ人って基本的に忙しいんですよ。
しかも、ボイスサンプルを聞くのはあなたのものだけじゃない可能性もスゴくあるんです。あなたのサンプルだけじゃなくて、ほかに何十、何百人のサンプルを聞かなきゃいけないことがあるわけです。
なので、ボイスサンプルを最後まで聞いてくれる確率ってめちゃクソ低いんですよね。なかには始めの名前しか聞かないという方もいるくらいなんですよ。
というわけで、名前をちゃんと言うこともスゴく大事なんですが、ボイスサンプルの一番最初のセリフに「一番自信があるもの(エース)」をもってこないと、最初のセリフがもしビミョーなものだったら…2コ目はもう聞いてもらえないんです!1コ目で切られちゃうんですよね。。
名前をしっかり言うことも大事なんですが、1コ目のセリフにエースを持ってきて、そこで好印象であれば、2コ目、3コ目も聞いてもらえるということになるわけですね。
なので一番最初に「自分が一番自信のあるもの」を持ってきたほうがいいという話です!
ボイスサンプルの作り方④狙うのはアニメ?外画?
4コ目のポイントは「狙うのはアニメなのか?外画なのか?」です。
あなたがアニメのボイスサンプルを作るのか、外画のボイスサンプルを作るのか、これによって「読みがかなり変わる」んですよ…!
あまりピンとこない方もいるかもしれませんが、アニメと外画(洋画のアテレコ)ってだいぶ読みが違うんですよね。ザックリ言うと「抑揚と速さ」が違うんです!
上の動画内では、実際にアニメと外画の読み方の違いを実践してみているので、ぜひチェックしてくださいね!
アニメと外画では読み方が違うので、自分が作った台本が「アニメなのか」それとも「外画なのか」を分けて考えなきゃダメということです。
ここでも、前編のポイント①でお伝えした「やらないきゃいけないことをやれ」という考え方が大事になってくるんですよね。
例えば、あなたがアニメの声優をやりたいと思っていたとします。
でも、あなたが所属している、もしくは所属したいと思っている事務所の仕事がほぼ外画だった場合に、アニメのボイスサンプルを出しちゃうと…「なにこの人~もう~全然わかってないじゃん」ってなっちゃうわけなんですよね。。
そもそもアニメがやりたかったら、アニメが強い事務所に行ったほうがいいんですよ。
でも、いろいろあって外画が強い事務所に入っちゃった場合なんかは、自分がやりたいからといってアニメのサンプルを出しても、マネージャーにはまったく響かない…ということですね。
ただ、自分が将来的にアニメをやりたいという意志はマネージャーに伝えておいたほうがいいと思いますし、そういう場合は全部を外画のセリフにする必要はないと思います!
例えば、ボイスサンプルで4コのセリフを入れるときには、3コを外画のセリフにして、1コをアニメのセリフにすれば、自分のやりたいこともアピールできて、大部分は事務所のことを考えているし、事務所からの仕事が欲しいというアピールにもなるので、こういうバランスが大事になるんですね!
マネージャーは本当のことを言わない!?
難しいのは…「わざわざ言ってくれない可能性もある」ということなんです。
事務所にボイスサンプルを出して、マネージャーに受け取ってもらって感想を聞いたときに「うんうん、よかったよ~」って言われてオシマイ…なんてこともぜんぜんありえるんですよね。。
「外画の事務所なのに、なんでアニメのサンプル作ってきたの?外画のサンプル出してよ」って言ってくれるマネージャーであればメチャクチャ親切で、「そこまで新人声優に時間を割けない」というのが実状なんです。
なので、自分で気づかなきゃいけないっていうのが難しいところですね。「何も言われなかったからOK」ということではありませんよ!
ボイスサンプルの作り方⑤冒険するな
ポイントの5コ目ですが、「冒険するな」です!
これも新人声優さんにありがちなんですけど、冒険とか挑戦をボイスサンプルでしてしまうんですね。
どいういうことかというと…「自信はないけどやってみたい役」をボイスサンプルに入れちゃうんですよ!
前編の最初にお話ししたように、ボイスサンプルというのは「あなたのベストセレクション・ベストアルバム」みたいなものなんです。
ベストアルバムって、ヒット曲が並んでいるものですよね?全然聞いたことがない曲とか、売れてない曲とかって、基本的に入ってませんよね?それと同じなんですよ!
ボイスサンプルは「自分のベストなもの」を並べていくものなので、挑戦とか冒険したものをポーンと入れちゃうと…とんでもないことになっちゃうんです。。
例えば、名前を言って、そのあとにエースになるセリフ、そして2コ目のセリフに挑戦・冒険したセリフを入れちゃったとします。
聞いてくれた人は1コ目のエースのセリフで「なかなかやるなこの子」と思っても、本人もあまり自信がなくてクオリティーもあまり高いといえない2コ目のセリフを聞いたときに、ガッカリしちゃって「この子ダメだな…」ってなっちゃうんですよ!
1コ目が良かったのに、2コ目でクオリティーが下がっちゃうと、そのボイスサンプル全体の評価も下がっちゃうんですよね。
例えば、あなたがパン屋さんに行ったとします。パンを4コ買って、3コ食べました。「おいしい~」ってなってたとしても、最後の1コが激マズだったとしたら…もう一回行きます?そのパン屋さん。行かないですよね?
冒険や挑戦したセリフをボイスサンプルに混ぜるのはそれと同じこと。ボイスサンプル全体のクオリティーを下げてしまう恐れがあるんです。なので、「自分ができることだけ」をやってくださいね!
ボイスサンプルの作り方⑥変化をつけろ
ラストの6コ目のポイントは「変化をつけろ」です!
僕は声優養成所の講師をやっているので、新人さんのボイスサンプルを聞く機会が多いんです。そのなかでよくあるのが、4コセリフがあったとして、4コとも変化がないサンプルなんですよ…。
4コとも舞台がすべてJAPAN…そしてテンションが高めの高校生…それが4コ並んでいると「1コでよくね…?」ってなっちゃうんです。。
前編から言っている通り、ボイスサンプルは声の種類を見せる…つまり「自分の可能性を見せることができるチャンス」なんですけど、セリフは4コもあるのに1種類しかやらないのってスゴくもったいないと思いませんか?
いろんなキャラクターをやらないともったいないって話なんですよ!
なのでキャラクターを変化させて、いろんなキャラを演じたほうが可能性を見せられるんですよね。
どういうふうに変化させればいいのかというと…
ポイント
- 声が高い/低い
- 性格(おっとり・ツンデレなど…)
- 場所(部活中・異世界・旅行先など…)
- 国(JAPANである必要はない)
- 時代(現代・未来・過去など…)
- 一人称(あたし・わたくし・俺・僕など…)
というように、上記の設定を変えるだけでも、キャラクターにかなりの変化がつくので、このへんをふまえて台本を考えてみるといいと思いますよ!
声優の「ボイスサンプルの作り方」のまとめ
2回にわたって『声優のボイスサンプルの作り方』を解説してきました。
ここまで読んでいただいた方に、最後に大事なことを言いますね。
ボイスサンプルは…「事務所に頼まれて出すものじゃない!」ということです。自分のアピールのための素材なんですよ。
なので事務所から頼まれて出すのではなく、自分から出すことがスゴく大事なんです!
ただ、しょうもないものを作って出してしまうと「なんだコイツ?」っていう評価になって、マイナスプロモーションをしてしまうことになるんですよね。
なので「きちんと作りこんだものを出す」ことは大前提なんですが、頼まれてないのに「自分から出す」こともスゴくアピールになるので、事務所に頼まれて出すのは遅いです。
ライバルはもう出してるかもしれませんよ…!
ボイスサンプルは何回も作ろう
それから、ボイスサンプルというのは新人のうちは「年に何回も」作りましょう。3か月に1回くらい作るのが僕はいいと思いますよ!
提出する・しないは別として、3か月に1回作るといいと思います。というのは、自分の得意なキャラをわかっていますか?っていう話なんですね。
自分のエースを意外とわかってない人が多くて、「コレかコレかコレかな?」みたいな感じの人がけっこういるんですよね…。
ボイスサンプルって、自分の「絶対的エース」をちゃんと見つけたり、逆に「苦手なキャラ」を見つける機会にもなるんですよ。
なので、ボイスサンプルは1年に何回も作ったほうがいいということなんですね!
今言ったとおり、ボイスサンプルを作ったからと言って、マネージャーや制作陣に絶対に提出しなきゃいけないということではありません。自分を整理するために、ボイスサンプルを作るというのもスゴく大事ですよ。
例えば3~5コのボイスサンプルのセリフを考えて収録していくわけなんですけど、「ベストセレクション・ベストアルバム」って言いましたよね。ということは「3~5コ、自分が読めるキャラがないとダメ」ということですよね?
「そんなに得意なキャラなんかないよ…」って思った方は…プロでは絶対に通用しません!
なので、「ヤバイ、得意なもの増やさなきゃ」って思う機会になることも、ボイスサンプルの良いところなので、提出する・しないに関わらず「ボイスサンプルを作ることが大事」ということですね!
今回は以上です、またお会いしましょう!
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