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【声優養成所講師が解説】声優の役作りの方法を教えて!
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どうも、福原安祥です。
ナレーターをしたり、声優養成所の講師をしたり、会社の経営をしたりしています。
今回のテーマは『声優になれる声・なれない声』です!
今回も動画のコメント欄にいただいた質問にお答えしていきますよ!まずは質問文を載せますね。
「声優は誰の声でもなれる、どんな声でもなれるとベテランさんは言いますが正直そうは思わないです。特徴的な地声があったりアニメ声ができる人たちの集まりにしか見えないのですが、普通の声の人でもなれる可能性ってあるのですか?」
っていう質問ですね…けっこう気になる人も多いと思います。
「声優って普通の声でもなれるんかい?」という問題ですね。
というわけで今回は「声優に向いてる声ってどんな声なのよ?」っていうところについて解説していきますよ!
動画はこちら↓
声優になれる声・なれない声
いきなり結論からいっちゃいますね。声優になれる声というのは…ありませーーん!
「どんな声でもなれます!」というのが答えです。
質問してくれた人って、「地声」の話をされてると思うんですけど、地声の良し悪しは関係ないよってことなんです。
なぜかというと…声優という職業は「地声をほぼ使わない」からなんですよね!
声優とかナレーターの声というのは、考え方としては顔と一緒なんですよ。
女性であればわかると思うんですけど、メイクしますよね?メイクをしても満足できないときは整形する方もいますよね?それと一緒です。
動画内ではここから図を書いて説明しているので、お時間があるときにチェックしてみてくださいね。
地声を「メイクする」「整形する」
声の幅というのは「地声」「メイクした声」「整形した声」という3段階があると考えてみてください!
ナレーションは、「地声とメイクのあいだの声」から「メイクと整形のあいだの声」までの範囲を使うっていうかんじですね。
そして声優が使う声の領域は、「メイクした声」から「整形した声」までなんですよ。
おわかりですか?地声はほぼ使ってないんです。だいたいメイクした声から使ってるというかんじですね!
「メイクした声」というのは、自分の地声を活かして、いい声にしている状態です。顔のパーツを活かしてよりきれいに見せるためのお化粧と一緒ですね。
動画内では、僕が実際にメイクした声でしゃべっているので、聞いてみてくださいね!
一方で「整形した声」はどういうことかというと、これも顔自体を変える整形と一緒なんです。地声とはまったく関係ない声になるっていうかんじですね。
整形した声も動画内で披露しているので、メイクの声と整形の声の違いがわかりやすいと思いますよ。
整形した声にもメイクした声にもいろんな種類があって、その種類が多いほど声優としては「七色の声」とかいわれます。
「じゃあどれくらい変わってたら整形した声っていえるの?」ってところなんですけど…友達とか親とかが聞いたときに「あんた誰?」っていうレベルですね!
低めの地声の人が、高い声で親に電話したら、たぶん親は困惑しますよね?「え?オレオレ詐欺?にしては変だけど…?」みたいになると思います。
これがいわゆる「整形した声」です。
大事なことは、もともとの地声って、整形した声までいっちゃうと関係ないってことなんですよ!
メイクした声の段階でも、地声のままではないんですよね。地声をもとにして、メイクした声に昇華させるっていうイメージです。
なので、地声がいい悪いとかは関係なくて、「どうメイクするか?」ってことのほうが大事なんですよ!
特徴的な地声とアニメ声
質問にもあった、「特徴的な地声は武器になるのか?」という話をしていきますね。
これは内緒話なんですけど…いまは、あんまり武器になりません。。
昔の声優業界だと、特徴的な声は武器になったんですよ。具体的な名前は出しませんけど、いろんなロングヒットのアニメがあるじゃないですか?そういうアニメって、主人公の声に特徴がありますよね?
でも、その特徴的な声で他のアニメのキャラクターをやると、どうなると思います?
「あのロングヒットアニメのあのキャラだ!」ってなりますよね?そうなんですよ!
特徴的な声というのは、ハマるキャラにはハマるんだけど…「他の活動を邪魔する可能性がある」っていうことなんですね。
特にいまの声優業界って、新人のうちは汎用性(幅の広さ)が求められることが多いです。つまり地声が特徴的すぎると「1つの役しかできないな」って思われて、なかなか仕事がこないということになっちゃうんですよね…。
特徴的な声というのは、いい面ばかりでなく、デメリットもスゴくあるということです。
声優志望の方は、特徴的な地声に憧れる人も多いと思うんですけど、いい面ばかりではないんだよということを覚えておいてくださいね!
むしろ、普通の声のほうが、いろんな役をやるにあたっては汎用性があるということです。
アニメをやるには「アニメ声」が出なきゃいけない?
もう一つの質問にいきます。「アニメをやるためには、アニメ声が出なきゃいけない?」という問題ですね。
これはおっしゃるとおりで、アニメに出たいのなら、アニメに出てくるような声が出ないと出れません!
以前「いい声の作り方」についてお話ししたときにもいったんですけど、いい声は声優業界では「ドレスコード」みたいになっています。いい声が出ないと、高級フレンチにTシャツとサンダルで行くようなものなので、「いい声=アニメへの参加資格」みたいなものなんです。
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なので、いわゆる「アニメ声が出る」というのは、スゴく大事な要素ですよ!
アニメ声というものを分解していくと、さっきの「メイクした声と整形した声」と同じになります。
自分の地声を、アニメに合うようにメイクor整形するわけですね。
動画内では実際に僕が「アニメ用のメイクした声」でしゃべっているので、聞いてみてください。
整形した声を使うときは、僕の場合は、キャラが2頭身だったりやおとぼけキャラだったりするときですね。地声ではもう対応できないので、声自体を変えちゃって、整形した声までもっていきます。
動画内では僕が「整形した声」でしゃべっているので、メイクした声と聞き比べてみてくださいね。
地声のままだとお金を取れる声ではない
ここまでをまとめると、「地声のままだと、お金を取れる声ではない」ということです。
自分そのままだと、お金をもらえる価値にまで高まってないということですね。。
なので、地声をメイクしたり整形したりできない人が、プロとしてやっていけないというのは当たり前なんですよ。お金取れなくて当たり前ってことです…。
地声そのままというのは、素材をそのままお客さんにご提供しているのと一緒なんですよ。
たとえば、アナタが回転ずしに行ったとして、シャリの上にカツオがまんまバーンって乗って出てきたかんじです。「食えねぇ!」ってなりますよね?
素材をそのままお届けするのはそういうことなんですよ!お金を取れる価値になるまで、自分を昇華することができるかっていうことがスゴく大事なんですね。
逆にいえば、どちらにしろメイクしたり整形したり加工しなきゃいけないので、「普通の声でもなんの問題もない」ということです。
なので、「声優に向いてる声・向いてない声というのはない」ということですね!声優はどんな声でもなれるというのはそういう意味です。
さて、ここで一つ注意点があります!
声は作っちゃいけない?
ときどきいるんですけど、「声を作るんじゃない!」という先生に当たったことがある方もいるかもしれません。
そういう講師たちの言い分は、だいたい「演技は感情を作るもので、声を作るものじゃない」ということなんですね。
ただ、それ…俳優さんの話なんですよ。。
声優は、キャラクターに声をあてる仕事です。相手がキャラなんですね。相手がキャラである以上、日常に存在してそうな声は使えませんよね?
日常に絵が歩いてるような世界であればいいんですけど…日常の僕たちの周りには人間が歩いてますよね。二次元ってそういうことなんです。
そうなると、二次元に合うように声を加工する、つまり声を作るのは当たり前なんですね!
声を「作る」という表現が難しいところで、年配の先生だと、この表現で反射的に「ダメだ!」っていう先生がいます。。
「作る」というより、「地声をキャラに合わせる」っていうほうがいいかもしれませんね!
とにかく、地声のままでは商売にならないし、キャラクターに合った声を出せるからこそのプロってことです!
「声優になれる声・なれない声」のまとめ
今回は「声優になれる声・なれない声」というテーマでお伝えしました。
結論は「声優に向いてる声は存在しないし、向いてない声も基本的にはない」です。どちらにしろ地声を加工する必要があるからですね。
ただ、ちょっと難しいなと思うのは…地声を出すときにクセがある人ですね。。
養成所で注意することもけっこうあるんですけど、声がこもってる人っていうのは、聞き取りづらいんですよ。
あとは喉を締めて声を出す人もときどきいるんですけど、そういう人も聞き取りづらいんですよね。。
こういうパターンの人はかなりがんばって修正しないと、いい声が作れません…。
いままでの人生で、その声の出し方がクセになっちゃってるんですよ。なので、そのクセがなかなか取れないんですね。
声優として発声するときも、そのクセで発声をしちゃうので、なかなか音が前に飛ばなかったり、のどを締めたままになっちゃうってことですね。。
そういう人はホントに、人の五倍・十倍がんばらないとそのクセの呪縛から逃れることはできません!
いい声というのは、鼻から抜く声なんですね。でも、僕がやってるWSでも、声が鼻で止まっちゃって、鼻づまりみたいな声になっちゃう子がいました。
その子がようやく最近「鼻から抜く感覚がわかってきた」というふうに言ってたんですけど…そこまでに1年かかってるんですよね。。
「長いわ!」っていうかんじなんですけど、クセというのはそれくらい強烈なものなんですよ。
なので、そういうクセがある人は、人の五倍・十倍がんばらないと難しいよということをいっておきます!
商売用の声を出してお金を取れるようにがんばって!
それではまたお会いしましょう。
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