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【前編】声優養成所の講師が"養成所の闇"について本音を語る。
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どうも、福原安祥です。
ナレーターをしたり、声優養成所の講師をしたり、会社の経営をしたりしています。
今回は『声優養成所の闇について・後編』です!
さて、前回に引き続き闇に切り込んでいくんですが、前編をまだ見てない方は、確認してからのほうが話の流れがわかりやすいと思うので、先にそちらをチェックしてみてくださいね。
前回ピックアップした9つの問題の中で、闇判定は1つでしたね。「そんなに闇ねーじゃん!」って感じだったんですけども…後編でも9つの問題を紹介していくので、今回はエグい闇が見られるかもしれません…!
動画はこちら↓
声優養成所の闇・後編
さっそく1つ目…
声優養成所の闇①生徒に辞められない指導をする
「生徒に辞められない指導をする」という問題ですね。
これは難しいところなんですけど…「最近の若い子は怒られた経験がないから打たれ弱くなってる」みたいな、おじさんがよく言ってる話があると思うんですよ。
声優養成所に置き換えて考えてみますね。声優養成所はやっぱりお金が回らないと存続していけません。それで生徒に辞めてほしくないから、「怒らないようにして、生徒に辞めさせないというふうにしているんじゃないか?」ということですね。
たしかに、そういう指導をしている声優養成所もある、という話は実際に聞いたりするんですよ。これは人数が減っている声優養成所ならなおさらです。
生徒の人数が減っているということは、会社としての利益も減っているということなので、もっと減るとマズイわけですね。なので「怒らないようにしてください」って講師に言っちゃう場合もあるとかないとか…。実際「ある」らしいです。。
厳しくしても演技が上達するとは限らない
ただ、僕の考えを言わせてもらうと、ブチ切れて生徒がうまくなるんだったら、いくらでもブチ切れるよっていう話なんですよ!
でも「怒ること」と「人が伸びること」は、演技に関わらず、相関関係がないと思ってるんですね。
僕自身の経験でいうと、小中高と野球をやっていたんです。高校がメチャクチャ厳しいところで、当然ボウズだったんですけど、練習が「超・昭和的」だったんですね。
例えば、50mダッシュをするんですが、「何本」って決められずに、コーチが「もういいよ」って言うまで無限に走らされるんですよ。もちろんその間に水を飲んじゃダメです、昭和なんで。。
そういう練習は「根性をつけるため」ってコーチは言ってたんですけど…30過ぎた僕には根性ついてませんっ!ねぇコーチ!僕根性ついてませんけど!
何が言いたいかというと、あの時のダッシュはまっっっったく役に立ってないんですよね。「人生の糧になった」っていう人もいるかもしれませんが、個人的にはあの時の厳しさってまったく役に立ってません。
なので、もし厳しく指導してうまくなるのなら、いくらでも厳しくするんですけど、「厳しくしてうまくなるわけじゃない」んですよね…。
なので、意外と僕は、レッスンの中で1回もキレたことはありません!
話を戻すと、生徒に辞められない指導をしちゃうっていう話は確かに聞くので…「闇かもね」ってかんじにしておきましょう。。次!
声優養成所の闇②所属しても食べていけるかは別問題
「声優って食べていけないよ」っていうのは、いまでは声優業界に関わってない一般の人にも知られている情報なんじゃないでしょうか?
所属しててもバイトしながら生活している人はいっぱいいいますよ。たぶんそういう人が9割くらいじゃないでしょうか。僕の周りにももちろんいっぱいいます。
「食べていけるか?」ってところは、技術力はもちろん、コミュ力とか人脈とか、あとは自分じゃどうにもできない「運」みたいなものも必要になってくるんですよ。
なので、ある程度「努力は報われないかもしれない世界」だということはお伝えしておきますね。
運を上げるっていうと、日々人に優しくして、自分に返ってくるのを待つことくらいしか人間にできることはないと思います。
ただ、運を除いても、「所属しても食べていけるかは別問題」っていうのは当たり前のことなので…「闇ではない」判定です!
声優養成所の闇③養成所2年目になってもアフレコの授業がない
「養成所2年目になってもアフレコの授業がない」っていう問題ですね。
これも声優養成所のカリキュラムを事前に調べておけば防げたミスで、闇じゃないと思いますね…。
ただ、補足として僕個人の意見を言わせてもらうと、アフレコのレッスンは声優養成所でやっておいたほうが絶対いいと思います!
声優養成所を卒業したあとって、プロの世界に放り投げられちゃうんですよ。勝負の目線で考えたら、山寺さんとか沢城さんとかと「同じ土俵」で戦わなきゃいけないという感じになっちゃうんですね。
アフレコの練習をしたことがないっていうのは、そういう売れっ子さんたちがひしめくジャングルの中に、素手で降り立ったようなもんなんですよ。メチャクチャヤバいですよね!?
「演技力を根本的に高めるために、まず舞台演劇」という考え方もわかるんですけど…アフレコはアフレコで違う技術が必要です。
「マイク前でしゃべる」というのは演劇と違う技術なんですよ。なので声優養成所のうちに練習しておいたほうがいいと思いますね!
つまり、アフレコのレッスンがある声優養成所に行ったほうがいいと思います。
「アフレコやりますよ」って言ってたのにアフレコのレッスンがないっていうのは完全にサギですが、そんなことをする声優養成所はないと思いますので、この問題も「闇ではない」判定にします!
次にいきましょう。
声優養成所の闇④年齢層が広い
これ…年齢が上の人に対して失礼でしょうが!って話じゃないですか?べつに何歳になっても夢を追いかけていいじゃないですか。
それに年齢を重ねてからデビューという人も、多くはないけど、実はけっこういるんですよね。僕の知り合いにも何人かいます。
でも年齢層の広さは声優養成所によって違います。声優養成所には、入所の資格に年齢制限が設けられてるところが多いですが、その年齢制限が厳しいか緩いかで変わってくるってことですね。
23歳までの年齢制限の声優養成所もあれば、30~35歳までの声優養成所もあるんですよ。なので年齢層の幅が広いか狭いかは、声優養成所によるんですね。
年齢層に関しては、広くても狭くても、どちらでもメリットがあります。
広い場合は、いろんな年代の人と触れ合うことで、いろんな価値観に触れられます。逆に狭い年齢層の場合は、だいたいの人が同年代なので切磋琢磨できるんですよ。
なので、年齢層が広いことは「闇デハナーイ」ということになりますね!次です。
声優養成所の闇⑤先生によってレッスンが変わる
これも声優養成所によると思うんですど、だいたいそういうところが多いですね。1人の先生がずっと教えることってなかなかないと思います。
先生が、年や月ごとに変わっていくことが多いので、「声優養成所にいる間は同じ先生にずっと教わる」ということはなかなかないんですよ。
これは、1人の先生だと拘束時間が長くなってしまって、スケジュール的に厳しいということもあります。
でも前にもお話ししたとおり、「演技がうまくなる最短ルートが確立されていない」ので、いろんな先生の教えに触れて、いろんなことを吸収するためでもあるんですよ!
これはスゴく大事なことなんですけど、わかってないと、先生やレッスンが変わっていくことにビックリしちゃうのかもしれませんね。。
なのでこの問題も「闇とはいえない」です!次にいきましょう。
声優養成所の闇⑥挨拶とかアピール合戦がスゴい…
この問題も、闇というより「ビックリ!」みたいな感じだと思いますね。
さきほど言ったとおり、基本的に声優養成所の上には声優事務所がくっついていて、声優事務所が声優養成所を経営しているということが主なパターンです。
なので声優養成所にアピールすることで、その上の声優事務所にもアピールになるんですね!それを見越して、みんなアピールをしてくるんです。これは当然のことだと思います。
でも、「アピールしなくても自分は発掘してもらえる」って思ってる人が、ときどきいるんですよ…僕もそうでしたから。。
これマジで大間違いなんで、その考えは今すぐ捨ててほしいです!
講師へのアピールは重要
講師やマネジメントする人たちの立場からしてみると、「アピール力ができる演技力6点の人」と「アピールがまったくできない演技力10点の人」のどちらを声優事務所で取るかというと…前者なんですよ。
なぜかというと、声優事務所に入ったあとの、現場を見越してのことなんですよね。アピールが下手な人ってコミュ力も低いことが多いので…現場でやらかす恐れがあるんですよ。
現場でやらかすことを声優事務所はスゴく恐れているんですね。なんでかというと、やらかしたその子の責任じゃなく、「声優事務所の責任」になっちゃうからです。。
よく「事務所の看板にキズがつく」みたいな言い方をしますけど、それによって声優事務所全体の仕事量がメチャクチャ減ってしまうことが怖いわけですね。
なので、「コミュ力が低くてアピールできない子」に関しては、「マズいな…」と思われちゃうんです。なのでアピールはキチンとしたほうがいいですよ!
そこに実力が加わったら鬼に金棒ですから、自分に自信がある人ほどアピールしてくださいね!
アピールで質問するときに1つ注意してほしんですけど、アピール自体が目的になって、質問内容がアホになったらダメですよ。これはマズいです。。
講師は質問の内容によって、質問した子のレベルがわかるんですよ。なのでアホな質問をしちゃうと「コイツなんも考えてないな」っていうふうになっちゃうわけです。
そうなるとアピールじゃなくて「マイナスプロモーション」になっちゃうので、そこだけは注意してくださいね!
話を戻すと、挨拶や質問などのアピール合戦がスゴいというのは…「まったく闇ではありません!」あたりまえのことですよ!
声優養成所の闇⑦クラスに先輩ヅラしたやつがいる
次の問題は…「クラスに先輩ヅラしたやつがいる」です。
これは、声優養成所で進級に失敗しちゃった先輩が残ってるっていう話ですね。
これは闇じゃなくて、「シカトしていい案件」です!声優養成所内のレベルでマウントをとる人で、上手い人も伸びる人も見たことがありません。。
逆に何年も養声優成所にいて、進級ができなかったり声優事務所に入れないのは「自分、努力不足でぇ~す☆」って言ってるようなものじゃないですか?
そういう状態なので、そういう人とは距離をとるようにしましょうね!
この問題についても「闇じゃない!」というか、かわいそうってかんじです。そういう人とはつかず離れずの距離を取りましょう。
次の問題です。
声優養成所の闇⑧クラスで仲良くすると先生にキレられる
「クラスメイトは皆ライバルなんだから仲良くしちゃダメー!」っていうThe・昭和脳みたいな先生ですね。
そういう先生の言うことは…シカトでOKです☆
声優は人間を演じるので、絶対に人と仲良くしたほうがいいんですよ!なぜかというと、人と仲良くすることで会話量が増えて、人間のデータがたくさん取れるからです。
そのデータの引き出しの中から自分が演じていくので、人といっぱい触れ合ったほうがいいに決まってるわけですよね。
自分のカラに閉じこもって「敵だ!全員敵だ!」と思ってるやつで演技がうまいやつを、これまた見たことがないんですよ。。
ちょっと頭よさげなことを言うので反論に使ってほしいんですけど…
人間って社会的な動物で、昔から群れを作って生きてきたんです。そういう生物なので、仲良くすることは「あたりまえ!」なんですよ。
というか、仲良くする動物(人間)を演じるわけなので、仲良くしないっていう選択肢はないと思いませんか?
そして、「敵を作らない」っていうこともスゴく大事です!敵は足を引っ張ってきますので、恨みをかうことは、あまりしちゃダメですよ。。
ということでこの問題は、闇というより先生がアホなので、「闇ではない」です!
さぁ、とうとうラストの問題です…!
声優養成所の闇⑨エライ人にセクハラされた
これは…わかりやすく「闇」ですね。間違いなく「闇」判定で決定です!
僕も実際にガチのガチで聞いたことが…あります。。
ただ、僕が声優養成所に通っていた10年前に比べると、こういうことはだいぶ減っていると思います。減ってきた要因としては、SNSやネットが普及して、情報が共有されやすくなったことが大きいですね。
ただ、「力のある人が関係を迫ってくる」ということが、完全になくなったわけではないと思います。声優業界に限らず、ニュースになったりする問題ですね…。
大事なのは、「その場から逃げていい」ということです!
そういうことに遭遇したら逃げてください。逃げていいんです。「逃げたら自分の進路に影響があるんじゃないか?断ったらマズいことになるんじゃないか?」って思うかもしれませんが、絶対に断ったほうがいいですよ!
進路に関しても、メチャクチャになっちゃうことは基本的にないです。今の時代、セクハラしたほうが社会的に死にますからね。
もし影響があったとしても、そんなことを黙認している声優養成所であれば遅かれ早かれ潰れるので、さっさと他の養成所に行ったほうがいいです!
セクハラは報告してOK!
それから、もう1コ大事なことは、そういうことがあったら、未遂だったとしても、声優事務所や声優養成所に報告してください。報告することは何も悪いことじゃないので、1人で抱え込まないでくださいね!
あなたのせいでは全然ないので、報告するようにしてください。もし、報告しても動いてくれないような声優養成所とか声優事務所であれば…これも「こっちから願い下げじゃボケェ!」って言ってソッコーで辞めてやりましょう!
ちょっとヒートアップしちゃいましたが、そういったエロいおっさんばかりじゃないということは覚えておいてくださいね。
頭のおかしいおっさんは一部いないとも限りませんので、そういう人には注意しなきゃいけないんですけど…みんながみんなそういう人ではないです。
声優業界全体が腐ってるってことではないので、そこは安心してください!
あと、そういう「ヤバい人」っていうのは、こっちが売れちゃえばスゲー大人しくなって、ものスゴく気を遣ってくれるようになります。その時に「そいつから来た仕事を思いっきり断る」のが最高の復讐だと僕は思っています。
なので自分が頑張って、その人に頼らなくてもいい地位を築けるといいなと思います。
というわけで、この問題に関しては…「闇」ですね。。
「声優養成所の闇」後編のまとめ
というわけで、今回は『声優養成所の闇について声優養成所の講師が話す回』の後編をお届けしました!
9つあった問題の中で、1コは「完全なる闇」という判定。もう1コは「闇かもしれない」、そして残りの7コは「闇ではない」というか感じでしたね!
2回に渡って声優養成所の闇についてお話ししてきたんですけど、声優養成所の内容やカリキュラムを調べていれば、回避できた闇(仮)もあったと思うんです。高いお金を払うので、事前にしっかり調べることは大事ですね。
今回の内容が、これから声優を目指すみなさんのお役に立てたら幸いです!
それではまたお会いしましょう。
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