世界史

刑罰の定番…!ルームランナーはもともと拷問器具だった【動画あり】

雑学カンパニー編集部

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健康器具のルームランナーは元々拷問器具だったという雑学ラップ・電子レンジ・インターネット…これらは今や我々の生活になくてはならない身近な存在だが、もともとは軍事目的で生まれたことをご存知だろうか。このように、発明当初とは違う使い方をされているものは結構ある。

フィットネスクラブやジムでおなじみの、ルームランナーもその1つだ。ちなみに我が家ではすっかり愛犬の昼寝場所になっている。とても微笑ましい光景だが、もちろんこういう使い方をするものではない。

…話が反れてしまった。今回紹介するのは、元祖ルームランナーは微笑ましさはもちろん、スポーツ精神とも無縁な、恐ろしい存在だったという雑学だ。

【歴史雑学】健康器具のルームランナーは元々拷問器具だった

秀吉くん
家で気軽にトレーニングできるルームランナーって便利っすよね。僕の時代にあったら武士の自宅トレーニングに使ったんっすけど。
信長さん
今では健康器具として使われているが、発明当初のルームランナーは囚人を有効活用するための拷問器具だったんだぞ。

【雑学解説】ルームランナーの元祖「踏み車」は囚人の有効活用

ルームランナーの元祖「踏み車」は囚人の有効活用についてのトリビア

日本でおなじみのルームランナーは、海外では「トレッドミル(treadmill)」と呼ばれている。直訳すると「踏み車」だ。まずはどのようにして、このトレッドミルが生まれたのかを見ていこう。

1817年のこと、犯罪者の雇用に関心をもっていたウィリアム・カビットというエンジニアが、イギリスのとある刑務所を訪れた。

そこで目にしたのは、やることもなくダラダラと過ごしている囚人たちだった。そのときカビットは、「全員まとめて使えば産業の動力源になるぞ! こいつらに勤労の素晴らしさを叩き込んでやるぜ!」と閃いたのだ。

信長さん
こういう発想、俺は嫌いじゃない。

これが初代トレッドミルの誕生秘話である。以下の動画では20秒辺りから、当時のトレッドミルが描かれたイラストが登場する。

秀吉くん
初代トレッドミル…けっこう大掛かりな装置だったんっすね。

ご覧のように、導入当初のトレッドミルは、現在のルームランナーとは似ても似つかない、複数人で動かす巨大な機械だった。

囚人たちに毎日課せられたトレッドミル労働は6時間! 来る日も来る日もトレッドミルを回し続ける彼らの汗と涙の結晶は、水の汲み上げ・穀物の粉砕・風車の動力として大いに役立った。

しかし、カビットが当初考えていた「囚人に勤勉とはなんたるかを教え、更生を図る」という目的は、発明から10年ほどで様変わりしてしまう。なにしろ、この労働はあまりにも過酷すぎた。

ろくでもない囚人は痛めつけられるし、動力はいっぱい得られるし最高じゃ~ん!」と気付いてしまったお偉いさんたちは、嬉々としてイギリス中の刑務所にトレッドミルを導入! この頃には、トレッドミルはすっかり拷問器具と化してしまったのだ…。

信長さん
囚人たちが過酷な労働にあえぐ姿は見物だっただろうな。
秀吉くん
信長さん、怖いっす…。

さらに、1865年に制定された監獄法でも「16歳以上の囚人は必ず最初の3ヶ月、トレッドミル労働をすること」と決められた。こうしてますますトレッドミルは刑罰の定番として普及していったわけだ。

この悪名高い監獄法は20世紀に入ると廃止され、同時にトレッドミル労働もなくなった。それにしてもお手本のようなすさまじいブラック労働である…。死人は出なかったのだろうか…?

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【追加雑学】拷問器具から健康器具へ!ルームランナーの転身秘話

拷問器具から健康器具へ!ルームランナーの転身秘話についてのトリビア

監獄法の廃止と共に出番ももうなくなった…と思われたトレッドミルだが、まだ新たな可能性が秘められていた!

まずは1953年、ワシントン大学のロバート・ブルースとウェイン・クイントンという2人の教授が、心臓や肺の疾患を調べるための医療用トレッドミルを開発した。

もとのトレッドミルは15分乗っただけでぐったりするような器具なので、心臓の負荷を調べるにはある意味うってつけだったのだ。

そして1968年には、エアロビクスの提唱者であるケネス・クーパーという運動生理学者が、この医療用トレッドミルを「トレーニングにも最適!」と大絶賛。

彼のお墨付きにより、健康志向の一般人の注目が高まったため、以降続々と家庭向けに改良したトレッドミルが誕生していったのだ。

かくしてトレッドミルは、悪名高い拷問器具から健康器具へと生まれ変わったのである!

秀吉くん
今でも調子乗ってやりすぎたら拷問器具になっちゃうっすけどね…。

雑学まとめ

刑罰の定番…!ルームランナーはもともと拷問器具だった【動画あり】についての雑学まとめ

今回の雑学ではルームランナーの黒歴史をご紹介したが…いかがだっただろうか? 好きなときに走れて好きなところでやめられる、現代の我々は幸せなのかもしれない。19世紀の囚人じゃなくてよかった!

しかし我が家の場合、片足を乗せただけで愛犬がブチ切れるので、もうルームランナーは使えない。室内で運動したいな~と思ったら、ジムに行くしかないのだ。

もしかして常日頃から有酸素運動をしていた当時の囚人って、すごく健康的だったのでは? ジム代も払わなくて済むし…。いや、それでも1日6時間はやっぱり嫌だな…。

信長さん
俺が生きていた時代にあったら、気に入らない奴ら全員ひっ捕らえて1日10時間トレッドミルで労働させるところだな。
秀吉くん
さすが魔王…日本でトレッドミルが誕生しなくて良かったっすわ。

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