日本史 暇つぶし

渡辺魁の人生がスゴい。エリート→逮捕→脱獄成功→裁判官!

雑学カンパニー編集部

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日本には脱獄成功したあと裁判官になった囚人がいる!に関する雑学

世の中にはさまざまな犯罪がある。そして捕まってしまった先に収容されるのは、監獄。現在では「刑事施設」という名称が用いられているが、なんとなく「監獄」の方がしっくりくる呼び方である。しっくりきてはいけない場所ではあるが。

監獄・刑務所を舞台にした映画やドラマ、小説ではさまざまな塀の中でのできごとがドラマチックに描かれていて、不謹慎ながらも好奇心がくすぐられる。そしてなんといっても、一番ワクワクするのは「脱獄」ではないだろうか?

今回はなんと、その脱獄を成功させ、しかもその後就いた職業が裁判官。事実は小説よりも奇なり、そんな囚人がいたというので雑学としてご紹介しよう。

【面白い雑学】日本には脱獄成功したあと裁判官になった囚人がいる

信長さん
渡辺魁(わたなべ かい)…この男は脱獄に成功し、戸籍を偽って裁判官になった囚人なのだ。
秀吉くん
マジっすか?!いったいどんな人生を歩んできたヤツなんっすか??

【雑学解説】渡辺魁(わたなべかい)という男の人生

渡辺魁(わたなべかい)という男についてのトリビア

脱獄して裁判官になった男「渡辺魁」は1859年5月6日、江戸在府の島原藩士、渡辺平丁の長男として江戸(現東京)に生まれる。

そして脱獄のだの字も知らずにスクスクと育ち、商法講習所(一橋大学の前身)で学んだ後、三井物産長崎支店に勤務。いわゆるエリート街道ってやつ。ここまでは良かったが…。

秀吉くん
三井物産に就職とかすごいじゃないっすか…!渡辺にいったい何が起きたんっすか…?

逮捕

大人になった魁は自身のさきがけを抑えきれず、遊郭通いにハマってしまった。しかし月給は安く、とてもじゃないが通い続けることはできない。

そこで渡辺は、自分が銀行に勤務していて、さらに金銭出納を担当していたのを利用し、検印を盗んで会社の切符を偽造し、三井銀行から計約460円(当時、1円は現在の2万円程度にあたる)を横領。すぐに捕まってしまい言い渡された判決は、無期懲役

信長さん
渡辺は色に狂って転落人生を歩み始めたのだな…。

脱獄成功!

はじめ、長崎監獄で服役していたが、無期懲役となっては全く前途に光がない。プチ脱獄は試みたがあっけなく失敗。その他にもたびたび獄則違反をし三池集治監(福岡県)に移監されてしまう。

送られた先では三池炭鉱での採炭作業が待っていて、一生重労働を課せられる。そんなのまっぴらごめんと、3週間後渾身の脱獄を企て、渡辺は成功をおさめるのである。

秀吉くん
3週間で脱獄?!そのテクが気になるところっすわ…!

就職も成功!

渡辺魁、就職も成功!についてのトリビア

そしてすぐに渡辺は父のもとに向かい相談したところ、別人としてやり直せばいいじゃない、と戸籍を偽造「辻村庫太」として新たな人生をスタートさせた。父もまたつわものだ。

信長さん
心機一転した渡辺は、大分始審裁判所・竹田治安裁判所の雇員に採用されたのだ。

もともと頭が良かった彼はぐんぐん昇格し、なんと最終的に長崎始審裁判所福江治安裁判所の判事に就いた。

ついでにいっておくと爽やかイケメン、聡明であったため、上の人間にも一目置かれていたという。無事に地位も得て、父のコネとスマートな振る舞いでうまく切り抜けるはずだったが…。

再び逮捕

かつての横領を行った場所は長崎。そして彼が判事を務めているのも長崎。そのうち誰からともなく、あれ? なんか渡辺魁に似てんじゃね? と噂は広まって、父と同居していたこともあり、内偵が入ってバレてしまった

身柄を拘束され「官文書偽造行使」軽懲役6年の有罪判決を受けて再び服役することに。なんか、いろいろけっこうツメが甘い気がするぞ。

秀吉くん
『聡明』のわりにユルユルっすね…。

渡辺魁のその後…

いよいよもう一生監獄生活かと思いきや、その翌年に、虚偽の陳述をしたのには違いはないけど戸籍簿の記入自体は官吏が行ったものであるから「官文書偽造」に当たらないという理由から、なんと無罪判決が言い渡される。

それを受け、2度目の服役から約1年で出獄。終身懲役で収監されることも、時効により脱獄が罪に問われることもなかった。えー、なんか、いいの? という感じが否めない。

その後、渡辺はパンピーに戻り、字を書くのが上手かったため、それを生かして看板書きや代書屋をしながらひっそりと暮らし、長崎の自宅で死去。64歳であった。

めでたしめでたし…。いやいやそうじゃない。賢いのかバカなのか、そして渡辺魁の父もまたいかがなものか。代書屋で、他人の経歴を詐称しなかっただけまぁ良しとしよう。

信長さん
脱獄犯が裁判官になったというこの風変わりな事件は、当時の新聞や雑誌で大きく取り上げられ、さらにこれをもとにした芝居なども全国で行われていたそうだ。

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【追加雑学】脱獄犯はアーティスト?

脱獄犯はアーティスト?というトリビア

渡辺魁が道具を使って脱走したのか、何も使わずに脱走したのかまでは不明だが、限られた環境の中で、脱走犯が造り上げたアイデア満載の道具をいくつかご紹介しておこう。

  • チェスの駒を装った縄ばしご:縄ばしごの足をかける部分がチェスの駒に偽造されている。
  • ショットガン:ベッドの柱から造られており、火薬はカーテンのテープに含まれている鉛、発射装置は単三電池などが組み合わされていて実際に発砲された。すげー。
  • ノコギリ:木のハンガーを改造して造られており、刃の部分はそのままの糸ノコ。糸ノコはもたせてもいいのか。
  • はしご:スチールの本棚を組み合わせてできたはしご。

他にも脱走道具ではないが、空になった西洋わさびチューブから作った大麻喫煙用のパイプやアルミホイル、ワイヤーを駆使して造られたトースターなど。時間があるからなのかアイデア満載でその能力を違うところで生かせばいいのに、と大いに思う。

秀吉くん
渡辺、そんなに頭が良いのに遊郭で人生狂わしちゃったのが残念でならないっすね…まあ遊郭のヤバさは分かるっすけど…。

渡辺魁の雑学まとめ

渡辺魁という男。脱獄成功→裁判官へ!結局バレたけどね…についての雑学まとめ

今回は、脱獄犯と裁判官かなり近くて真逆の体験をした男、渡辺魁という男についての雑学をご紹介した。

恵まれた家庭環境と頭の良さ、そして人たらしだったのだろう彼の武勇伝は、今後も多くの人を魅了し、語り継がれるのであろう…。

信長さん
なかなか豪快な人生を歩んだ奴だな。俺はこういうの嫌いじゃないぞ。
秀吉くん
そうっすね。抜けてるところもあって…そこがまた憎めないっていうか…まるで僕みたいな…。
信長さん
は?お前、冗談ならばもっとマシなことを言え。

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