「ま~いにち、ま~いにち、僕らは鉄板の~」でおなじみ、子門真人(しもんまさと)の歌う「およげたいやきくん」。
店で焼かれたたい焼きが店主とケンカし、海に飛び込むという、ポップな内容の歌詞。そして、どこか哀愁の漂うメロディが印象的なこの曲は、1975年にフジテレビの子供向け番組「ひらけ! ポンキッキ」で番組のオリジナル曲として放送され、その後のリクエスト殺到からレコードとして発表されるに至った。
ちなみにB面には、なぎら健壱の歌う「いっぽんでもにんじん」が収録されており、こちらも日本人であれば皆知っている曲であろう。
今回は日本で売れたシングルレコードをランキング形式でご紹介しよう。
【サブカル雑学】日本で一番売れたシングルレコードは「およげたいやきくん」
【雑学解説】日本一売り上げたたいやきくん。
シングルレコードとは楽曲を1曲または2曲収録したレコードで、古くはアナログ盤と呼ばれる直径17cmのレコードから始まり、直径25cmのSP盤・直径30cmのLP盤と昭和の時代から形を徐々に変え、愛され続けてきた音楽収録媒体である。
平成に入ってからはCD(コンパクトディスク)・MD(ミニディスク)と次第にコンパクト化され、現代ではネットで曲を購入する方も多いだろう。若い世代の方はレコード盤などを見たこともないかもしれない。イメージとしてはDJがターンテーブルで回すアレである。
シングルレコードを紹介したところで、次に販売枚数のランキングを見ていこう。
日本で売れた!歴代販売枚数ランキング・トップ10
順位 | タイトル | 歌手 | 販売枚数 |
1 | およげたいやきくん | 子門真人 | 約457.7万枚 |
2 | 女のみち | 宮史郎とぴんからトリオ | 約325.6万枚 |
3 | 世界に一つだけの花 | SMAP | 約312万枚 |
4 | TSUNAMI | サザンオールスターズ | 約293.6万枚 |
5 | だんご3兄弟 | 速水けんたろう・茂森あゆみ・ひまわりキッズ・だんご合唱団 | 約291.8万枚 |
6 | 君がいるだけで/愛してる | 米米CLUB | 約289.5万枚 |
7 | SAY YES | CHAGE and ASKA | 約282.2万枚 |
8 | Tomorrow never knows | Mr.Children | 約276.6万枚 |
9 | Oh! Year!/ラブストーリーは突然に | 小田和正 | 約258.7万枚 |
10 | LOVE LOVE LOVE/嵐が来る | DREAMS COME TRUE | 約248.8万枚 |
現代ではスマートフォンや音楽プレーヤーの発展により、レコードやCDの需要が低下しているため、ランキングの上位を占めるのは昭和や平成初期の楽曲となっている。
3位に食い込んだSMAPの「世界に一つだけの花」は2016年の解散騒動までは9位であったが、ファンによる解散を食い止めようとする動きから売上を伸ばし、3位にランクインしている。
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ちなみに、上記のランキングは日本国内での歴代売上を元に作成しているが、世界で一番売れた日本人歌手のシングルレコードは、坂本九(さかもときゅう)の歌う「上を向いて歩こう」で、海外では「SUKIYAKI」というタイトルで推定売上枚数、約1,300万枚という大ヒットを繰り出している。
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【追加雑学】およげたいやきくんの印税
さて、これだけ売れていると気になるのは印税。印税とは著作物を販売するとき、販売元が著作者に支払う著作物使用料のことである。450万枚以上売れたレコードの使用料も莫大な金額になると思われたが、ここには意外な事実がある。
歌い手の子門真人は、元は歌謡歌手であったが、デビューからヒットに恵まれず、1年半で歌手の道を諦め、音楽出版社で働く傍ら、CMソングなどの吹込みのアルバイトをしていた。
その日、いつも通りアルバイトで吹き込んだ「およげたいやきくん」。その吹込み料として支払われたのは5万円。B面の「いっぽんでもにんじん」の吹込み料は3万円だった。
まさかこれが爆発的ヒットを生み、シングルレコードとして販売されるなど、このときは誰も思っていなかった。
「およげたいやきくん」と「いっぽんでもにんじん」は吹込みの著作権ごと買い取る契約であったため、歌い手に印税は支払われず、その後450万枚という枚数が売れたにも関わらず、子門真人・なぎら健壱には1円も入ってこなかった。
販売当時はシングル盤が300円ちょっとで販売されている時代、450万枚売れれば、レコードの印税率6%をかけて、印税額は8,748万円。現代の価値に換算すると約1億6000万円相当になる。
しかし、これが5万円・3万円の吹き込み料だけである。計算するとやるせなさがこみあげてくる。
のちに、ヒット記念と称して子門真人には100万円と白いギターが1本贈られたようだが、印税額に比べれば氷山の一角もいいところである。
雑学まとめ
40年以上前から歴代売上1位を守り続ける「およげたいやきくん」についての雑学をご紹介した。現代のレコード離れからみても、今後抜かれる心配はなさそうだ。
いやしかし、印税についての悲しいエピソードはどうにもやるせない気分になってしまう。
まさに歌詞の内容の通り
である。