じゃんけんといえば、グー・チョキ・パー。給食で余ったプリンを賭けて、壮絶なバトルが繰り広げられるアレだ。
この雑学記事を読んでくれている方で、じゃんけんをやったことがないという方は…おそらくいないだろう。
では、グー・チョキ・パーではなく、ナメクジ・カエル・ヘビで行われるじゃんけんがあったのをご存知だろうか。一般的にはあまり好かれていないであろうこの3匹。これらを使ったじゃんけんとは一体…?
【生活雑学】じゃんけんはもともと、ナメクジ・カエル・ヘビ
【雑学解説】ナメクジ・カエル・ヘビを使ったじゃんけんは中国発祥の「虫拳」と呼ばれるもの
皆がよく知るグー・チョキ・パーのじゃんけんは、江戸時代末期から明治時代にかけて成立したと言われている。
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そのじゃんけんのもとになったのが、ナメクジ・カエル・ヘビの「虫拳」と呼ばれるもの。
中国にある、「ナメクジはカエルを怖がり、カエルはヘビを怖がり、ヘビはナメクジを怖がる」という言い伝えが元になったという。いわゆる三すくみの状態というやつだ。
この三すくみというのはじゃんけんの他に、例えばゲーム内での属性(水は火に強く、火は草に強く、草は水に強いみたいな)でも使われていて、意外と馴染み深いものかもしれない。
さて、「虫拳」に話を戻すと…ナメクジがカエルを怖がるのはわかる。舌で捕えられて食べられるイメージ。また「ヘビに睨まれたカエル」という言葉があるように、カエルはヘビに丸呑みにされるから怖がるというのもわかる。
ん? ヘビってナメクジを怖がるのか…? と思っていたら、なんと! ナメクジはヘビの毒を無効化し、粘液でヘビを溶かしてしまう! …ということらしい。実際はそんなことは起こらないが、昔はそう信じられていたようだ。ナメクジ強すぎじゃないか!?
【追加雑学①】カエルやヘビは虫ではないのになぜ『虫拳』?
では、カエルやヘビは虫ではないのになぜ「虫拳」というのか? 「虫」という字はもともとヘビの形からできたもので、爬虫類の仲間を示す漢字に虫偏を使うのは妥当なんだとか。
ヘビは漢字で「蛇」、カエルは「蛙」、ナメクジは「蛞蝓」。たしかに、すべて「虫」という字が付いている。
虫拳の遊び方
- 「ナメクジ」は、指切りげんまんのように小指を立てる。
- 「カエル」はサムズアップの要領で親指を立てる。
- 「ヘビ」は、ビシッと人差し指を出す。
- 「ム・シ・ケンッ!」という掛け声に合わせていざ勝負! 好きな手を出そう。
親指は小指に強く、人差し指は親指に強く、小指は人差し指に強いということだが、慣れるまでは混乱しそうだ…。
小指=子供・親指=父親・人差し指=母親として考えれば、なんとなく覚えやすいかもしれない。
子供に父は厳格に接するが、父も妻の尻に敷かれ、母親は子供を溺愛するという構造。これも立派な三すくみといえよう。
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【追加雑学②】他の三すくみ拳について
その他にもある三すくみ拳も紹介するぞ!
虎拳
「和藤内(わとうない)」・「虎」・「母」の三すくみ。
「和藤内」は「虎」に強く、「虎」は「母」に強く、「母」は「和藤内」に強い。和藤内は槍を持つ格好、虎は四つん這い、母は杖をつく格好で表す。
ちなみに「和藤内」とは、浄瑠璃「国性爺合戦(こくせんやかっせん)」の主人公のことだ。
和藤内を加藤清正(かとうきよまさ)に置き換えた清正じゃんけんもある。
狐拳
「狐」・「庄屋」・「猟師」の三すくみ。
「狐」は「庄屋」に強く、「庄屋」は「猟師」に強く、「猟師」は「狐」に強い。
狐は頭の上で手のひらを相手に向けて狐の耳を作り、庄屋は正座をして手を膝の上に置く格好、猟師は両手の握りこぶしを前後にずらして猟銃をもつ格好で表す。
これらはお座敷遊びとして今でも料亭などで行われている。テレビや映画なとで見たことがある人もいるのではないだろうか。
また、狐拳を続けて3回勝った方が勝者となる、「藤八拳(とうはちけん)」も存在する。
藤八拳は、相手の予備動作を見て次の手を予測することも必要となり、一時の運だけでなく競技性が高いものである。藤八拳番付も作成されているらしい!
藤八拳の稽古の模様を撮影した動画を発見!
藤八拳練習中の動画をyoutubeで発見したぞ!
この3人は藤八拳の師匠だそうだ。ベテラン同士の熱いバトル! …のはずなのだが、見ていてどこか和む。
そして、藤八拳の競技ともなると動きが想像以上にすばやい。お座敷遊びならいざ知らず、競技の場合は、頭の上に手をやって可愛く狐の耳を作っている場合ではないようだ。
雑学まとめ
普段なにげなくやっているじゃんけんは、とても歴史のある遊びだということがわかった。じゃんけんをするたびに、「昔の人もこうやって遊んでたんだなぁ」と感慨深く感じることだろう。
今回の雑学で興味がわいた方は、藤八拳をマスターして、番付常連の歴代猛者たちに挑戦してみるのもいい。競技人口が減少している藤八拳界で大歓迎されること請け合いだ。
また、三すくみの事象にそれぞれポーズを付ければ、じゃんけんのように勝敗を決めることもできる。あなたが考えたオリジナルの『じゃんけん』を流行らせれば、発案者として後の世に名前が残るかもしれない!