すっかりテクノロジーが発達した現代だが、アナログ人間の筆者は飛行機に乗るといまだに、「よくもまあ、こんなにでっかい鉄の塊が空を飛んだものだ」などと考えることがある。
渋滞のない空を自由に飛び回れる飛行機を発明した人類は、本当にすごいなと思う…しかしこの「自由に」というのは、ある意味では正しくない。
飛行機は、安全に飛ぶための高度が定められていて、ただ飛ぶにしても、かなり多くのことに気を配る必要があるのだ。
【生活雑学】飛行機が高度1万メートルで飛ぶ理由とは?
【雑学解説】飛行機と空気抵抗の関係
飛行機が高度1万メートル前後で飛ぶのは、空気抵抗を極力受けないようにするためである。登山をしたことがある人はわかるだろうが、山の上は空気が薄い。つまり上空へ行くほど空気が薄く、空気抵抗が少ないのだ。
しかしそれなら、もっと上空を飛んだっていいんじゃないか? という声が聞こえてきそうだが、そうもいかない。
飛行機のエンジンは空気を取り入れて圧縮・燃焼・爆発させることによって推進力を生み出している。空気が少なすぎると、今度はエンジンが上手く動かなくなってしまうのだ。
つまり1万メートルで飛んでいるのは、空気抵抗が少なく、エンジンの燃焼に必要な空気が最低限得られる高度だからである。
また大気の状態によっては高度5,000メートルほどで飛んだり、経路を大きく変えるなんてことも珍しくない。飛行機を普通に飛ばすにしても、さまざまな要素が複雑に絡んでくるのだ。
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ちなみに日本一の富士山は標高3,776メートル。上空1万メートルからは遥か下に見える。飛行機からしか見られない貴重な光景である。
【追加雑学】飛行機は離陸するのが最も大変?
飛行機を操縦していて、パイロットが特に神経を使う瞬間は、実は離陸のときだという。いくら科学が進歩したといっても、やはり燃料と機体を合わせた300トンもの重量を浮かばせるのは容易ではない。
飛行機は翼を境い目にして、上下に気圧の差を発生させることで、機体を引き上げる。翼の上側だけが丸みを帯びているのはこのためで、上側だけ空気が速く流れるようにして、気圧の差を生み出しているのだ。
この仕組みで発生する上向きの力を揚力(ようりょく)といい、飛行機を引き上げるだけの揚力を発生させるには、機体を時速300キロ前後まで加速させる必要がある。
素人目には、滑走路に目標を定めなければいけない着陸のほうが難しそうに感じるものだが、300トンもの機体を300キロの速度で走らせることを考えれば、離陸のほうが圧倒的に恐怖だとわかる。
パイロットには技術だけでなく、強い精神力も求められるのだ。
雑学まとめ
飛行機の高度が上空1万メートル前後と決まっているのは、空気抵抗やエンジンの燃焼など、さまざまな要素から考慮されてのことだった。やはり翼をもたない人間の力で空を飛ぶのは、そう簡単ではないのだ。
私たちが気軽に海外などに足を伸ばせるのは、航空会社やパイロットが、常に神経を尖らせてくれているからなのである。