筆者は最近物忘れが加速してきて、いよいよ生活に支障をきたし始めた。この間も洗剤を入れずに洗濯機を回したし、栓をせずにお風呂のお湯張りをしたこともある…。いわゆる老化というヤツだろうか…認めん! 断じて認めんぞ!
などと思っていたら、これも物忘れと関係があるのだろうか、脳の驚くべき仕組みが耳に入ってきた。その内容は「一度損傷した脳細胞は、二度と修復しない」というもの。
なるほど…ならばこのさき脳細胞は死んでいく一方で、筆者はアホにさらに磨きをかけていくことになるのか? …それは死活問題だ。ということで、今回はそんな脳細胞の雑学に迫っていくぞ!
【人体雑学】脳の神経細胞はダメージを受けると二度と新しくならない
【雑学解説】脳細胞は子供時代に形成され、大人になると分裂が止まる!
まずケガをして徐々に傷口がふさがっていくのは、皮膚が一生分裂を続ける「分裂細胞」で作られているからだ。分裂細胞はその名の通り、細胞の分裂によって傷の修復を行う。
これに対して、脳細胞は成長過程で分裂が止まる「非分裂細胞」でできており、男子は約11歳、女子は12歳ごろで分裂が止まってしまうという。よって人間の脳は子供の頃に形成され、大人になってから損傷を受けると修復ができないのだ。
こうした脳の仕組みは1906年、スペインの脳科学者サンティアゴ・ラモニ・カハール氏が論文で発表したもので、カハール氏は同年ノーベル生理学・医学賞を受賞している。
脳に損傷を受けた際、リハビリで症状が回復するのは?
脳細胞は修復しないことが医学的根拠に基づくとして、同時に「脳に損傷を受けたときに、リハビリで症状が回復するのはなぜか?」という疑問が出てくる。
この疑問に答えると、リハビリによって脳細胞が修復するのではなく、脳細胞同士の神経伝達が上手くなるからだ。具体的には、生きている部分が強化されることで、損傷を受けた部分を避けて神経伝達が行えるようになる。
考えてみれば30代が20代よりも仕事で活躍するのも、同じ理屈だ。脳の精度でいえば20代より劣化してくるものの、30代は多くの経験によって脳の使い方が上手くなっているのだ。
これには「ないものねだりをしなくても、人はもっているものを活かして、いかようにも進歩していける」という教訓が秘められていると思う。
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【追加雑学】大人になってからもわずかに分裂する脳細胞が発見された
実は近年、脳細胞の一部に、大人になってもわずかに分裂する「神経幹細胞」という細胞が発見され、注目されている。この神経幹細胞を使えば、脳細胞を修復することもできると考えられているのだ。
しかし修復を行うためには神経幹細胞を損傷部分まで移動させ、干渉させる必要がある。傷付いた脳内ではその移動が上手く行えず、修復するにはいたらないのだ。
名古屋市立大学大学院医学研究科・自然科学研究機構生理学研究所・バレンシア大学・自治医科大学などが共同で行った実験では、脳梗塞後の神経再生メカニズムを発見した。神経幹細胞の移動に必要なたんぱく質の生産を増加させると、脳梗塞で低下していたマウスの運動機能が改善したという。
動物実験ではすでに成功例があるのだ。脳の障害で困っている人が、もとの生活を取り戻せるようになる日も、そう遠くはないのかもしれない。
雑学まとめ
今回は脳細胞についての雑学を紹介した。
大人になってからの脳細胞は自主的な修復をしない。しかし記事の中で触れたように、人の能力は脳細胞の数には比例しないのもまた事実だ。経験を積むことや、仕事の中で工夫をこらすことで、脳の使い方自体は磨いていくことができる。
よし! そうとわかれば、人一倍仕事を頑張って、脳をどんどん鍛えるぞ! などと意気込みながら、今日もまた洗剤を入れずに洗濯機を回す筆者であった…。
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