この世の中に、正式名称を知っている人はどれだけいるのだろう。アレのことだ、アレ。食パンの袋とかを止めているアレである。
凹凸マークの凹っぽい形をした、白とか青のプラスチック製留め具「食パンのアレ」。実際に包装をよく見ると袋自体が密閉されており、アレがついてる意味ってないじゃん? と思ってしまうのだが…。
今回の雑学テーマは、この「食パンのアレ」について。実は画期的な発明品であるうえに、その後の使い道もある便利な道具だったのである。
【面白い雑学】食パンの留め具の名前は?
【雑学解説】食パンの留め具「バッグ・クロージャー」はどうやって生まれた?
今でこそ当たり前に「袋詰め」されている商品だが、大昔はそもそもビニール袋すら生産されていなかった。食べ物に布をかけて量り売りや並べ売りがされていたのだ。そこから袋に商品を入れて売る時代になり、袋の留め具が必要になったのである。
それは1955年、アメリカでのこと。リンゴやブドウの産地として有名なワシントン州ヤキマという静かな街で、ヘイル・パクストン氏が考案したのが、リンゴの袋を簡単に留める器具「バッグ・クロージャー」だった。
バッグ・クロージャーが食パンに使われるまで
クイック・ロックという会社を立ち上げたパクストン氏はこの製品を生産した。すると野菜の袋を留めるために大好評となり、アメリカからオーストラリア・アイルランド・日本へと進出を遂げる。
後に専用の取り付け機械が発明され、日本では野菜ではなく主にパンの袋留めに活用される。取り付け簡単・印字が出来る・軽量で安全という理由から、輪ゴムやホチキスなどのライバルを蹴散らして拡大していった。
現在、日本での生産は埼玉県川口市にあるクイック・ロック・ジャパン社のみという専売ぶりで、年間生産量はなんと30億個! 密封技術が向上した今もなお、バッグ・クロージャーはお菓子やパンなどの袋留めとしての需要が高い。
【追加雑学①】食パンの留め具「バッグ・クロージャー」のバリエーション
私たちが真っ先に想像するバッグ・クロージャーは青や白で、凹型が定番品だと思う。しかし、実はレッド・オレンジ・ベージュ・ブルー・グリーン・イエロー・ホワイトの7色。そして、8種類の形を展開している。
穴の形もハートマークやバツマークがあるのだが、あなたは何色のバッグ・クロージャーを見たことがあるだろうか?
網ネットでも留められるように穴がとても小さい「N-0」タイプ・穴が両方向についている「A」タイプ・一般品より大きさが約2倍もある厚くて丈夫な「Z」タイプなど。
縦長や正方形の印字スペースに、レシピや商品情報をカラー印刷できる「ラベルクロージャー」も印象的だ。なかなか目にする機会はないけれど、写真印刷も可能である。
今は昔のように袋の口を閉じる機能としてより、商品情報を表示したり巾着状にラッピングする効果の方が高いのだが、一度開封したパン袋はやはりバッグ・クロージャーで留め直すのが一番手っ取り早いだろう。
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【追加雑学②】バッグ・クロージャーは食パン以外にも使える!?
パンが袋の中にあるうちは使うけれど、食べ終わったら捨ててしまうことが多いバッグ・クロージャー。しかし、これを取っておいてさまざまな用途に再利用している人たちがいる。
一番想像しやすいのが、コード類などをまとめる方法。イヤホンのコード・使いかけの毛糸の切れ端・中途半端な長さの糸など紐状のものはお手の物!
これは便利だと感心したのが、電化製品のコードに取り付ける方法だ。延長コードなどでぐちゃぐちゃなコード類だが、何のコードなのかをクロージャーに油性ペンで書いておくともう迷うことはない。色分けできるのも便利だ。
マスキングテープで覆って色柄をカスタムする人もいれば、まさかのアクセサリーに加工する強者までいるというから驚きだ。イヤリングやネックレスに…斬新な使い道である。
その他、ふたつに折り曲げて箸置きにしたり、とっておいて生ごみを捨てる時に袋の口を留めたりと、何かと便利に使えてしまう。
バッグ・クロージャーがなんとウエディングドレスに…!
世界にはあのバッグ・クロージャーで服を作るなんて、想像もできないことをしてしまった人までいる。それもなんとウェディングドレスだ。
オーストラリアのエコファッションデザイナーであるステファニー・ワトソンさんは、恋人と「パンの留め具が集まったらそれでドレスを作って結婚しよう」と冗談を言っていた。
それから10年、たくさん集めたバッグ・クロージャーでドレスを作り、2人は本当にそれで結婚式を挙げたのだ。製作時間は約300時間かかったというこのドレスは、エコロジーに関心がある大勢の人に影響を与えたんだとか。
「食パンの留め具」の雑学まとめ
食パンのアレ、バッグ・クロージャー。今後もし誰かに聞かれたら自信満々に答えられる雑学になっただろうか。アメリカでは今でも野菜や果物の包装に現役で活躍しているそうである。
もしパン袋などをもう一度閉じようと思ったら、まずは袋をしっかりネジネジとひねっておこう。その状態からバッグ・クロージャーをはめ、最後にネジネジを広げておく。こうすることで空気の通り道が狭くなり、かなりしっかり再密閉出来るぞ。
意外に使いみちが多くあるので、私もなにか思いつかないだろうか。おそらくドレスみたいな大作は一生かかっても無理だが…。
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