身近な食品の内容量、どのくらい入っているかご存知だろうか。牛乳なら一本1,000ml、ペットボトルなら500mlや1.5Lといったように、商品によって量が決まっているように思える。
さて、今回注目したのは食用油である。サラダ油やキャノーラ油・ごま油など多くの種類がある食用油。その内容量を見ると、ほとんどの食用油は「g(グラム)」で表示されているのだ。
冒頭でお伝えした牛乳やジュースのように、液体の場合には「ml」や「L」の表記が使われる。しかし、同様に液体である食用油は「g」表示。
…ということで今回の雑学では、液体である食用油の内容量表記がどうして「g」なのかについてご紹介しよう。
【食べ物雑学】食用油の内容量の表記が「g(グラム)」な理由とは?
【雑学解説】気温が上がると油は膨張する
水や牛乳・ジュースといった液体は、気温が変化してもその体積はほとんど変わらない。しかし、油は違う。気温が上がると体積が膨張する性質があるのだ。
そのため、体積を基準にして計ると大変なことになる。寒冷地の工場で計った1Lの油と、温暖な地域の工場で計った1Lの油では量に差がでてしまうのだ。
縄文時代からごまやエゴマといった、油の原料となる植物の栽培は始まっており、大化の改新が起きた7世紀頃には税金として油を納めたという記録も残っている。また、江戸時代の油問屋も、問屋同士の取引の際には重さで計っていたという。
油との長いつきあいの中で、油は重さで計るものという意識が根づいていったのかもしれない。
【追加雑学①】サラダ味のサラダはサラダ油のこと
せんべいやスナック菓子などで「サラダ味」というのがある。シンプルな塩味で、筆者は好んで食している。好んで食してはいるが、いわゆる野菜を盛り合わせたサラダの味はしない…とずっと思っていた。
それもそのはず。サラダ味の「サラダ」は「サラダ油」のサラダだったのだ。お菓子業界においてのサラダ味とは、サラダ油をからめた塩味をさしていたのだ。
大好きなサラダ味にそんな秘密がかくれているとは驚きである。
ちなみにサラダ油のサラダは、野菜のサラダからきている。冷やしても固まったり、濁ったりしないサラダ油は常温で使いやすく、マヨネーズやドレッシングなどに向いている。サラダに使う油だからサラダ油、というストレートなネーミングだ。
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【追加雑学②】ダイエット中も油を摂ろう
ダイエット中に何より気になるのはカロリーだろう。一日の摂取カロリーが消費カロリーを超えてしまえば、どんなに運動をしても痩せることはないからだ。
油のカロリーは1gあたり9kcal。炭水化物やタンパク質は1gあたり4kcalなので、油は高カロリーである。そのため、とにかく油を摂らないようにしている人もいるのではないだろうか。しかし、実はダイエット中も適度に油を摂った方がいいのである。
農林水産省のHPでは生きるために必要な「三大栄養素」が紹介されている。三大栄養素とは、ごはんやパンなどに含まれる炭水化物、肉・魚などに含まれるたんぱく質、そして油などに含まれる脂質の3つだ。
そう、油。つまり脂質は人間の身体に必要な栄養素の1つなのである。脂質には、体内で作ることのできない必須脂肪酸が含まれており、細胞やホルモンの材料となっている。
そのため、脂質が不足すると肌や髪の毛の乾燥・便秘・皮膚炎などの不調が起こる場合も。また、脂質が足りないと脂溶性ビタミンを摂取しにくくなるという問題もある。
オリーブオイルと亜麻仁油がおすすめ
ダイエット中に摂る油としておすすめなのがオリーブオイルと亜麻仁油である。オリーブオイルの成分の約70%を占めるオレイン酸には、血中コレステロールを減らす作用があり、脂肪になりにくい油だといわれている。
また、亜麻仁油にはαリノレン酸が多く含まれている。このαリノレン酸は、体内でDHAやEPAといった魚に含まれる成分へと変換される。亜麻仁油を摂ることで、不足しがちな栄養を補うこともできるのだ。
食用油の雑学まとめ
思いのほか深い食用油の世界。いわれてみれば、我が家のキッチンにもオリーブオイルにごま油・サラダ油など常時何種類かの油がある。炒めるときはこれ、揚げ物のときはこれ、となんとなく使い分けているのだ。
実に多様な種類がある油。それぞれに含まれる栄養素や味の特徴などをしっかりと把握することで、普段の食生活がいっそう豊かになることは間違いなさそうである。
もちろん、油の摂りすぎには十分に注意が必要だ。