ジーンズの色は? と聞けば、ほとんどの人が青色または藍色を連想するだろう。
では、なぜその色が青色なのか? と問われれば、答えられる人はなかなかいないのではないだろうか? まさにこれこそ雑学の極みである。
現代でこそ一般的とされている青色ジーンズだが、当初作られていたジーンズは着色の無い、生成り生地(綿糸で織った着色のない薄いクリーム色の生地)を使ったものであった。ジーンズが現代の青色に変わるまでの歴史に迫ってみよう。
【生活雑学】ジーンズが青色なのはなぜ?
【雑学解説】ジーンズの青色は害虫・蛇を遠ざける!?
ジーンズが青いのはインディゴと呼ばれる染料で染められているからであり、元の生地自体は生成りである。インディゴ染めは大変手間がかかる上に色ムラも多い。なぜ、こんな面倒な色をジーンズの色に採用してしまったのか。
ジーンズの歴史は古く、1800年代後半のアメリカのゴールドラッシュ時代に遡る。当時、卸業を営んでいたリーヴァイ・ストラウスは、鉱山で働く鉱山夫たちに頑丈な生地で作った作業着の需要があるのではないかと考え、テントや馬車の幌などで使う頑丈なキャンパス生地を使って作業着の販売を始めた。
”リーヴァイ・ストラウス”、この人物の名前を聞いてピンときた方もいるかもしれないが、この人物こそ、世界的なジーンズメーカーである「リーバイス」社を創業した人物である。
すぐに破けてしまう既存の作業着に辟易していた鉱山夫たちにとって、リーヴァイの作った頑丈なズボンは好評であった。これがジーンズの始まりなのだが、このときのジーンズは前述したように生成りで作られていた。
インディゴ染めで他社ジーンズとの差別化に成功
どの業界でも、一つの商品に人気が集まれば類似の商品も市場にあふれてくるのはいつの時代も変わらず、キャンパス生地で作られたジーンズは、瞬く間に類似品が出回るようになってしまった。ここで、さらなる一手としてリーヴァイが考えたのが「インディゴ染め」であった。
天然のインディゴには虫や蛇の嫌う「ピレスロイド」という成分が含まれており、害虫・蛇を遠ざける効果があった。また、青色に染めたジーンズは鉱山作業でついてしまう汚れも目立たなくなるなど、まさに鉱山夫のかゆいところに手が届くといったもので、これまた人気を博すこととなる。こうしてリーヴァイの作るジーンズは他の類似品と一線を画すことに成功した。
しかし、実はこの「ピレスロイド」。確かに害虫・蛇を寄せ付けない効果はあるのだが、当時のジーンズに施されていた染料に含まれる量は大変に微量で、大きな害虫や蛇を遠ざける効果は期待できなかったのでは、ということが現代では明らかになっている。もう少し科学が進んでいれば、青色ジーンズの誕生はなかったのかもしれないのだ。
天然インディゴは希少なため、大量に抽出することはできず、大量生産には向かなかったが、のちに合成インディゴと呼ばれる人工の染料が開発され、リーヴァイの作った青色ジーンズの流通は一気に世界中へ広まっていったのである。
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【追加雑学】ジーンズソムリエ資格認定試験
このような歴史から、現代に至ってもなお奥の深いジーンズの世界だが、そんなジーンズにまつわる資格試験があることをご存知だろうか?
その名も「ジーンズソムリエ資格認定試験」。ジーンズのソムリエとは初耳だが、ジーンズに関する深い知識を持ち、その魅力と価値を正しく伝えるジーンズのアドバイザーである。ジーンズソムリエは先ほど記述した歴史背景はもちろんのこと、生産工程や品質管理、流通や素材、縫製について学び、製造や販売の過程で活躍しているとのこと。ずいぶん専門性の高い資格である。
倉敷ファッションセンターが実施するジーンズソムリエ資格認定試験は、年1回、9月に実施され、択一式49問と小論文1題からなる筆記試験を突破することで、合格認定される。合格率は64%前後と易しめではあるが、しっかり対策を講じなければ安心できない数字となっている。ちなみに受験料はテキスト代を含めて8,130円。
面白いのはこの試験、一度合格しても何度でも受験することができるのである。
毎年刷新される試験問題は、日々発展するファッション業界の知識を踏襲した内容となっており、1度合格した者が、2度目、3度目の試験を合格することで、その知識を研鑽していくというのだ。
複数回試験に合格した者は「ジーンズソムリエ資格認定試験 2回合格者」や合格回数を★の数で表したりと、資格そのものもマイナーだが、試験制度もマイナーな試験だ。
雑学まとめ
今回はジーンズにまつわる雑学をご紹介してきた。世の中のジーンズが青色なのは、世界的ジーンズメーカー「リーバイス」社の、ゴールドラッシュ時代の鉱山夫への想いから染まったものであった。
その実、インディゴにはそこまでの害虫・蛇除けの効果はなかったものの、そこには営業に長けた世界的ジーンズメーカー創業者の知恵と戦略が詰まっていた。
現代で使われている合成インディゴには害虫・蛇除けの効果は全くないので、ジーンズで山道などに入るときは虫よけスプレーなどを携帯することを強くお勧めする。
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