学生時代に友人が、バイト先に変わった人がいるという話をしてきたときのことだ。
「その変わった人がね、鳥を十匹も飼ってるって言ってて…」というのでその数にビックリしていると、その友人がすかさず「鳥は十羽だろっ!」と。なんと数え方に異議を唱えてきたのだ。これにはその場で聞いていた全員が「そこ!? 数の多さじゃなくて!?」とツッコミを入れたのだった。
そんな昔話はさておき、鳥と同じようにウサギも「羽(わ)」で数えることをご存知だろうか? 実際には「匹」で数えても大丈夫なのだが、昔の名残で「羽」を使うこともあるのだ。
ウサギに羽は生えていないし、鳥の仲間でもないのになぜ「羽」で数えていたのだろう。もしや、「昔はウサギも空を飛んでいたんだよ」という子どもの頃に聞いた冗談は本当だったのか?
今回はウサギを「羽(わ)」で数える理由についての雑学をご紹介しよう!
【動物雑学】かつてウサギは鳥だと思われていた!
【雑学解説】ウサギを鳥だと思っていた理由は?
ウサギが鳥の仲間であるといわれた理由はいくつかある。
- 長い耳が鳥の羽のように見えるから
- 「う(鵜)さぎ(鷺)」と同じ名前の鳥がいるから
- 網で捕まえるところが鳥と同じだから
- 鳥のように2本足で立つこともあるから
また、ウサギを捕まえたときに耳を縛って「一把(いちわ)」と呼んでいたことから「一羽」に転じて鳥に見立てたという説もある。
なぜそこまでして、空も飛ばないウサギを鳥扱いしたのかというと、仏教信仰が原因であった。仏教の教えでは、4本足の動物を食べることを禁止していたため、僧侶がウサギを食べる言い訳に上記のような理由をこじつけて「ウサギは鳥である」と考えるようになったといわれている。
山奥などで魚介類や農作物が豊富にとれない地域では、鳥やウサギが貴重な栄養源となり、食べないと生きていけないこともあったであろう。
もしかしたら、ウサギは鳥肉に似ているらしいので、美味しくて食べたかっただけかもしれないが…。
ちなみに、こちらの動画は飼い主さんのカットによって天使の羽のような耳を持つアンゴラウサギのウォーリー君。空を飛べそうなジャンプにも注目だ。
こんな愛らしいウサギしか想像できないが、食べられていたなんて!
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【追加雑学】「二兎を追うものは一兎をも得ず」の「兎」は数え方?
有名なことわざで、「欲張って同時に二つのものを得ようとすると、結局どちらも手に入れられない」といった意味の「二兎を追うものは一兎をも得ず」。その中に出てくる「兎(と)」はウサギという漢字なので、ウサギを「1兎、2兎…」と数える単位になるのだろうか?
正解は、この場合の「一兎」は「1羽のウサギ」を表現した言葉なので、数える単位としては使われないのだ。ウサギを数える単位は「羽」か「匹」である。
ちなみにこのことわざは、西洋のことわざを和訳したものである。「If you run after two hares, you will catch neither.」の「hares」が野ウサギを意味し、「2羽の野ウサギを追いかけても1羽も捕まえられない」となるので、まんま直訳しているのだった。
雑学まとめ
ウサギが鳥と思われていたのは、ウサギを食べるための方便だったという雑学をご紹介した。
子どもの頃に、昔ウサギは羽が生えていて空を飛んでいたから「羽」で数えるのだよと聞いたときは「すごい! だから鳥と同じで一羽二羽なんだ!」とワクワクしたのだが、その感動を返してもらいたい。
しかし、ウサギはジビエ肉(野生の鳥獣の肉)としてフランス料理などで今でもよく食べられている。日本でも、子どもの頃食べたソーセージに兎肉と書いてあって、ビックリして二度とそのソーセージを食べなくなったという経験談があるほど、ウサギを食べることは普通だったのだ。
可愛いペットとしてのイメージが強すぎて、今でも自分は食べられないが…。