薬味の中でも使い勝手がよく重宝するのが「ショウガ」。苦手な人もいるようだが、好きな人にとっては何にでもそえたくなる名脇役である。
ショウガは独特の香りと辛みのほか、強い殺菌作用で魚料理に添えられることも多い。日本料理などで焼き魚に添えられている「ピンク色をした細長い棒状のアレ」も、実はショウガということをご存知だろうか?
ほぼ飾りと化しているが「はじかみ」という名前の添えもので、その正体はショウガなのだ。食べる機会がそう多くない謎の物体…。普通のショウガと形が違うのはなぜだろう。今回はそんな「はじかみ」についての雑学に迫る!
【食べ物雑学】「はじかみ」は新ショウガの芽の部分を酢漬けにしたもの
【雑学解説】普通のショウガとは種類も育て方もちょっと違う
まずは「根ショウガ」と「葉ショウガ」の違いをご説明しよう。スーパーで売っているいつものショウガは「根ショウガ」。葉が育つ前に根っこを収穫したもので、収穫後2か月以上保管して乾燥させたものだ。
たまに色が白っぽくて端がピンク色の「新ショウガ」が出回るが、あれは収穫したあとすぐに出荷したもの。通常のショウガに比べて風味も口当たりもフレッシュだが保存性が悪いので、収穫直後にしか味わえない。
こういった根ショウガに対し、葉っぱが伸びるまで育てたのが「葉ショウガ」である。茎が長く伸びるので、葉をむけば茎まで食べられるのが特徴だ。
では肝心の「はじかみ」はどこに分類されるの? ということなのだが、あの細長い形は茎が伸びてできたもの。また、収穫後すぐに加工するので「はじかみは葉ショウガの新ショウガを加工したもの」である。
そもそもの種類も普通のショウガと違っていて、辛みの強い「金時ショウガ」という種類だ。土を深くかぶせて柔らかい茎に育てる「軟化栽培」をして、はじかみのために特別に作られている。
さっとゆでた金時ショウガを筆型に成形し、塩をふって甘酢に漬ける。ショウガの成分と酢が反応して自然の色素でピンク色に染まり、わたしたちの目にするあのはじかみになるのだ。
【追加雑学①】「はじかみ」は辛いものの総称だった?
今でこそ「魚などにあしらわれるアレ=はじかみ」という認識だが、その昔、はじかみとはショウガそのものを指す言葉だった。古事記にショウガのことをはじかみと呼んでいる表記がある。
また、ピリリと小粒で辛い「山椒(さんしょう)」も古来はじかみと呼ばれていたようだ。日本ではもともと辛いものの総称として「はじかみ」が使われていたらしい。
たしかに金時ショウガも特別辛みが強い品種。長い時を経て特定の食品を指す言葉になったのだろう。はじかみの由来が「歯で噛んで辛いもの」を縮めてできたといわれるのにも納得だ。
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【追加雑学②】ちゃんと食べよう! はじかみのおいしい食べかた
正体が分かれば食べるハードルも下がるというもの。今までなんとなく残していた人も、爽やかなショウガの香りがするのでぜひはじかみを食べてほしい。魚料理に添えられているのはちゃんと理由があるのだ。
強い殺菌作用もありがたいが、魚を食べたあとに口の中をさっぱりさせてくれるのがありがたい。食べるタイミングは、添えられていた料理を食べ終えたときが一番だろう。
はじかみは茎の先に行くにつれ濃い紅色に染まっているので、根に近い白っぽいところを中心に食べよう。赤く染まった茎先は固いので食べられない。茎先をつまんで全体の半分くらいを食べるのが普通である。
また、あしらいとしてだけでなく、爽やかな香りと食感を活かして天ぷらや肉巻き、醤油漬けにして米に混ぜ込むなど、さまざまな食べ方ができる。
ショウガ屋さん直伝の簡単「はじかみクッキング」を見てみよう!
ショウガの甘酢漬けはファンが多いようだ。はじかみを自宅でお取り寄せすれば、好きなだけ食べられる。さらにそのまま食べるだけでなく料理にもおすすめ。これはご飯がモリモリ進みそうだ…!
雑学まとめ
「はじかみ」についての雑学、いかがだっただろうか。ただの飾りかと思っていたが、その正体はショウガ。外皮を剥いたり成形したり、はじかみは作るまでの手間もかかっている。残すのはもったいない。
殺菌効果と美味しさは折り紙付きなので、外食ではじかみが出てきたら根っこの方を半分ほどの位置まで頂こう。ちゃんと食べられるとカッコいいぞ! あしらいを制する者こそ真の食通なのだ。