日本人のソウルフード、おすし。晴れの日にはおすしを食べる人も多いだろう。
日常的でもあり、おめでたい席でも食べられるおすしはまさに日本人の心に根ざしたソウルフード。最近では日本だけでなく海外でも注目されている。「SUSHI」の名は世界にも轟く日本が誇る食事だ。
ところで漢字で「すし」って、どう書くだろうか。寿司? 鮨?
さすが国民食。表記もひとつではないのだ。この2つに違いはあるのだろうか。
今回の雑学では、そんなすしの秘密に迫る!
【食べ物雑学】「鮨」と「寿司」の違いは?
【雑学解説】「寿司」は当て字だった!
「すし」を指す最も古い表記は「鮓」。
古くから中国で使われていた漢字だ。塩や糟(ぬか)・発酵させた米などに魚を漬け込んだ保存食をあらわし、今でいう「なれずし」を指す言葉だ。
「鮓」のあとに生まれたのが「鮨」だ。もともと「鮨」は「魚の塩辛」を意味する言葉だったのだが、いつのまにか「鮓」と同義になり、「すし」をあらわす言葉として使われるようになった。
その後日本に「鮓」・「鮨」という言葉が伝わった時にはすでに同義語となっていた。日本では、「鮓」・「鮨」ともに718年の「養老令」のなかに出てきている。1000年以上も前から日本でも使われていた表記だったのだ。
「寿司」は江戸時代末期に作られた言葉
当時、すしは朝廷に献上する品のひとつだった。朝廷への献上品としてめでたさを強調するために当て字として「寿司」という表記が作られたのだ。
「寿」は「めでたいこと」、「司」は「支配する」…この2つの文字が並んだ「寿を司る」という意味の「寿司」はとても縁起がいい当て字だということがわかる。
「鮓」・「鮨」・「寿司」の呼び分け
今私たちが主に思い浮かべるであろう「すし」は握り寿司、すなわち江戸前寿司だ。江戸前寿司は江戸時代に入ってから生まれた比較的新しいすしだ。
それまではなれずしや押しずしが一般的だった。その後、ちらし・手巻き・いなりなど独自の進化を遂げた。
「鮓」・「鮨」はその由来から魚を使ったすし・発酵させたすしに使われることが多いが、「寿司」は種類を問わずオールマイティーに使われる。
現代はどの表記も使われているが、種類を問わずに使えて縁起担ぎも良い「寿司」が最も一般的な表記とされているようだ。
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【追加雑学①】寿司の単位「貫」って?
寿司を数えるときの単位として「貫」が使われる。なぜ「貫」を使っているのかには多くの説があり、実は定かではないのだ。
- 海苔巻きなどの巻物を「1巻、2巻…」と数えたことから転じた説。
- 「貫」はもともと3.75kgを指す質量の単位。その重さの単位から派生した説。
- 寿司をしっかりと握ることを「一貫の氷を重しにしたくらいの力で握る」といわれたという説。
- 江戸時代の穴あき銭を紐でまとめた「一貫」が寿司の大きさと同じだということから転じた説。
様々な説があるのだが、今でもどの説が正しいのかはわかっていないのだ。
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【追加雑学②】回転寿司のはじまりは?
庶民の寿司といえば「回転寿司」。回転寿司はいったいいつ始まったのだろうか。
回転寿司チェーン「元祖廻る元禄寿司」のさらに元祖である小料理屋「元禄」を開いた白石義明が回転寿司の生みの親だ。
1947年にオープンした元禄では、手軽にお寿司を食べられるようにと立ち食い寿司を始めて大ヒット。その結果人手不足に陥ってしまう。
人手不足を解消するために白石が目をつけたのが、ビール工場のベルトコンベア。ベルトコンベアに寿司を流してお客さんに取ってもらえば最小限のコストで効率的にお店を回せると思いついたのだ。
そして1958年に生まれた「元禄寿司」は初の回転寿司としてまたもや大ヒット。
1970年には大阪万博で紹介され、瞬く間に全国に広がったのである。
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雑学まとめ
今回の雑学記事では古くから日本で愛されているすしについて紹介した!
「寿司」という表記が当て字だったのは驚きだが、縁起の良い言葉として生まれた「寿司」という文字にはなんだか愛着がわく。
おすしの歴史を紐解くほどにおすしを食べたくなってしまうから不思議だ。
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