古墳(こふん)とは、土を盛り上げて作った権力者たちが眠る古代の墓で、世界中に存在する。
日本国内でも、盛った土で墓を作るという風習は古くより存在している。しかし、日本史で古墳といえば、3世紀中ばから7世紀終わりまでの古墳時代に作られていた墓のことを限定的に指す。
ちなみに、弥生時代に作られた墓は「墳丘墓(ふんきゅうぼ)」・奈良時代に作られた墓は「墳墓(ふんぼ)」と、それぞれ分けて呼ばれている。
たった(?)400年間の古墳時代ではあったが、その時代に作られた古墳は、国内にはなんと16万基以上もあるのだという。そして、その中でもトップレベルの大きさの古墳は、大阪府にあるのだ。
いったいどれほどの大きさなのであろうか? 今回はそんな古墳にまつわる雑学を紹介していくぞ!
【歴史雑学】日本で一番大きな古墳は大阪にある
【雑学解説】日本一大きい古墳・大仙陵古墳
日本で一番大きな古墳は、大阪府堺市に存在する。大仙陵古墳と呼ばれるその巨大な古墳は、JR阪和線百舌鳥(もず)駅から徒歩6分程度とけっこうアクセスの良い場所にある。
さて、それでは、日本一の規模とはいかほどなのであろうか? 動画で実物を見てみよう。
大仙陵古墳は、墳丘(ふんきゅう)と呼ばれる土を盛り上げて作った墓部分の長さが486m・高さが34m。その周囲を囲む濠(ほり)も含めると全長840m・幅654mである。
墳丘部分が緑に覆われていて、森のように見える。ちなみに、古墳の周囲をぐるっと一周すると、1時間以上かかる。
筆者は、以前住処を失いホームレスになりかけたことがある。たまたま見つけた滞在先はこの大仙陵古墳の近所で、そこに2か月ほど住んでいた。筆者は古墳がわりと好きで、大仙陵古墳を見ることが小学生の頃からの夢だったので、災い転じて福となすというとはこのことである。
さて、大仙陵古墳の前には、ボランティアと思われるガイドの方々がいて、訪れる人たちにこの古墳の概要を教えてくれる。筆者が住んでいた時には、気のよさそうな中年男性がガイドを務めていた。
謎に包まれている古墳
宮内庁は、大仙陵古墳に埋葬されているのは、仁徳(にんとく)天皇だと公表している。しかし、そのガイドによると、大仙陵古墳に眠っている人物が本当は誰なのかよく分かっていないのだという。
この古墳は宮内庁が管理しているため、現在許可なく墓の中に入ることができず、調査が進んでいないらしい。天皇家の聖域だから…ということであろうか?
さらにこの大仙陵古墳、埋葬者が誰かわからないだけではない。この巨大な古墳がいったいいつ建てられたのか、正確な年代も分かっていないらしい。
「え、それってさ、もしかして『本当は天皇じゃなくって豪族の墓だった!』などが真実だったら宮内庁的に面目がたたないからじゃないの?」と、空気を読まないおバカな疑問をした筆者に、ガイドは苦笑いであった。
日本一の規模であることから、天皇に関係した人物の墓である可能性は高いかもしれないが、今後宮内庁が研究者たちと協力して、この古墳の謎を解明してくれることを切に願う。
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【追加雑学】世界三大墳墓
さて、世界には巨大な墓というものは多数存在するが、その中でも最大規模を誇る3つの墓は「世界三大墳墓」と呼ばれている。
そしてなんと、この世界三大墳墓の中に大仙陵古墳も含まれているのである。しかも、それらの中で一番大きい! それでは、残りの2つはいったいどこの墓なのであろうか…?
エジプト・クフ王のピラミッド
巨大な墓といえば、やはりピラミッドであろう。その中でも、クフ王が埋葬されているピラミッドは最大の規模である。
クフ王のピラミッドが建てられたのは、紀元前2500年ごろ。この時代ですでにこれほどの規模の立派な墓が作ることができたとは、古代人の技術力の高さに震えが止まらない。エジプト人すげーよ!
このピラミッドは全長230m・高さ146mで、使用されている石の総数は230万個にも及ぶのだという。ちなみに、観光客も内部を見ることができ、入場料は2018年の時点で360エジプトポンド、日本円で約2300円だそうだ。
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中国・秦の始皇帝陵
国自体がデカい中国には、やはりデカい墓もあるようである。始皇帝が眠っている墓は、全長350m・高さ76mである。
始皇帝陵が建てられたのは、紀元前200年ごろ。この墓の周りには兵馬俑(へいばよう)と呼ばれる兵士や馬をかたどった副葬品が埋められているが、その規模はなんと2万平方メートルに及ぶ。
さすが中国。ちょっとスケールが分からない。
兵馬俑と始皇帝陵は観光可能で、入場料は2018年の時点で150元、日本円でこちらも約2300円だそうだ。大仙陵古墳も内部公開して、入場料取ればいいのに…。
雑学まとめ
日本一大きな古墳・大仙陵古墳についての雑学を紹介した。大仙陵古墳は、世界一大きい墓でもあった。しかし、この大仙陵古墳は謎の多い古墳で、埋葬者も建立年も定かではない。
世界三大墳墓のひとつという名誉な墓でもあるのに、調査は進んでいない・観光で金もとらないというもったいない墓。今後宮内庁がどう動くのか、個人的に気になるところである。