ハリウッド映画や人気フィギュアスケート選手の影響もあって、近年、秋田犬にふたたび注目が集まっている。秋田犬の人気の元祖といえば、渋谷駅で主人の帰りを待った忠犬・ハチ公にさかのぼることができる。
その人気ぶりは凄まじく、当時の新聞の記事になったほか、ハチ公をモチーフにしたレコードまで発売されたほどである。元祖・秋田犬のアイドルだった。この記事では、忠犬ハチ公の愛称で親しまれた、ハチの雑学をご紹介する。
【動物雑学】忠犬ハチ公の肉声が収められたレコードが存在する
【雑学解説】忠犬ハチ公にまつわるトリビア
秋田犬・ハチは、JR渋谷駅の前で約10年にわたって主人の帰りを待った秋田犬である。飼い主は、東京帝国大学で教鞭をとった上野英三郎で、ハチを飼い始めて1年余りが経過した大正14年に世を去った。
飼い主の死後も、渋谷駅で主の帰りを待ち続けたハチ。当時のハチの人気ぶりは凄まじく、新聞で記事にされた他、昭和9年には、渋谷駅前にハチの銅像も設置された。
除幕式のセレモニーには、ハチ自身も参加した。また同年、キクスイレコードから 『純情美談 忠犬ハチ公』という曲も発売された。この曲の最後には、ハチの鳴き声が収録されている。
後年、テレビ番組「トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜」で、犬の気持ちを人間のことばに翻訳する「バウリンガル」という機器によって、ハチの鳴き声の解析がおこなわれた。それによると、ハチは「さびしいよぉ〜」と鳴いているとの検証結果が番組内で紹介された。
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【追加雑学①】ハチのはく製は国立科学博物館に展示されている
ハチの往時の面影を見れるのは、銅像だけではない。国立科学博物館には、ハチのはく製が保管されているのだ。昭和10年、ハチは渋谷の道ばたで亡くなっているところを発見された。
ハチの死体は飼い主の上野が教鞭をとった東京帝国大学農学部(現東京大学)で解剖にふされた。解剖によると、ハチの内臓には大量の寄生虫が発生し、腹部には水が溜まっていたそうである。また、胃の中からは数本の串も見つかった。
解剖にふされた後、ハチは東京科学博物館(現在の国立科学博物館)ではく製にされた。はく製を製作したのは、坂本喜一とその助手である本田晋(ほんだしん)という人物だった。
はく製は、まず石膏で骨格を造ってから、その上から毛皮をかぶせる方法がとられたという。現在ハチのはく製は上野にある国立科学博物館に展示されている。
【追加雑学②】ハチは生前に映画に出演したことがある
ハチは新聞やレコードになっただけではなく、生前、映画にも出演している。その映画が、吉川英治の小説を原作に1934年に映画化された『あるぷす大将』である。監督は山本嘉次郎(やまもとがじろう)がつとめた。
ハチが登場するのは、主人公たちが渋谷駅前を通りかかるシーンである。主人公たちは、ハチの銅像がある渋谷駅前の焼き鳥屋の前で、ハチ自身に出会う。生前に生きていたハチを見ることができる貴重な映画だ。
なお、世界的な建築家として知られるブルーノ・タウトは、1934年に来日した際、渋谷駅でハチを目撃したと日記に記しているという。その際、タウトは駅前で座り込むハチの姿を写真に収めた。
雑学まとめ
忠犬ハチ公で知られる、秋田犬・ハチの雑学をご紹介してきた。犬や猫といった生き物は、ときに社会的ブームを巻き起こし、世のアイドルになることがある。
現在ではそれほど珍しくない、この現象の元祖といえるのがハチだったのかもしれない。次にどんな動物がブームになるのだろう。しかし、ハチより人気になる動物が現れるかは疑問である。
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