日本人なら誰もが、その名を聞くだけで高級なお酒であることをイメージする「ドンペリ」。夜のお店のイメージが強いが、その歴史が修道院という格式高い施設を発祥としていることは、あまり知られていない。
ドンペリの正式名称は「ドン・ペリニヨン」。この名前はフランスのベネディクト会の修道士ドン・ペリニヨンの名前をとってつけられた。
モエ・エ・シャンドン社が製造・販売を手掛ける「ドン・ペリニヨン」、そのルーツについての雑学を紹介していこう!
【歴史雑学】ドンペリの生みの親はベネディクト会の修道士
【雑学解説】ドン・ペリニヨンの歴史
修道士ドン・ペリニヨンの本名は、「ドン・ピエール・ペリニヨン」。1638年、フランスのシャンパーニュ地方に生まれ、発泡ワイン(シャンパン)の製造に生涯を捧げた。
当時、キリスト教圏ではワインは「イエス・キリストの血」と崇められており、修道院以外での販売が禁じられていた。修道院では毎年赤ワインが生産・出荷されていたが、年々ワインの販売数は落ち、売上は下がる一方だった。
そんな状況を打破するために、ドン・ペリニヨンは日々、新しいワインの製造に力を入れていた。あるとき、発酵中のワインを瓶に詰めて放置したところ、たまたま発泡したワインが出来上がり、これがシャンパンのヒントとなった。
それまで赤ワインの製造がメインだったシャンパーニュ地方は、この発見により、シャンパンの製造に注力し、シャンパンの名産地として一躍有名となった。
ちなみに、「シャンパン」という名称を使えるのは、フランス・シャンパーニュ地方を原産とする発泡ワインのみで、各国で呼称が異なる。たとえば、スペインでは「カヴァ」・イタリアでは「スプマンテ」・日本では「スパークリングワイン」と称される。
そんなシャンパンの生みの親「ドン・ペリニヨン」の名のついたシャンパンは、その名にふさわしく最高級品のシャンパンとなっている…そのように思われる方も多いのではないだろうか。
しかし、ドンペリも意外とピンきりなのだ。
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【追加雑学①】「ドン・ペリニヨン」の種類
ホストクラブや銀座のクラブなどでオーダーすると30万円から50万円の値がつく「ドン・ペリニヨン」だが、通常の酒屋で購入すれば、16,000円程度で購入できてしまうのだ。
ただし、「ドン・ペリニヨン」は複数の種類が出ているため、モノによっては高額なものも存在する。
1.ドン・ペリニヨン・ヴィンテージ(ドンペリ白)1万6000円程度
白いラベルの定番ドンペリ。一般的にドンペリといえばこれを指す。熟成期間は8年。
2.ドン・ペリニヨン・ロゼ・ヴィンテージ(ドンペリピンク)3万円程度
通称「ピンドン」と呼ばれる、ロゼワインをベースに作られたピンクのドンペリ。熟成期間は10年以上。
3.ドン・ペリニヨン・P2 4万円程度
「二度目のプレリュード(熟成)」を表した「P2」は、16年の熟成期間を待って出荷される。
4.ドン・ペリニヨン・エノテーク(ドンペリ黒) 5万円程度
エノテークはP2と同じく熟成期間を16年としているが、P2の中でもより厳選されたものがエノテークとなる。エノテークとは、厳選されたヴィンテージが置かれるセラーのことで、その希少価値はP2よりも高い。
5.ドン・ペリニヨン・レゼルヴ・ドゥ・ラ・ベイ(ゴールドドンペリ) 8万円代後半
ゴールドの縁がまぶしいラベルが貼られたレゼルヴは20年間熟成させた希少なドンペリ。ちなみにドゥ・ラ・ベイは「修道院」という意味をもっている。
6.ドン・ペリニヨン・P3 30万円程
P2と同様、「三度目のプレリュード」を迎えたドンペリの最高級品。25年という長期間熟成を経て出荷される。
7.ドン・ペリニヨン・ルミナス 2万円程度
暗闇で光るドンペリ。何が光るかというとドンペリの顔、ラベルだ。瓶底のスイッチを入れることでラベルが光る仕組みになっている。パーティーなどで振舞えば盛り上がること間違いなし。
このほかにも、有名人やアーティストとコラボした限定品が存在するなど、意外にも多くの種類が存在している。
前述した「ドン・ペリニヨン・ルゼルヴ・ドゥ・ラ・ベイ」で修道院という言葉が出てきたが、修道院で作られたお酒はなにもドンペリだけではない。実は、修道院とお酒には切っても切れない繋がりがあるのだ。
【追加雑学②】ハーブ酒と修道院
現代では、一般的に嗜好品として楽しまれているお酒だが、古くは薬として飲用されていた時代があった。
そもそも、修道院とはキリスト教において、修道士がイエス・キリストの精神に倣って、祈りと労働の共同生活をするための施設である。
いろいろな人種が集まる修道院にはさまざまな知識が集まり、14世紀から15世紀にかけては先進技術や医療行為なども行っていた。
その医療行為の一環として行われていたのが、薬草酒製造である。薬草酒はスピリッツと呼ばれる蒸留酒に薬草を漬けて作った混成酒で、各地の修道院で医療行為のために作られていた。
こうした歴史背景から、現存するハーブ酒の多くは修道院をルーツとしているものが多い。実際に、ドン・ペリニヨンが所属してたベネディクト会では「ベネディクティン」というハーブ酒も作られている。
修道院と聞くと戒律などが厳しく、飲酒なんてもってのほかとも思えるが、飲酒どころではなく、製造していたのである。
雑学まとめ
ドンペリに関する雑学を紹介したが、いかがだっただろうか。現代では気軽に飲めるお酒も、歴史を振り返れば修道院で薬として扱われていたり、禁酒時代には飲酒を誤魔化すために「カクテル」が発展するなど、多くの時代を経てここにあるのだ。
ストレス発散や憂さ晴らしのお供としてだけでなく、たまにはこういった歴史に触れながらお酒を楽しむのも大人のたしなみというものである。
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