スポーツをやっている人ならば、オリンピックに憧れを抱かない人はいないだろう。出るだけでも名誉、メダルを獲得できたならば、歴史に名を刻むこともできる!
その中でも金メダリストになると、周囲からの尊敬もきっとすさまじいものだろうし、アマチュアからプロに転向するときにも、世間の注目の的になること間違いなしだ。日本でいうならば、国民栄誉賞ももらえるかもしれないし!
しかし…みなさんはご存じだろうか…。
そんな人々の尊敬と注目を集める金メダルを捨ててしまった人がいることを!
今回はそんな驚きの雑学をご紹介していこう!
【オリンピック雑学】モハメド・アリは金メダルを川に投げ捨てた
【雑学解説】モハメド・アリが金メダルを捨てた理由とは?
「とんでもない罰当たりなことをした人がいたものだ!」と思った人も多いだろうが、これには本当に切実な理由がある。もしかしたら私でも投げ捨ててしまうかもしれない…。
モハメド・アリはボクシング界のスーパースターである。歴史上最も強いボクサーの一人と考えられるくらいだ。きっとボクシングに興味がなくても名前を聞いたことがある人も多いだろう。
そんなアリはアフリカ系アメリカ人である。つまり有色人種にあたる。
そして彼が金メダリスト獲得した1960年代という時代は、今よりも白人至上主義だった。日本人のような黄色人種もバカにされたりしていたが、とりわけ黒人に対する差別は本当に、今とは比べ物にならなかったのだ。
そんな時代のなか、アリはローマオリンピックで金メダルを獲得する。これは人種など関係ない名誉であり、アメリカ代表としては本当に誇れることだと彼は考えた。
しかしオリンピック後、地元に戻った彼は白人専用レストランに入店しようとすると、なんと入店を拒否されてしまう。
「アメリカを代表して獲得したこの金メダルは、私にレストランで食事する権利すら与えてくれないじゃないか!」
憤った彼は帰り道に金メダルを川に投げ捨ててしまう。名誉の象徴は、当たり前の日常に彩りすら与えることはなかったのだから、絶望してしまうのも無理はない…。
しかし、アリはそんな悲しいできごとがあっても、いやあったからこそ、黒人に対する差別をなくす運動に積極的だった。彼はいわれなき差別を受けている黒人の代弁者だったのだ。
そんな彼の行動が結実する。
金メダル獲得の36年後に行われたアトランタオリンピックで、アリは最後の聖火ランナーを務めた。そのとき、投げ捨てたメダルと同じメダルが授与されたのだ。
これはアメリカからのアリへの謝罪、そして人種差別をなくしていくという強いメッセージだった。当時多くの感動を生んだのである!
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【追加雑学①】モハメド・アリは有罪になったことがある
「入店拒否から自暴自棄になってしまったのか…」と思ったあなた! アリはそんな人ではないぞ!
1960年代後半、アメリカはベトナム戦争を本格化していく。当初、プロに転向し、世界チャンピオンになっていたアリが徴兵されることはなかったが、しだいに泥沼化していく戦争の中で、いつ徴兵対象になってもおかしくはなかった。
そんななか、彼はメディアの前で明確に徴兵を拒否。政府のプロパガンダの影響もあり、世論は戦争賛成派が多かったので、様々な圧力を受けることになる。
その一つが、徴兵拒否の罪によるチャンピオンベルトのはく奪と試合の禁止である。
その期間なんと3年7ヵ月。
ボクサーとして脂ののりきっていた時期に試合ができなかった彼のボクシング人生は、終わったかと思われていたが…アリは再度世界チャンピオンに返り咲く! 試合勘もカンペキではないだろうに、これは本当にすごいことだ…。
【追加雑学②】モハメド・アリは世界平和を象徴するような人物だった
モハメド・アリは実は生まれもった名前ではない。
本名はカシアス・クレイ。なぜ改名したかというと、彼がイスラム教徒だったからである。キリスト教的な名前ではなく、イスラム教的な名前にしたのだ。
実は宗教を変えるということでも、かなりのバッシングを受けていた。それに加えて、イスラム教の教え「どんな理由であっても人を殺してはいけない」があったため徴兵拒否、やはりこれもバッシングされる。
宗教間の考え方の違いで、迫害を受けてしまったわけである。これは宗教が文化に根付いている国々ならよくあることではある。
そう、アリは肌の色だけではなく、思想の面でも多くの戦いをしてきたのだ。
そんな彼のすごいところは、どんなに差別をされても、どんなに迫害をされても、宗教にかかわらず人種差別をなくすべきだということ。そしてどんな考え方をもっていても、それは尊重されるべきものだと訴え続けたことである。
その考え方も、一つの感動を生む。
アリは2016年に亡くなってしまうのだが、その葬儀の「棺の付添人」つまり、最後の最後まで死者と共に歩み、見送る役目の一人になった人が、俳優のウィル・スミス氏である。
実は彼はプロテスタントにもかかわらず、イスラム教のアリの葬儀における重責を担ったのだ。これも信仰が強い国々ではありえないことに近い。
彼の死は宗教間の垣根を越え、人類はすべて同じように死を悼むことができるということを世界に見せつけた。
モハメド・アリは人種にも、宗教にも左右されない世の中を築けることを私たちに見せてくれたのかもしれない。
モハメド・アリの雑学まとめ
モハメド・アリについての雑学、いかがだっただろうか。
モハメド・アリが金メダルを川に投げ捨てた裏には、こんな事情が存在していたとは…。そもそも現在の感覚では「白人専用レストラン」なんて信じられないな…。せっかくオリンピックに出て金メダルを獲得するまで頑張ったのだから、アリのような気分になってしまうのも仕方がないよな…。
私もアリのように差別と戦おう…。世の中にはびこっている「イケメン至上主義」をなくすのだ! 手始めにコンパに行ったら、誰とでも連絡先を交換しないといけないようにしよう!
あの惨めな時間はもう勘弁だ…。 私が世の中のブサイク達の救世主になるぞ!
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