神社の代表的存在ともいえる伊勢神宮。実は1300年も建て替えを繰り返しているのを知っているだろうか? というのも、伊勢神宮の一大イベントとして20年に1度の「式年遷宮(しきねんせんぐう)」というのがあり、定期的に建て替えを繰り返しているのだ。
いったいなぜ伊勢神宮は建て替えを繰り返すのだろうか? 歴史的な雑学を紹介していこう。
【歴史雑学】伊勢神宮では1300年間建て替えを繰り返している
【雑学解説】なぜ式年遷宮を続けるの?
そもそもなぜ式年遷宮を続けるのだろうか? 実は神道には、「常若(とこわか)」という考えがある。簡単に言うと「常に若々しくある」という意味だ。
神社は神様をお祀りする聖地なので、常に綺麗に管理しておく必要がある。神様が祀られている本殿もその考えから、定期的に建て替えをするようになっているのだ。
伊勢神宮といえば、神道のトップの天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀っている。相手がトップなのだから、特に常若の綺麗な状態にしておきたいという日本人の心の表れなのかもしれない。
ちなみに、伊勢神宮の場合は20年に1度とされている。考えられる理由としては、本殿に使われている木材の寿命や、宮大工の技術継承など様々だ。天武天皇が「20年に1回建て替えようか」と言ったので、20年に1度の周期になったという説もある。
【追加雑学①】8年かけて行われる式年遷宮
補足の雑学として、式年遷宮がどのように行われるのかを紹介しよう。実をいうと式年遷宮は、20年に1度の年だけに行っているのではなく、8年間かけて行っているのだ。
つまり、前回の式年遷宮は2013年だったのだが、その年だけでなく8年前の2005年から式年遷宮の行事を行っていたということになる。
最初の2年ほどはご神木に関する神事が行われ、次の5年ほどで本殿の建て替えをしながら神事を進め、最後の1年で神様のお引越しの神事をして式年遷宮が終わるのだ。その神事の数はおよそ30ほど! 様々な儀式を通して行われる式年遷宮は、まさに伊勢神宮の一大イベントといえる。
式年遷宮の様子を動画で見てみよう
YouTubeに伊勢神宮の公式チャンネルがあり、そこで式年遷宮の様子をダイジェストに映した動画があったので、紹介しよう。
見ているだけでとても神聖な気持ちになれる。これを1300年ものあいだ続けているのだから驚きだ。
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【追加雑学②】実は式年遷宮が中止になっていた期間がある
定期的に行われている式年遷宮だが、実は中止されていた期間がある。それは、南北朝時代から戦国時代あたり…日本中が戦を行っていた時代だ。
戦ばかりで伊勢神宮に参拝する余裕もない時代なので、式年遷宮も行えなかった。中止になっていた年数はなんと120年ほど!
しかし、慶光院周養(けいこういんしゅうよう)という尼さん(出家して仏門にはいった女性)が日本中を周って資金を集めて、式年遷宮を復活させて現代まで続くようになった。
もしかしたら、この尼さんがいなかったら、式年遷宮は今に続いていなかったかもしれない。
伊勢神宮以外でも行われる式年遷宮
実は式年遷宮を行うのは伊勢神宮だけではない。最後のトリビアとして、式年遷宮を行うその他の神社を紹介しよう。
20年に1度 |
鹽竈(しおがま)神社(宮城県) 穂高神社(長野県) 香良洲(からす)神社(三重県) 神明神社(三重県) 天照皇大神宮(福岡県) |
21年に1度 | 上賀茂神社(京都府) |
30年に1度 | 住吉大社(大阪府) |
鹽竈神社と住吉大社は、現在では修理のみ行うようになっている。ちなみに、出雲大社も大規模な建て替えを行うことがあるが、式年遷宮のように周期が決まっていない。
雑学まとめ
伊勢神宮の建て替えに関する雑学を紹介した。伊勢神宮は、1300年もの間、20年に1度の式年遷宮による建て替えを行っている。それは、常に若々しい状態である「常若」という考えからくる、日本人の神様に対する敬意の表れなのかもしれない。
30もの神事を8年かけて行うところからも、式年遷宮がいかに大切な行事なのかが伺える。戦乱の世で1度だけ中止になったことがあったが、それでもなんとか復活を遂げて現代に伝わった。
これからも、伊勢神宮の伝統や、日本人の心が伝わっていってほしいと思う。
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