大人になっていろいろな料理を食べる機会が増えたけれど、給食時代から今までずっと許せない料理がある。「しょっぱいものと甘いものの組み合わせ」だ。ポテトサラダからりんごが出てくると絶望するのは筆者だけだろうか?
とくに給食での強敵、それは酢豚に入ったパイナップルだった。周りのみんなは甘くておいしいと喜んで食べていたのだが、どうしても食べられなかった記憶がある。
今なら我慢して食べることはできる。それでも好んで食べたいとは思わない。酢豚だけでなくハンバーグに乗っていたり、豚肉と炒めてあったり、パイナップルは意外なほど肉と一緒に調理されているようだ。
実は肉料理にパイナップルを使うのは、きちんと理由があるから! 今回はその理由についての雑学をご紹介しよう。
小学生のときからキライだなんて言ってゴメンね、酢豚のパイナップル…。
【食べ物雑学】肉料理にパイナップルを使う理由とは?
【雑学解説】肉料理にパイナップルを使う理由は炭水化物と酵素!
最近よく耳にする「酵素」だが、食物を分解してくれる消化酵素は主に3つある。炭水化物分解酵素(アミラーゼ)・タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)・脂肪分解酵素(リパーゼ)だ。
パイナップルの酵素である「ブロメライン」はこのうち、炭水化物を分解するアミラーゼと、タンパク質を分解するプロテアーゼがとにかく豊富。肉はタンパク質メインでできているので、一緒に食べると消化がよくなり、胃もたれを防いでくれる。
その威力はかなり強烈で、生のパイナップルでゼリーを作ろうとしても失敗する(ゼラチンは動物性タンパク質だから)。ハムの上に生パイナップルを置いておくと、ハムに穴が開くほどだ。
肉の表面のタンパク質構造を分解してくれるから、口に入れたとき肉が柔らかく噛みやすくなるという利点もある。
ただし、この強力な酵素の働きは熱に弱い。60度以上になると分解力がなくなってしまう。パイナップルゼリーを作るには、熱加工された缶詰のパイナップルならちゃんと出来上がる。
一流の料理人は、このパイナップルの働きを保つため、酢豚にパイナップルを入れるのは仕上げの段階で火加減も調節するようだ。
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パイナップル果汁を注入したお肉は柔らかい!【動画】
百聞は一見にしかず。パイナップルありとなしで肉はここまで変わるのだ。
肉を柔らかくするパイナップル由来の粉がある
下ごしらえの段階で肉にパイナップルの酵素をまぶしておけば、加熱前に酵素が働いてとても柔らかく仕上がるに違いない! ということで、実際にとろけるような肉に仕上がる魔法の粉が市販されている。
それが味の素食品から販売されている「お肉やわらかの素」。パイナップルに含まれるお肉やわらか成分(酵素)を商品化した画期的な調味料で、下味として各種肉にまぶして5分置くだけだ。
生パイナップルと肉の組み合わせが苦手な筆者も、この商品にはよくお世話になっている。お世辞ぬきで、超柔らかい肉料理が出来るのでビックリだ。パイナップルの実力を実感する逸品である。
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【追加雑学①】「酢豚にパイナップル」の理由は見栄っ張り?
さすがプロの調理人、昔から肉を柔らかくするパイナップルの効果を見抜いていたとは! と感心していたが、実はそうでもないらしい。「酢豚にパイナップル」の組み合わせは、上海の料理人たちの見栄っぱりから生まれたようである。
酢豚の誕生には諸説あるが、イギリス領だった香港やフランスの影響が強かった上海で、パイナップル入り酢豚が生まれたというのが有力だ。
清時代(1644年~1912年)中期にはもう存在したという記述もあるそうだが、最初はパイナップルの代わりに山芋を入れていたらしい。
当時のパイナップルは超貴重品で、ひとつなんと90万円前後だったというから驚きである。そんな高級品を酢豚におしげもなく入れることで、中華料理の格を上げようという料理人のアイディアだったそうだ。
欧米人をアッと言わせたいという中華料理人の見栄だったのかもしれないが、結果として甘酢っぱいコクと肉が柔らかく仕上がったというオマケつき。パイナップル入り酢豚は急速に世界中に広まったのである。
【追加雑学②】パイナップル×お肉は筋トレにおすすめ
焼肉やしゃぶしゃぶの食べ放題に行くと、サラダバーや果物がある店舗がある。マッチョになりたい人にはおすすめの組み合わせである。お肉を食べるかたわらで、生パイナップルもモリモリ食べた方がいい。
筋肉をつくるもとになるタンパク質だが、実は口から食べただけでは体内に吸収されないのだ。タンパク質はアミノ酸の状態まで分解してからでなければ体内に吸収できず、人のタンパク質分解能力には限界がある。
限界を超えたタンパク質は分解されないまま、おしっこで体外に出されて終了なのである。
ここでパイナップルの分解酵素の出番だ。生パイナップルを肉と一緒に摂取することで、常に効率的にタンパク質を分解できる。運動部の子どもや育ちざかりの子ども、筋トレ中の人におすすめの雑学なので覚えておこう。
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「肉料理とパイナップル」の雑学まとめ
肉料理にパイナップルの組み合わせはいいことだらけ。特にその恩恵を受けたい人は、加熱前の生パイナップルにこだわった方がいいだろう。
これを逆手にとり、パイナップルを食べた時の「舌のピリピリ・イガイガ」をなくす方法もある。あのピリピリは消化酵素で自分の舌の粘膜が溶けているからなので(怖い…)、酵素の働きを死活させればピリピリしなくなるのだ。
パイナップルを電子レンジで1~2分加熱して粗熱を取り、もう一度冷蔵庫でよく冷やしてから食べれば、舌がピリピリすることもなくなる。ただしタンパク質分解の効果もなくなっているのには注意だ。
それにしても、あんなに頑張って食べていたのに、給食のパイナップルは加熱済みで酵素が死活していたと思うと腹が立つ。雑学を知ってしまったゆえに複雑な心境の筆者だが、給食のおばちゃんに罪はないので許してあげよう!