オリンピックの歴史は古く、1896年にギリシャで第1回大会が開かれてから、戦争で中止になった年もあれど、4年おきに繰り返されている。日本人が初めて参加したのは1912年のストックホルム大会だ。
金銀銅のメダルを目指して世界中のアスリートが競い合うオリンピックだが、長い歴史のなかで日本人が初めてメダルを手にしたのはいつなのか、そしてどの競技なのだろうか。
今回の雑学では初の日本人メダリストに迫る。
【オリンピック雑学】日本人の初メダリストが誕生した競技は?
【雑学解説】1920年アントワープ大会での銀メダル!
2016年リオデジャネイロオリンピックでの、錦織圭選手が獲得したテニス男子シングルスでの銅メダルは記憶に新しいのではないだろうか。オリンピックでのメダル獲得は日本テニス界96年ぶりの快挙だった。
そんなリオデジャネイロ大会からさかのぼること96年。1920年のアントワープ大会でメダルを獲得した選手こそ、日本人初のメダリスト熊谷一弥(1890〜1968)だ。
アントワープ大会は日本人が参加した2度目のオリンピックだった。もちろん、熊谷の参加も初。彼は初めてのオリンピックで、男子シングルスと男子ダブルスに出場し、どちらの競技でも銀メダルを獲得したのだ。
そんな彼の素顔は、バリバリのエリートバンカー。熊谷は慶應義塾大学でテニスプレーヤーとして活躍し、卒業後には三菱合資会社銀行部で勤務しながらテニスの腕を磨く。
熊谷がテニスを始めた大学時代は日本ではテニスの黎明期。当時日本では硬式テニスボールを作ることができず、軟式テニスが行われていた。
そんななかで熊谷の所属していた慶應大のテニス部が、初めて硬式テニスを導入。なんと熊谷は日本初の硬式テニスプレーヤーでもあったのだ。
就職後はニューヨークの駐在員としてニューヨーク支店でバリバリ勤務。そのかたわらでテニスもやめず、アメリカの大会に出ながらその腕前を磨いたのだ。そしてその結果が、アントワープ大会での銀メダルにつながった。なんだか経緯がかっこよすぎるぞ。
96年間、誰も獲れなかったテニスでのメダル。銀色に輝くそれを2つも手にした熊谷はきっとものすごい選手だったことだろう。
日本人初の硬式テニスプレーヤーで初のメダリスト、その素顔はエリートバンカー…漫画に出てきそう。なんてかっこいいんだ…。
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【追加雑学①】日本初の金メダリストは?
日本初のメダルは銀色だった。では、日本で初めて金メダルを手にした人は誰だろうか…。
その名誉ある日本人は、織田幹雄。1928年アムステルダムオリンピックでの金メダリストだ。当時早稲田大学の学生だった織田は三段跳で大会に出場し、1位で通過した予選での記録がそのままトップになり、金メダル獲得に至った。
当時、日本人の金メダルは想定外で、表彰式での「君が代」が途中から流れたほどであったという。日本、期待されてなさすぎだろう…。
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なお、同じ大会ではもう一人日本人の金メダリストがいた。競泳男子200メートル平泳ぎの鶴田義行だ。織田がメダルを獲得した6日後に鶴田が金メダルを得た。
ちなみに三段跳は織田以降、3大会連続で金メダルを獲得し、日本の得意種目として注目されたという。
【追加雑学②】日本でもっともたくさんメダルを獲得した人は?
アスリートの世界は常に熾烈な競争だ。競技にもよるが、アスリートが長年に渡って現役第一線で活躍し続けるのには相当な労力を要する。年齢を重ねるほど体力は落ちていくのだ。
4年に1度のオリンピックでは、次の大会までに新しい勢力が次々に台頭してくる。
それでも、なかには長いあいだ世界の頂点に挑み続けたアスリートもいるのだ。オリンピックでのメダルの獲得数は、出場種目の多さも関わってくるが、なにより闘ってきた歴史の長さを物語る。
日本でもっとも多くメダルを獲得した選手は小野喬(おのたかし)選手。1952年のヘルシンキ大会から1964年の東京大会まで、体操競技で出場してはメダルを獲り続け、その数通算13個。
1個獲るのも十分偉業といえるのに、13個とは…すごすぎる。
ちなみに世界では、マイケル・フィリップス選手の通算28個が最多記録だ。28個…1大会1個の計算だと112年かかるぞ…。まさに驚愕の記録だ。
雑学まとめ
今回の雑学では日本人初のメダリストについて紹介した。
日本人初のメダルは意外にもテニスだった。ニューヨーク勤務のエリートサラリーマンがテニスで日本初の銀メダルって、なんだかいろいろと完璧すぎる。
熊谷一弥の活躍を皮切りに、これまで多くの日本人メダリストが登場してきた。次の東京オリンピックでもどれだけのメダリストが生まれるのか楽しみだ。
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