皆さん、炭酸はお好きだろうか?筆者のように年がら年中ガバガバ飲んでいる炭酸好きは別にして、多くの人が炭酸が飲みたくなるのは、やはり夏だろう。
雲一つない晴天とヒマワリ畑、まとわりつくセミの鳴き声、ブタの蚊取り線香、テレビから流れる甲子園中継。もしくは、色とりどりに連なる夜店、浴衣の人々、神社の境内、闇夜にぱっと咲く打ち上げ花火。
こういう昭和の夏、エモい夏にあると嬉しい小道具…それがラムネである!
炭酸飲料としてはすっかりマイナーになってしまったが、夏の飲み物となると途端に名前が上がるラムネ。何せ季語にもなっている。
今回は、日本の夏の風物詩として定着したラムネについての雑学をご紹介しよう!
【食べ物雑学】ラムネの由来は、レモネードが訛ったもの
【雑学解説】ラムネはレモネードの聞き間違いだった
レモネードは、17世紀頃にフランスで生まれた飲み物。
日本に伝わったのは、1853年の黒船来航時、ペリー提督が幕府の役人に振る舞ったのが最初とされている。栓を開けた時に鳴る「ポン!」という音が銃声に聞こえたため、ビビった役人たちは思わず刀に手をかけたとか。
この時耳にした「レモネ」の発音が、「ラモネ」になり、「ラムネ」と変わっていったようだ。
その後、1865年に長崎で日本初のレモネードが売り出された。「レモン水」という名前の商品だったのだが、さっぱり定着しなかった。
しゅわしゅわしているから「沸騰水」、舌がジンジンして冷たいから「ジンジンビヤ」、飲んだらゲップが出るから「月賦」…といろいろなバリエーションで呼ばれて来たのだが、やはりいずれもイマイチ! 結局は今日まで「ラムネ」で定着している。
【追加雑学①】ラムネ・サイダー・ソーダの違い
ソーダは今も昔も炭酸水のこと。よって、ラムネもサイダーもみんなソーダ!
では、ラムネとサイダーの違いはというと…
- ラムネ:英語のレモネードが語源。ラムネ瓶に入ったレモン味の炭酸
- サイダー:フランス語のシードル(りんごの発砲酒)が語源。ビール瓶に入ったりんご味の炭酸
このように、味や容器によって区別されていたのだが、現在では容器の差異のみになり、「ラムネ瓶に入ったサイダー」のことを「ラムネ」というのが通常である。
ちなみに、あの独特のくびれがある形をしたラムネ瓶は、発明者の名前をとって、別名「コッド瓶」ともいう。
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【追加雑学②】ラムネの玉はビー玉じゃない
ラムネに入っているガラス玉の名称は、エー玉。
当初、ラムネ瓶に蓋をしていたのはコルク栓だった。しかしこれ、炭酸が抜けてしまうのが玉にキズ…というより、商品としては致命的。
そこで、コルクの代わりにガラスの玉で蓋をする方式になったのだ。瓶にラムネを入れてすぐにひっくり返すと、炭酸ガスの圧力でガラス玉が飲み口にくっついて、瓶が密閉されるというわけ。
蓋の役目を果たすものなので、きれいな真円でなくてはならない…ということで、エー玉(A玉)と名前がついた。このエー玉の規格外がビー玉(B玉)である(ビー玉は「ビードロ玉」の略称という説も根強い)。
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【追加雑学③】戦艦でラムネが作られていた
旧帝国海軍の象徴、戦艦「大和」ではラムネを自主生産していた。
このラムネ製造機、実は消火用の炭酸ガス発生装置を転用したもの。今も呉に本店を構える「トビキリラムネ」が伝授した方法だそうだ。
娯楽も物資も少ない過酷な生活の中で、ラムネはさぞかし兵員の士気を上げたに違いない。てっきりラムネだと思って飲んだら実はシャンパンでべろんべろんに酔っぱらった、なんて話もあるくらいだ。…どんだけラムネ好きなんだよ!
ちなみに、大正8年(1919年)生まれの「初恋の味」カルピスは、嗜好品・支給品だったラムネと違って、栄養補助食扱い。主に傷病兵に振る舞われていた。
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ラムネの雑学まとめ
今回はラムネにまつわる雑学をご紹介した。
こうして見ると、ラムネはもはや日本オリジナルの炭酸といっていいだろう。100年以上もあのレトロなパッケージで愛されて来たのだから、エモい夏の小道具どころではなく、由緒正しきメイド・イン・ジャパンな飲み物なのだ。
ラムネは中小企業を守る法律によって大企業が参入できないよう国から保護されているため、ラムネメーカーは国内に数えるほどしかない。ぜひ、これからも長く続いて欲しいものである。