大型肉食動物・ライオンは大地を勇ましく歩き回り、狙いを付けた獲物へどう猛に襲い掛かる。その雄たけびを聞くだけで、周りの動物たちは恐ろしさのあまり逃げ出してしまうだろう。
地上でこの百獣の王の強さに匹敵する生物はどのくらいいるだろうか? もともとが、食物連鎖の頂点あたりにいる生き物なのだから、天敵はそうそういないのではないかと思うだろう。
しかし、このライオンを死に至らしめる恐ろしい「植物」がじつは存在するようだ。当記事ではその興味深い植物のことについての雑学を記載したぞ!
果たしてライオンを死なせてしまうとはどういうことか? この植物の恐ろしい話から、意外な使い道までを調べてみたので、ぜひ気軽に読んでいってほしい。
【自然雑学】ライオンを殺せる植物「ライオンゴロシ」
【雑学解説】ライオンゴロシの由来
なんともド直球なネーミングではあるが、結論を先にいうと、この植物に直接ライオンを殺す毒などがあるわけではない。
では、なぜこの名が付けられているか? それはライオンゴロシの植物としての特性が名の由来にされているからだ。しかし、この由来はあくまで一説である。
というのも実際にこの植物が原因でライオンが死んだ事例など、具体的な話がないため、話の出どころは不明なのだ。
恐ろしい植物・ライオンゴロシ
ライオンゴロシは地下に大きい塊茎をもち、そこから地上に茎を伸ばす。地上からはさらに2メートルほども伸びる地上茎を地表にはりめぐらせ(地面を茎がはって伸びるイメージ)、花・葉・実をもつける植物だが、その実の形状が一風変わっている。
実は大きいもので12センチほどにもなるとされているが、問題は大きさではなく皮質と形状だ。実は固い木質の表皮でおおわれていて、しかもこの皮のところどころが、かぎ爪状の形状になっている。
ここから由来の話をするが、この固いかぎ爪状の実が、サバンナを闊歩する百獣の王ライオンの足や体へと突き刺さるといわれている。
これは忍者の使用するマキビシさながらだ。しかもこの実のかぎ爪部は「かえし」が付いていて、いったん生き物に刺さると抜けにくくなるのだそう。
そして、この実が刺さったライオンは痛さから、当然この実を引きはがそうとするだろう。イメージすると自身の口を使ってはがそうとするにちがいない。すると今度は、かぎ爪状の実がライオンの口の中へと刺さってしまうのだ。
こうなるともう最悪だ。口の中に実が刺さったままとなったライオンは食事もままならなくなってしまう。しかも、口内は実が刺さった影響で菌が侵入し、化膿を引き起こしてより痛みが増す。
痛みと体力消耗で、物を食べられなくなったライオンは、やがて栄養不足で餓死してしまう。しかも、死んだライオンが大地の養分となったあとで、この養分を利用してライオンゴロシはさらに繁殖していくという…。
ライオンゴロシは上記の話がもとになり、その名で呼ばれるようになったといわれている。よって、この植物は体どころか口の中までも実が突き刺さり、百獣の王ですら痛みで消耗させて、やがて飢え死にさせるという意味から、ライオンゴロシの名で呼ばれるようになったと推測できるだろう。
この植物、上記のような残酷にライオンを死なせるほどの具体的事例が確認されていないだけで、実際に地域内に生息する動物の体に刺さったり、体毛などにからまったりして、そこから種を飛ばして繁殖しているという話は事実だ。
ライオンゴロシの果実の外見
ライオンゴロシを紹介した動画があるので紹介しよう。ちなみに最初に見る画像の物体が、記事で紹介したライオンゴロシの実だ!
やはり独特な見た目だ。魔女が魔法の実験で使いそうなほど、じつに禍々しい外見である。
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【追加雑学①】ライオンゴロシは和名、英名では?
なお、ライオンゴロシは和名で日本での呼ばれ方となっているが、このライオンゴロシの英名がじつにユニークな表記となっている。
その英名は「devil’s claw(デビルズクロー)」。直訳すると「悪魔のかぎ爪」だ。まるでファンタジーに登場する武器や技の名前ではないか。
なんとなくライオンゴロシよりも、こちらの名前のほうが禍々しい見た目のイメージと、百獣の王を殺すほどの話に合致している気がするのだが、いかがだろう。
【追加雑学②】薬の材料として
ここからライオンゴロシの恐ろしげな植物イメージをがらっと変えよう。ライオンゴロシには、人間にとって有益な特徴がある。それは薬の原料となることだ。
薬草として、おもに消化器系の病や伝染病に対しての幅広い効能や、消炎・痛み止めなどの効能もある模様。
聞き覚えがあるかもしれないが「フラボノイド」という成分が含まれていることも知られている。実際には、ライオンゴロシの塊茎からとれた抽出物を薬として用いるようで、この塊茎が現地の人たちの収入源ともなっているそうだ。
なお西洋では錠剤として処方されるほか、ハーブとしてお茶に用いられることもあるのだ。ライオンゴロシ、またはデビルズクローと呼ばれるこの恐ろしげな植物は、人間の助けになっている。
雑学まとめ
ライオンゴロシについての雑学、いかがだっただろうか。ライオンゴロシがその名のとおり、ライオンを消耗させ餓死させるという話はあくまで説だが、ひょっとすると、記事の話のようにライオンが死んでいく事例が、人知れず発生している可能性はゼロではない(誰も見ていないだけで)。
もしも、この説のとおりに死んでしまったライオンが本当にいたとしたら、たとえ種族は違えど、筆者は同情と哀悼の意を捧げたいと思う。
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