春になると姿をあらわす、甘くておいしい赤い果物。そう、いちごだ。筆者はいちごが大好き! ところが我が家のバアさんは、いちごが嫌いだという。理由は「つぶつぶが入れ歯にはさまると痛いんだもん」。まさかつぶつぶが原因とは…。
若いうちは食感としてあのつぶつぶも楽しめるけれど、あれの正体は結局なんなの? それを調べていてビックリ、なんといちごは「あの赤い部分」が果実ではないという。いちごを1個食べているつもりが、ひと口で大量のいちごを食べていたようだ。
今回はそんな、いちごにまつわる驚きの雑学をご紹介しよう!
【食べ物雑学】いちごの赤い部分は「果実」ではない
【雑学解説】その名もズバリ、にせものの果実で「偽果」!
つぶつぶが種、というのはなんとなく分かるのだが、果実の定義が分からない。筆者はいちごの赤い部分が果実だと思い込んでいた。実はいちごはあのつぶつぶひとつずつがすべて果実なのだそうだ。
赤くて甘いあの部分は、いちごにとって茎の一部。つぶつぶの数だけめしべがあるので、その土台として大きく膨らんでくるのだそうだ。専門用語ではあの部分を「花托(かたく)」と呼ぶ。
そもそも果実とは、めしべが受粉してそのとき一緒に成長する「子房(しぼう)」のことを指す。いちごは受粉しても子房がほとんど発達しないまま種ができて、花托が赤く成熟する。赤い部分ひとつで何十個という果実を食べている計算だ。
このように、子房以外のものが膨らんで果実のように見える果物は「偽果(ぎか)」と呼ばれる。そのままズバリ、にせものの果実。詐欺にあったようでなんだかちょっと切ない。
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【追加雑学①】まさか…! りんごやなしも食べる部分は果実じゃないなんて!
私たちは知らないあいだにずいぶん果物詐欺にあっていたらしい。実はいちご以外にも偽果はたくさんあるのだ…それも、身近な果物で。
代表的な偽果はりんご・梨である。えっ、りんごって果実じゃなかったの!? と新鮮な驚きを感じる。「罪の果実」だと思っていたのに。りんごも梨も、果実は中の種とその周辺のごくわずかな部分だけなのだ。私たちが食べている部分は子房ではない。
りんごや梨はめしべの一部が果実を守るように発達し、内側に巻き込んで成長する。だから中心の芯の部分だけが果実ということになる。いちごは種が外側に出てくるので、その逆の成長である。
ちなみに、柿・桃・みかんなどはちゃんと子房が発達したものなので、果実を食べていることになる。
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【追加雑学②】つぶつぶが多いほど大きないちごになる
うちのバアさんのために、つぶつぶがないものが開発されないだろうか。そう思ってしまった筆者だが、どうやらそれは無理なようだ。
いちごにとってはあのつぶつぶがすべて果実で、それぞれに種が入っている。赤い部分はめしべ=種の成長を支える土台になるものなので、つぶつぶの数が多いほど大きく発達するのだそうだ。
大きくて甘いいちごほど、つぶつぶの数が多い。もし成長する前につぶつぶをピンセットなどで取り除いてしまうと、赤い部分はまったく育たず終わってしまうのだとか。種なしいちごの実現は不可能なのである。
ちょっと衝撃映像。いちごを食べずに放置すると…
つぶつぶの正体がよく分かる衝撃映像をおさめた動画がこちらだ。食べずに放置したいちご、条件によっては腐る前に「芽吹く」。見ようによってはかなりグロテスク…閲覧注意である。
雑学まとめ
今回は果物の驚きの雑学をご紹介した。いちごだけでなく、りんごや梨にも裏切られていたとはショックだった。しかしそれ以上に放置いちごの姿の方がショックだが。つぶつぶの数だけ発芽するいちご、目撃する確率は相当低いに違いない。
将来種なしいちごが開発されれば、うちのバアさんはじめ入れ歯ユーザーは大喜びするだろう。でも、いちごのビジュアルからつぶつぶがなくなるのはちょっと寂しい。今後のバイオテクノロジーの進化を待つしかないようだ。
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