うっかり頭をぶつけて、おでこにたんこぶがぷっくり。誰もが一度は経験したことがあるだろう。特にわんぱく盛りの子供たちは、しょっちゅうたんこぶを作るので、頭がボコボコになるのではと心配になる、というのは親たちのあるあるだ。
しかしたんこぶができて数週間かすると、いつの間にかきれいに消えて元通りになっている。あの大きなコブは、どこから来てどこへ消えたのか摩訶不思議である。
今回はそんな、たんこぶの正体についての雑学をご紹介するぞ。
【人体雑学】たんこぶの中身は?
【雑学解説】たんこぶの中身は行き場のない血液やリンパ液
結論からいうと、たんこぶの中身は内出血でできた血液やリンパ液である。打撲した際に、衝撃で血管が切れて出血が起きる。皮膚の表面に開放的な傷がない場合、血液は外に出ていかないので出血は皮膚の内側で広がっていく。
血管とほぼ並行してリンパ管も通っているので、リンパ液も同時に流れ出て血液とともに皮下に溜まる。頭以外の部分だと、血液やリンパ液は皮膚の下にある脂肪や筋肉などの組織の間に広がっていく。これが日頃よく経験する青あざである。
しかし、頭や額の部分は脂肪や筋肉が少なく、皮膚の下はすぐに硬い頭蓋骨になっている。そのため行き場のない血液やリンパ液が皮膚を膨らませることとなる。こうして、たんこぶができあがるのだ。
頭部には細かい血管が多く集まっているため、ちょっとの傷口でも怪我をすると血がたくさん出る。これは傷のない内出血の場合も同じである。そのため頭をぶつけると、瞬時にたくさんの血液が溜まって、たんこぶとなるのだ。
ぶつかった瞬間にぷくーっと膨らむ様子はさながら水風船のようだ。しかしその中身は水ではなく血液。わんぱく過ぎて困っている子供には、たんこぶを作ったときに、頭の風船に血がいっぱい溜まっちゃったよ! と言えば、少しおとなしくなる効果があるかも。
たんこぶの血液やリンパ液はどこへ行くのか
頭をぶつけた後できたたんこぶは、徐々に小さくなっていき、最後にはなくなって元通りになる。ではたんこぶの中身だった血液やリンパ液はどこへ行ったのか?
実は血管には、内出血で組織内に出た血液を吸収する作用があるのだ。回収された血液は腎臓へと送られ、分解されて最終的に尿となって排出される。人間のこうした循環システムは実に見事にできている。
しかし、あまりに出血量が多いと、血液を吸収するのが間に合わず、血液が固まってしまうことがある。その場合は病院で注射器を使って血液を吸い取ったり、たんこぶを切って血の塊を取ることもあるようだ。
たんこぶといえど、あなどるなかれである。注射が嫌いな子供にとって、「頭に注射器を刺すことになるかもよ」なんて言ったら、効果抜群のおどし文句になるぞ。走り回る我が子を制止したいときに使ってみよう。
では次にたんこぶができたら、まずどう対処したら良いのか見ていこう。
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【追加雑学】たんこぶができたときの対処法
たんこぶができたら、何よりもまず冷やすことが先決だ。冷やすことで血管が収縮し、出血を抑えられるため、たんこぶが大きくならずにすむ。濡らしたタオルで軽く押さえながら冷やすのが良いだろう。
氷枕やアイスノンもいいが、タオルでくるむなどして、冷たくなり過ぎないように注意しよう。氷を直接当てるなどすると、凍傷や循環障害を起こすことがあるので避けた方がいい。
たんこぶができた日は安静にし、入浴や激しい運動は避けよう。たんこぶ以外の症状があるときは注意が必要だ。頭痛や吐き気がある場合は速やかに病院を受診しよう。
結構な衝撃でぶつけたのに、たんこぶができない場合も危険だ。頭蓋骨の内側の、もっと深い部分で出血している恐れがあり、脳に影響が及ぶことも。判断がつかない場合も医師に相談するのが賢明である。
余談だが、あるとき筆者の家族が、中から思いっきり勢いよく開いたドアに頭を直撃したことがある。おでこに見事なたんこぶがお目見えした。たんこぶとはいえ、頭を強打したので、筆者は念のため一晩中異常がないか確認したのを覚えている。
頭を守るために常にヘルメットを被っているわけにはいかないが、たんこぶにはくれぐれも気をつけよう!
雑学まとめ
今回は痛~いたんこぶについての雑学をご紹介した。たんこぶの中身は、行き場をなくした血液やリンパ液だった。
一瞬で皮膚を膨らませるほどの出血が起きているとは、たかがたんこぶとはいえ怖い。でもその血液を再び吸収して、たんこぶが治るようにできている。人間の身体はそんな驚嘆すべき治癒力をもっていることを再確認できた。