腕時計に置時計、掛け時計…時計は日常に欠かせないものだ。
スマホが普及しデジタルな時代になった今でも、アナログ時計はいたるところで見ることができる。駅前や公園には時計台が立っているし、おしゃれやステータスとして腕時計をもつ人も多いだろう。
そんな生活必需品の時計、広告やカタログに表示された時間には「決まり」があるのだ。今回の雑学記事ではそれについて詳しく取り上げていこうと思う!
【生活雑学】時計のカタログでは、針の位置が秒まで決められている
【雑学解説】いちばん美しい時間は10時10分?
カタログにある時計の時刻はブランドごとに多少違いがある。主なブランドの設定時刻はこんな感じ。
- SEIKO…6日10時8分42秒
- CITIZEN…7日10時9分35秒
- CASIO…5日10時8分36秒
- ROLEX…28日10時11分31秒
- OMEGA…8日10時8分37秒
なんと、どれも秒単位で定められているのだ。示している時刻はブランドによって違うものの、どれも10時10分付近を指していることがわかる。
なぜこの時刻なのだろうか。理由は諸説あるのだが、いちばんは「美しさ」だという。
10時10分付近に設定した時計は、長針と短針が左右対称になってバランスが良く、引き締まって見えるのだとか。12時の下にあるブランドのロゴが隠れないこともポイントが高い。
以前には同じく左右対称になる時刻「8時20分」が取り入れられていたこともあったのだが、「への字」の「泣き顔」に見えてしまうことから敬遠されるように。にっこりとした笑顔にも見える10時10分が主流になった。
秒針の位置が微妙な時刻に定められているのは、躍動感を出すため。「12時ぴったり」のようなはっきりとした時刻よりも、中途半端な時刻を指していた方がたしかに動いているみたいで本物っぽい。
今にも動き出しそうな、動いている一瞬を捉えたような、そんな躍動感が時計をより魅力的に映すのだ。
さらに、長身・短針・秒針が重なることなく見えることで「商品を見せる」ことにも配慮している。すべての時計が秒単位で統一されていると、カタログ全体もすっきりと統一感が出て美しい。
このように、時刻を10時10分付近で統一させるといいことづくしだ。秒単位まで設定された時刻は、時計をいちばん美しく魅せるための素晴らしいデザインだったのだ。
スポンサーリンク
【追加雑学①】時計周りが「右回り」な理由
ところで、回転の方向を示すちょうどいい言葉として「時計回り」を使うことが多い。「時計回り」といわれたら時計と同じ回転、つまり「右回り」をみんな自然に思い浮かべる。では、そもそもなぜ時計は「右回り」なのだろう。これには時計の歴史が関係している。
おすすめ記事
-
古代エジプトが起源。時計の針が右回りに進む理由とは?
続きを見る
紀元前3000年から4000年ごろに発明されたといわれる時計。最初の時計は「日時計」だった。
今でも公園などに置いてあることもある日時計。地面に棒を立て、太陽がつくる影により時間を計るものだ。私たちも住んでいる北半球では、日時計の指す影は左から右へ動く。つまり右回りだ。
この日時計の名残で、今も時計は「右回り」なのである。今の時計はご先祖である日時計の回転を受け継いでいたのだ。
ちなみに地球の反対側、オーストラリアがある南半球では、太陽は北の空を通る。南を通る北半球では逆のため、もちろん日時計も左回りだ。
でも、当時の世界は主にヨーロッパの文明が強く影響していたため、北半球の「右回り」が広く採用されたのだ。
【追加雑学②】「とけい」はなぜ「とけい」なの?
「時計」の語源は中国にある。本来、「土圭(とけい)」という言葉だった。
「土圭」は中国で生まれた時刻や方角を計る道具。日時計のようなものだ。日本には平安時代に伝わり、使われていた。
今のような機械時計は14世紀にヨーロッパで誕生し、日本にはフランシスコ・ザビエルがキリスト教とともに伝えた。
中国ではこの機械時計のことを「自鳴鐘(じめいしょう)」という「土圭」とは違う名前で呼ぶようになったが、日本では「とけい」という呼び名がそのまま機械時計にも用いられたのだ。
その後、「とけい」は「土計・斗鶏・斗景」などさまざまな漢字が当てられたのだが、だんだん”ときをはかる”「時計」が定着するようになった。
つまり、「時計」は当て字だったのだ。
雑学まとめ
今回は時計のカタログでの秒針の位置や、時計の語源についての雑学を紹介した。
なんてことのないカタログや広告にも、「商品をより魅力的に見せる」というメーカーのプライドが隠されている。
いわれてみると、たしかに10時10分を指した時計って自然に美しく見えるような気がする…。時計の広告を見かけたときにはぜひチェックしてみよう。