オリンピックは4年に1度開催されるスポーツの祭典で、競技の優勝者には金メダルが授与されることになる。世界中の選手が競技に出場するため、金メダルを獲得することは困難を極める。
しかし、1908年のロンドンオリンピックでは、出場するだけで金メダルを獲得できたという信じられない競技があった。それは、モーターボート競技である。
なぜ、出場しただけで金メダルを獲得できたのだろうか? 今回の雑学では、この謎に迫ってみよう!
【オリンピック雑学】ロンドン五輪のモーターボート競技は、参加すれば金メダルが獲得できた
【雑学解説】ロンドンオリンピックのモーターボート競技は参加国が少なかった
オリンピックはスポーツの祭典であり、全ての競技は人力のスポーツになっている。しかし、かつてはモータースポーツが競技として採用されたことがあった。
それが1908年のロンドンオリンピックで採用されたモーターボート競技だ。モーターボート競技は無差別級・60フィート級・8m級の3種目が行われた。
最も小さな階級の8m級でも、クルーザーのような中型のモーターボートを使用し、60フィート級は18.288m以下のモーターボートのレースだった。それより大きな無差別級は、さらに大型のボートを使用していたことになる。
驚いたことに、この競技は参加国がほとんどなかったために、出場しただけで金メダルを獲得できたのだ。
無差別級はフランス、60フィート級と8m級はイギリスが金メダルを獲得しているが、銀メダルと銅メダルは全ての階級で該当なしとして記録されている。3つの階級とも、1か国のみでレースが行われたことになる。
なぜ、このような状態でオリンピックの競技として採用されたのかはよく分かっていない。当然のようにモーターボート競技は廃止になり、次回のストックホルムオリンピックでは採用されていない。
その後、モーターボート競技が行われることはなく、現在行われるオリンピックのボート競技は全て人力のものになっている。
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【追加雑学①】オリンピックで今後モーターボート競技が復活する可能性はあるのか?
1908年にオリンピックで行われたモーターボート競技だが、海外ではだんだんと廃れていった。
モーターボートのエンジンがどんどん強力になったため、海外ではモーターボートを使用したレースは危険と判断されるようになったのだ。
逆に、セーリングのような帆船を使用した競技が人気を集め、2020年の東京オリンピックでもセーリングは正式種目になっている。下の動画は東京オリンピックのセーリングを宣伝するための動画である。
1908年のロンドンオリンピックでも、セーリングは4つの階級でレースが行われた。
現代の日本ではモーターボートレースの競艇が大人気だが、世界的には非常にマイナーなモータースポーツである。現代でも、海外ではモーターボートレースが行われることはほとんどなく、開催されているのは日本以外では韓国だけだ。
また、現代のオリンピックでは、モータースポーツ自体の採用が条文で禁止されている。現状では、モーターボート競技が復活する可能性は非常に低いといわざるを得ない。
【追加雑学②】オリンピックにはスポーツ以外の種目もあった
古代オリンピックからスポーツの祭典として行われるオリンピックだが、過去にはスポーツ以外の競技が行われたこともある。
暴君ネロが参加した古代オリンピックの211回大会では、音楽が種目として採用されたことがある。
さらに、近代オリンピックではフランスのピエール・ド・クーベルタンが芸術の採用を提案したため、彫刻・絵画・文学・音楽・建築など多彩な芸術競技が行われていた。
これは第5回オリンピックのストックホルムオリンピックから始まり、第14回のロンドンオリンピックまで行われたという。
しかし、芸術競技の採点は主観に左右され、大勢を納得させる基準を作ることはできなかった。そのため、ロンドンオリンピックを最後に芸術競技そのものが姿を消したという。
現在のオリンピックはスポーツの祭典という意識が強いため、芸術が競技として復活する可能性は低いだろう。
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雑学まとめ
オリンピックのモーターボート競技は、出場するだけで金メダルを獲得することができたという雑学をご紹介した。
出場しただけで金メダルを取れたというのは、信じられない話ではあるが事実だ。現在、自動車やバイクを使用するモータースポーツは、ヨーロッパではサッカーに次ぐ人気だという。
それでもF1などのモータースポーツが、オリンピックに採用されることは難しいといわれている。しかし、モータースポーツをオリンピック競技として採用しようという動きは活発化しているようだ。
いずれ条文が書き換えられて、モータースポーツが競技として採用されるかもしれない。将来的には、モーターボート競技が復活する可能性もゼロではなさそうだ。