動物園や牧場で人気者のウマ。走るのが得意なウマは、人を乗せたり車を引いたりと、人間にとって頼りになる相棒でもある。
ウマの走る速さを競う競馬が昔から人気のスポーツであるように、ウマの脚力は彼らの大きな魅力である。そんなウマの「脚」、実は起きているときだけでなく、眠っている時間にも彼らの体を支えているのだ。
そこで今回は、ウマは立ったまま眠る? という雑学について取り上げていこう。
【動物雑学】ウマは立ったまま寝る?
【雑学解説】ウマは立ったままでも横になっても眠れる!
私たちは眠るとき、横になったり座ったり、楽な姿勢をとっている。立ったまま眠ろうものなら膝がガクン! となってしまうだろう。電車で恥ずかしい思いをしたことがある人もいるのではないだろうか。
そのため、「立ったまま寝る」なんて信じられないし、疲れが取れなさそう…と思ってしまう。ところがウマは立って眠ることができるのだ。これにはウマの脚のつくりが関係している。
ウマの脚は骨と骨のあいだにある靭帯でしっかりと固定することができる。そのため筋肉を使わなくても柱のように4本の脚が立つのである。靭帯と骨によって固定されているので寝ているあいだに筋肉を使う必要はなく、ガクン! と膝が折れることはない。
とはいえ、立ったままの睡眠では深くは眠ることができない。そこで安全な場所では横たわってぐっすりと熟睡することもあるのだ。
ちなみにウマの平均睡眠時間は3時間。7〜8時間の睡眠が必要だとされる人間と比べるととっても少ない。このうち横たわって眠る時間は1時間ほど。
そして、この3時間もずっと眠っているわけではなく、30分ほどの短い睡眠を繰り返しているのだとか。うーん、疲れそうだ。
彼らが立ったまま途切れ途切れに眠るのには、常に周囲を警戒する必要があった野生時代の習慣なのだそう。たしかに喰うか喰われるかのサバンナで、横になってグッスリ眠っていたら…危険すぎる。
とはいえ、彼らがまったく休めていないわけではないだろう。昔の名残とはいえ、安全な厩舎で暮らしている今もそんな睡眠をとっているのだから、ウマにとっては普通のことなのだ。
そんな少ない睡眠で、しかも立ったままなんて…私たちからしたら「ちゃんと休めてるの?」と離れて暮らしている母親のような文句をいってしまいそうだが、大丈夫だ。
動物の体はおもしろく出来ているものである。
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【追加雑学①】ウマの気持ちは「耳」に出る!
多くの動物と人間は共存している。一緒に過ごす中でコミュニケーションはとても大切だ。
動物たちの気持ちの変化に対応していくことが、上手に付き合っていく秘訣でもある。そのためには彼らの感情がどういう風に表れてくるのかを知る必要があるのだ。
ウマの場合は「耳」。ウマはよく耳を動かしているのだが、耳の動きに感情の変化が表れるのだという。
たとえば、耳を立てている場合は見ているものに興味がある、気になっている様子。耳を後ろに伏せていれば怒っている様子。耳を横に寝かせているときはリラックスしていたり、逆に体調が悪いことも。
このように、ウマにとって耳は口ほどにものをいうのだ。
【追加雑学②】ウマは絶滅している!?
「ウマは絶滅している」──いきなりこんなことをいわれても「?」だろう。
牧場に行けば会えるし、競馬場で走っている姿をたくさん見ることができる。絶滅しているのはウマそのものではなくて「野生のウマ」だ。
実は現在、完全な野生種のウマは絶滅しているのである。
とはいえ世界中を探せば、人間の飼育下を越えて生活しているウマもいるにはいる。ユーラシア大陸の草原に暮らしているモウコノウマや、宮崎県で半野生化している御崎馬(みさきうま)などだ。
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ところが一見野生種に見えるこのウマたちは、どれも逃げ出した家畜が野生化して繁殖したものだ。完全な野生種はどこにもいないのである。
たしかに野生のウマなんて想像つかないかも。にしても絶滅していたとは。彼らは今ではほとんど人間の飼育下でしか生きていないのだ。
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雑学まとめ
今回はウマの就寝時についてや習性についての雑学を紹介した。立ったまま眠れるウマ…。人間からしたら「なんて器用なの…」と感心してしまう。
起きているときも眠っているときも、四六時中フル活動しているウマの脚。
ウマにとって脚はとても大切なもので、生きていく上でとても重要な機能を持ち合わせているのだ。競走馬が脚を折ったら安楽死…というのも仕方ないのである。
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