7月末になると「土用の丑の日」といって、ウナギを食べる習慣がある。ところで、あなたは疑問に思ったことはないだろうか?
「土曜と土用ってどう違うの?」
私は子供のころ、そう思っていたことがあった。漢字が違うけど、読み方が同じ2つの言葉…いったい何が違うというのだろうか?
今回は、聞かれたら説明に困りそうな、土曜と土用の雑学を紹介しよう。
【生活雑学】土曜と土用の違いとは?
【雑学解説】土曜と土用はそれぞれ違う思想から生まれた言葉
読み方は同じ「土曜」と「土用」。しかし、その根っこはそれぞれ違うものである。
「土曜」の由来
「土曜」の場合は、「七曜」という考えから由来している。
「七曜」というのは古代中国で生まれた考え方で、太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星の天体を指す、天文学的な言葉だった。
この「七曜」に含まれている惑星が「日替わりで1日を支配する」という考え方から、1週間の曜日に組み込まれることになったのだ。それが、現在の「土曜」である。
つまり、「土曜」は「土星が支配する日」という意味だ。
「土用」の由来
それでは、「土用」はどうだろうか? こちらは「五行思想」が由来となっている。
「五行思想」というのは、古代中国で生まれた自然哲学だ。「ありとあらゆる物は、木・火・土・金・水の5つの元素からなり、それぞれ互いに影響しあって循環している」という考え方である。
この五行思想は四季にも当てはめられている。
- 春→木
- 夏→火
- 秋→金
- 冬→水
という当てはめ方だ。しかし、これでは「土」が余ってしまう…。そこで、「土」はそれぞれの季節の変わり目に組み込まれた。
季節の変わり目に入れられた「土」の要素のことを「土旺用事(どおうようじ)」といい、それを略した言葉が「土用」となったのだ。
土旺用事には、「土が最も旺盛に働く」という意味があり、この意味から「古い季節から新しい季節へ土の要素が活発に動いている」という考え方になっている。
ちなみに、季節の変わり目に土用が設けられているので、1年で土用は4回ある。また、土用の期間の最終日は「節分」だ。土用と節分…意外に関係があったのか。
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それにしても、土用がもともと略語だったことも驚きだ。略した言葉がたまたま「土用」となったので、曜日の「土曜」と被ってしまったのだろう。
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【追加雑学】「土用の丑の日」になぜ干支の「丑」が使われているのか?
「土用の丑の日」とは、なんとも不思議な言葉である。なぜ干支の「丑」が使われているのだろうか?
今でも日めくりカレンダーに書かれていることがあるのだが、実は昔は365日に十二支を割り当てていた。たとえば、1日は「子」、2日は「丑」といった具合だ。
「土用の丑の日」というのは、約18日間ある土用の中で「丑」が当てはめられた日のことである。そして、その日にはウナギや梅干しなど「う」のつく食べ物を食べることで、夏バテを乗り切るという習慣が生まれたのだ。
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時間を表すのに十二支を当てはめることは知っていたが、日にちにも十二支を当てはめているとは知らなかった…。
雑学まとめ
「土曜」と「土用」…。読み方は同じだが、その根っこにあるものは違うものだった。
簡単に説明をまとめると、「土曜」は天文学的な考えである「七曜」の中の土星に由来するもの。「土用」は自然哲学的な「五行思想」の中の、土の要素を四季の季節の変わり目にあてはめたもの、ということになる。
たまたま読みが被ってしまったこの2つの言葉は、そもそも由来となる考え方が違っていた。由来がちゃんと分かると、だれかに教えたくなる雑学である。