「つぶあん派か、こしあん派か」
私としてはどちらもおいしいのだけど、あんこ愛好家からするとこれはけっこう切実な問題だという。今日も人知れず、血で血を争う論争が繰り広げられているぞ!
聞くところによるとつぶあんとこしあんは、単につぶが残っているか潰れているかだけでなく、味そのものもまるっきり違うというのだ。マジか…。そういえばそんなに真剣にあんこと向き合ったことはなかったな。
ということで、今回の記事では「つぶあんvsこしあん」の雑学に迫っていくぞ!
【食べ物雑学】「つぶあん」と「こしあん」の違いとは?
【雑学解説】徹底比較!つぶあんvsこしあん戦争
「潰してるか、そのままかの差でしょ?」などというセリフは、あんこ愛好家の前では口が裂けても言ってはならない。それぞれを比べてみると、つぶあんとこしあんはまったく似て非なる存在だからだ。
以下より両者の違いを「味わい・作り方・栄養とカロリー」で比較してみた!
つぶあんとこしあんの違い①味わい
最初の対決はその味わいからだ!
つぶあんの味
まず、つぶあんの味の特徴は…
- 素朴で小豆の風味がよくわかる
- 炊き手によって口当たりが変わる
という点だろう。主に「大福・最中・たい焼き・どら焼き」など、かぶりつく感じの食べものに使われることが多い。
素材を活かしたダイナミックな味わいが魅力といったところか。粒の残し方によっても味が変わるため、職人の技量やこだわりもけっこう問われる。ある種、通の人が好みそうなあんこでもあるな。
こしあんの味
対するこしあんの味の特徴は…
- 口あたりがなめらかでのど越しがいい
- 小豆の風味やつぶ感は味わいにくい(よくいえば癖がない)
という感じだ。主に「ようかん・滑らかな食感の餅菓子・あんまん」など、ちょっとお上品な和菓子に使われることが多い。
つぶあんに比べるとあっさり食べられるので、万人受けしそうなイメージはある。しかしつぶあん派からしてみれば「いまいち食べ応えにかける」なんて声も聞こえてくるかも?
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つぶあんとこしあんの違い②作り方
続いては作り方を見比べていくぞ!
つぶあんの作り方
つぶあんは以下のような手順で作られる。
- 小豆を煮て水分を含ませる
- 一度ザル上げしたあと、小豆の皮がひび割れるまでもう一度煮る
- 水を入れて冷やしたあと、ザル上げして冷ます
- 鍋に戻して砂糖を加えて炊き上げる
- 軽く木べらで潰して出来上がり!
同じ手順のレシピ動画も紹介しておこう。動画だと小豆が徐々に柔らかくなっていく様子がわかりやすい。
なるほど、つぶあんは大味に見えて、実はけっこう作るのに手間がかかるんだな。しかし…こしあんの手間の入り方はこんなもんじゃないぞ!
こしあんの作り方
上記の1~5までの工程はつぶあんもこしあんも共通だ。しかしこしあんはさらに、ここから以下の工程を経て完成する!
- 潰したものを「漉し器(こしき)」に入れてろ過する
- 一度ろ過したものを、もう一度ろ過
- こしあがったら、数十分放置
- ボールの底にあんこが沈んで水分と綺麗にわかれるので、水だけを捨てる
- てぬぐいでさらに水分を絞る
こしあんの場合は、つぶあんの項でも挙げた「砂糖を加えて炊き上げる工程」がこのあとに来る。より詳しい解説は以下の動画で!
作り方に関しては手間がかかるぶん、こしあんに軍配が上がる感じか。
いや…でもつぶあんのほうがシンプルなぶん、おいしく仕上げるための技量を問われる側面もある。うーん…悩ましい。
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つぶあんとこしあんの違い③栄養価とカロリー
続いて栄養価とカロリーの面からそれぞれ見ていこう!
つぶあんの栄養価とカロリー
つぶあんの真価はなんといっても、豆本来の栄養がたっぷり残っているところにある。こしあんは製造過程で捨ててしまう部分も多いからな…。
そして豆といえば、ほかでは摂れない栄養素が豊富なことは、納豆や豆乳などの大豆食品を通して多くの人が知っているだろう。そう、抗酸化作用で身体の老化を抑制してくれるポリフェノールだ。
小豆にもポリフェノールはふんだんに含まれるので、美容に気を遣う女性にうってつけである!
さらに漢方薬などにも利用される「サポニン」という栄養素も、つぶあんならでは。こちらは免疫力を向上させてくれる。つぶあんは若々しく、健康な身体の維持を手助けしてくれるということだ!
ただカロリーは100gあたり244kcalと、こしあんより少々高めなので、食べ過ぎには気をつけよう。
こしあんの栄養価とカロリー
皮が残っていないぶん栄養価が落ちるかと思いきや、意外や意外、こしあんになって逆に含有量が増している栄養素もある。
- たんぱく質
- 鉄分
- 食物繊維
以上の栄養素に関しては、実はこしあんのほうが多くなる。なんでもこす過程で栄養素がギュッと濃縮されるのだとか! こちらは筋肉や血液、お通じといった身体の元となる栄養が豊富に含まれている感じだな。
小豆特有のサポニンが失われてしまうという点では、こしあんがやや劣勢か。ただしカロリーは100gあたり155kcalと、つぶあんに比べてかなりヘルシーだ。むむむ…どちらも一歩も譲らないな!
つぶあんvsこしあん戦争、勝者は…?
さて、ここまで「つぶあんvsこしあん」と題して両者を見比べてきたが…見事なほど、どちらも引けを取らずにいいところがあることがわかった。
これに関しては、やっぱり好みの問題なので、どちらが勝ちなんて一概には言えない!
ただ、両者の違いをちゃんとわかって味わうと、また違ったあんこの楽しみ方ができるには違いない。これを機に、ぜひあなたのお気に入りも見極めてほしい!
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【追加雑学①】小豆以外のあんこは「こしあん」が多い
あんこの原材料といえば当然「小豆」である。しかし、それ以外の豆を使ったあんこがあることも忘れてはいけない。小豆を使った通常のあんこのほかに、以下のような種類のあんこがあるぞ!
- 白あん…白いんげん豆・白ささげ豆・白小豆などが原料
- うぐいすあん…青エンドウ豆が原料
実はこれら、小豆を使ったもの以外のあんこは、全部こしあんとして調理されるのが一般的である。
こしあんは食材を幅広くお菓子にしてしまえる、万能な調理法なのだ。
以下は「練り切り」という、白あんを使った和菓子のレシピ動画だ。こういった細工菓子に利用できるのも、こしあんならではの魅力である。
ちなみにアンパンなどで人気の「小倉あん」は小豆で作ったこしあんに、「大納言」など、粒の大きな小豆の蜜煮をミックスしたもの。
厳密には違うが、味わい的には「つぶあん・こしあんのハイブリッド」といえる。
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【追加雑学②】白あんをベースにした「変わり種あんこ」も人気
近年は淡泊な味と、色付けのしやすさから、白あんをベースにしたさまざまな「変わり種あんこ」も生まれている。
- 黄身あん…白あん+卵の黄身
- ゴマあん…白あん+ゴマ
- ユズあん…白あん+ユズの皮
- 桜あん…白あん+桜の葉
- ミルクあん…白あん+バター・生クリーム
などなど、和風の食材を中心にたくさんのアレンジが考えられている。
以下は「桜ミルクあん」を使ったマフィンの紹介動画だ。通常のあんこを少し淡くしたような色合いが洋菓子にもよく合う!
もっと異色なものなら、真っ青な色と爽やかな香りが斬新な「ラムネあん(!?)」というものまである。
どら焼きでおなじみの「茜丸」公式YouTubeにて、ラムネあんを使ったシャーベットの作り方が解説されていた。あんこのまろやかさと、ラムネの爽やかさが共存した独特の味わいだという…これは食べてみたい!
今後もどんな新顔が登場するか楽しみだ。
「つぶあんとこしあん」の雑学まとめ
今回は今もちまたで論争が繰り広げられている「つぶあんvsこしあん」の雑学を紹介した。結果は「どちらも引けを取らずにいいところがある」ということで、今回はひとまず引き分けである。
さまざまな変わり種あんこも登場し、あんこの奥深さや時代の流れも実感できた。これからも日本人らしく、和の味わいをもったあんこ文化を大切にしていこうではないか!
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