土の中をトンネルのように掘って住みかを作るモグラ。モグラといえば、「太陽に当たると死ぬ」という話を聞いたことがないだろうか。
ふだん真っ暗な土の中に住んでいるモグラが、地上で死んでいる姿を見て、「太陽に当たったからだ」と昔の人は思ったのだろう。これが言い伝えられて、「モグラは太陽に当たると死ぬ」と思い込まされてしまった。私もその一人なのだが…。
しかし、モグラは太陽に当たっても死なないのだ。そもそも、地上に出てきたモグラが死ぬのは、太陽に当たったことが原因ではない。
では、地上に出てきたモグラが死んでしまう本当の原因とは何なのだろう。
【動物雑学】「モグラは太陽に当たると死ぬ」は、ウソ
地上に出てきたモグラは、太陽に当たったから死んだのではない
【雑学解説】目がほとんど見えないモグラは、地上でエサを探せず餓死する
モグラは真っ暗な地面の下で生活している。大きな手で土をかきだしてトンネルを掘って巣を作り、土の中にいるミミズや虫の幼虫などを食べて生きているのだ。
モグラはずっと土の中で生活しているわけではなく、ときどき地上に出てくる。トンネルを掘って巣を作っているうちに、当然かき出された土がでてくるが、それを地上に捨てにいくためだ。また、地面の中でのナワバリ争いに負けると行き場を失い、地上に出てきてしまうこともあるそう。
土を地上に捨てに来たときには、すぐに穴に戻れるから、地上でそのまま死んでしまうことはないだろう。人間が見かける地上で死んでしまったモグラは、ナワバリ争いに負けて追い出されてしまったモグラが大半なのかもしれない。
しかし、なぜ地上で出てくると死んでしまうのだろう…?
それは、エサを食べられないから…である。
モグラは目がないとよくいわれる。しかし実際はそんなことはなく、毛に隠れていて分かりにくいが小さなかわいらしい目がちゃんとある。しかし、その目はわずかな光を感じる程度で、ほとんど見えていない。
ほとんど目が見えないモグラが、地上でエサとなるミミズや虫を見つけることなど無理である。ナワバリ争いに負けたモグラは土の中に戻ることもできない。なんだか切ないが、地上に出てきたモグラが、生きていくのは困難だ…。
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モグラはとてつもない勢いで餓死する
ただでさえ餌がなくて厳しいのに、より地上で生きていけない理由がある。
なんと、モグラはものすごい大食漢なのだ。1日あたり自分の体の大きさと同じぐらいの量の食料を必要としている。そして、胃の中に食べたものが半日ない状態だと、死んでしまうらしい。
地上に出てきてしまったモグラは、太陽に当たったから死んだのではなく。ようするに、生きていくために必要な食べ物が足らなすぎるので、半日で餓死してしまったというわけだ。
結果、そのまま放置された死がいを人間が見て、「太陽に当たったからすぐに死んだ」と思ったのだろう。
道路を横断するモグラの映像だ。地上に出てきてしまっても、ちゃんと生きているぞ。
半日以内にエサを見つけることができればいいのだが…。
ちなみに、地上にいるとほかの動物に食べられてしまうこともあるかも…。そう思っていたが、モグラは体臭がキツすぎて、誰も食べたがらないのだそうだ。
【追加雑学】真っ暗な地中でエサを探す方法は?
目がほとんど見えないモグラが、真っ暗な地中でどうやってエサを探すのだろうか。
モグラは目が退化した代わりに、耳が非常に発達している。また、常に体が土に触れているため、わずかな振動を敏感に感じて、エサを見つける。
地上に出てしまうと哀れな結果になってしまうモグラだが、地中では暗闇でエサを食べまくっているようだ。
雑学まとめ
今回は、モグラの死因に太陽は関係ないという真実を紹介した。
モグラは、自分の体の大きさくらい量のエサを毎日食べるらしく、地中にそれだけのミミズや虫の幼虫がいるのかと思うとぞっとする…。
太陽に当たっても死なないのなら、飼育できるのでは? そう思ったが、毎日大量のミミズを与え続けなければならないことを考えれば、厳しいだろう。そもそも本気でモグラを飼おうと思う人はそうそういないだろうが…。