♩おーれがいたーんーじゃ♫およーめーにゃゆーけぬー
♫わかーっちゃいるーんだ♩いもうとよー
この主題歌から始まる、下町人情あふれる昭和の世界を描いたシリーズ映画『男はつらいよ』。今でも多くの人に愛される作品だ。
『男はつらいよ』が愛され続けるのは、主人公の車寅次郎、通称寅さんの影響が大きいだろう。
いい加減でテキトー、定職に就かずふらふら旅しては、たまに帰ってきて大騒ぎ。でもどこか憎めない人情に溢れた寅さんは、昔も今もたくさんのファンを生んできた。
そんな『男はつらいよ』シリーズ、実はすごい記録をもっているのだ。今回はそんな『男はつらいよ』に関する、驚きの雑学をご紹介!
【世界雑学】主人公の俳優が変わらない世界最長の映画シリーズは「男はつらいよ」
【雑学解説】寅さんがもっている「ギネス記録」
「結構毛だらけ猫灰だらけ、おしりの周りは糞だらけ」
「四谷赤坂麹町、チャラチャラ流れる御茶ノ水、粋な姉ちゃん立ち小便」
声に出して読みたい日本語。寅さんがべらんめえ口調でまくし立てる口上もそのひとつだろう。ポンポンと言葉が滑り出すのが耳に心地よくて癖になる。
寅さんは各地を転々としながら巧みな話術で品物をポンポン売る「啖呵売(たんかばい)」を行なっている。こんな感じで、立て板に水でしゃべり続けるのだ。
ケンカっ早くて美人に弱く、惚れやすい。でも義理人情に厚くて底抜けに明るい、頼りになる男。
この破天荒な主人公「寅さん」こそが、『男がつらいよ』をこれほどまでの大シリーズに育て上げた立役者だろう。
そんな『男はつらいよ』のはじまりは、映画ではなくテレビドラマ。1968年に開始したテレビドラマがその歴史の幕を開けた。
その後、映画化して大ヒット。国民的シリーズとしての伝説を歩むのだが、最初のドラマから映画シリーズ第48作まで主役を演じ続けたのが俳優・渥美清だ。
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渥美清は1996年に亡くなるまで、実に30年近くのあいだ「寅さん」を演じてきた。まさに「寅さん」そのものを生きたといえるだろう。
もちろん渥美は『男はつらいよ』以外にも多くの映画に出演しているのだが、やはり「寅さん」の存在は大きい。筆者も違う作品で渥美清が登場したときには「寅さんだ!」とつい思ってしまう。
『男はつらいよ』のヒット以来、渥美自身もそうしたジレンマを感じていたようだ。「その役にしか見えない」とは、俳優として素晴らしいことであることには間違いないが、当人にとっては複雑なのかもしれない。
ともかく、渥美は亡くなるまで「寅さん」でいつづけた。晩年は病気に苦しみながら演じていたという。
そうした苦悩や苦しみが不朽の名作を生み、誰も成し遂げなかった大記録を生んだのだ。一本作るだけでもたくさんのお金がかかる映画を、48作も飽きさせることなくシリーズとして続けた。これはすごいことである。
渥美が亡くなったあとも、97年に特別編として49作目が生まれた『男はつらいよ』。今年2019年は第1作から50周年の記念イヤーとして12月にシリーズ50作目が公開される。
これがその特報である。
唯一無二の名優・渥美清、そして車寅次郎は、今もこれからもファンの中で生き続けるのだ。
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【追加雑学①】寅さんはほとんどの都道府県を制覇した!?
『男はつらいよ』はフーテンの寅さんが全国を放浪していく物語。ふらふらと旅をする寅さんに従い、たくさんの土地でロケをしたのだ。
50作もあるのだから、寅さんの行ったことのない都道府県なんてないのでは? と思いきや、3つだけ存在するのだ。
埼玉県・富山県・高知県の3県だ。
逆に他はすべて制覇しているのだからすごい。ただ高知県は、お蔵入りした幻の49作目でロケ地となる予定だった。
ちなみに、寅さんがいちばん多く訪れたのは北海道。いちばん遠いのはウィーンだ。まさかのウィーン! 海外進出も果たした江戸っ子寅さん。すごすぎる。
【追加雑学②】出川哲朗も出演したシリーズがある!?
超長寿シリーズの『男はつらいよ』にはおなじみのアノ人も出演した過去がある。なんと、「やばいよ、やばいよ」で大人気なあの出川哲朗は5回も出演しているのだ。37作から41作までなんと5作連続出演! まさかすぎる…。
ほんのちょこっとだけだが、出川哲郎出演シーンの動画を見つけたのでぜひ確認してみてほしい。
1:20あたりから、自転車を押して寅さんについていく男性だ。このシーンだと顔まではっきり見るのが難しいのだが、確認できるだろうか。
しかし5作も出ているなんて…意外すぎる。
雑学まとめ
今回は『男はつらいよ』シリーズについての雑学を紹介した。
昭和の人情劇である『男はつらいよ』。シリーズ通して笑いあり涙ありの名作ぞろいだが、ギネス記録を打ち出すほどに日本中を魅了し、愛された作品だったとは。
その時代を生きていてもいなくても、ほっとするような温かい気持ちがこみあげてくる『男はつらいよ』は、間違いなく映画史に名を刻む名シリーズである。