小さい子どもからお年寄りまで、シマウマを知らない人はあまりいないだろう。シマシマのあるウマだからシマウマ。どストレートなネーミングである。
どれも同じに見えるシマシマだが、実は種類によってシマシマの入り方が違う。同種のシマウマとのみ群れを作るシマウマは、シマシマの入り方で仲間を見分けているのだ。
シマシマが印象的なシマウマだが、地肌はシマシマではなくグレーだという。え、そうなの?
というわけで、今回の雑学ではシマウマについて調べてみた。
【動物雑学】シマウマの地肌は白黒ではなくグレー
【雑学解説】シマウマの地肌はグレーだが、トラの地肌はシマシマ
毛や肌の色は、どちらもメラニンを形成する細胞である「メラノサイト」によって決定される。しかし、毛の色を決定するメラノサイトと肌の色を決定するメラノサイトは別物なのだ。
毛の色を決定するメラノサイトは、毛を作る器官である毛包(もうほう)の中にある。それに対し、毛包の外にあるメラノサイトで決定されるのが肌の色である。そのため、毛の色と肌の色は別々の色になることもあるのだ。
ただし、トラのように毛並みも地肌もシマシマになる動物もいる。これは、肌の色が薄いため、毛包の色が透けて見えているんだそう。
シマウマの場合は、肌の色がグレーなため白い毛包は見えず、地肌もシマシマとはならなかったのだ。
地肌はグレーということで、毛がなくなれば普通のウマである。といいたいところだが、調べる過程でシマウマはウマよりロバに近い生き物と知った。地味に驚かされた事実である。
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【追加雑学①】シマウマのシマはハエを寄せつけないため?
捕食者の目から逃れやすくするためにシマウマのシマはある、と長年考えられてきた。
しかし、最近の研究で大型肉食獣はシマシマをそれほど認識していないことがわかった。つまり、ライオンなどから見たシマウマは普通のウマのように見えているらしい。
それではなんのためにシマシマなのか。2014年にカリフォルニア大学のティム・カロ博士らの研究チームが興味深い研究結果を発表していた。
それは「ツェツェバエを寄せつけないためにシマシマがある」というものだ。
シマウマが暮らすアフリカには、吸血性のハエであるツェツェバエが媒介する「眠り病」という伝染病がある。
これはトリパノソーマという原虫によって引き起こされる人獣共通感染症で、感染すると睡眠周期が乱れて朦朧(もうろう)とした後に昏睡状態に陥り、最悪の場合死に至るという恐ろしい病気である。
ツェツェバエとシマウマの生息域は大部分が重なっている。しかも、シマウマの毛は短く吸血しやすい。ところが、ツェツェバエが吸血した血液を調べても、シマウマの血液はあまり検出されないというのだ。
そこに目をつけた研究チームが調べたところ、ツェツェバエは色彩が単一な面を好み、模様のある面を避ける傾向があると確認されたのである。
ツェツェバエを寄せつけないためにシマシマに進化したとしたら、動物のすごさに感心するしかない。
眠り病による被害は大きく、対策も立てられている。しかし、ツェツェバエを絶滅させるのは非常に難しく、現在も被害は続いている。アフリカに行く機会がある人は、シマシマの服をもっていくといいかもしれない。
【追加雑学②】野生のシマウマは立ったまま眠る
シマウマは草食動物である。サバンナでの立ち位置は被捕食者。いつライオンやワニに襲われるかわからない。
そのため、野生のシマウマは立ったまま眠るのだという。
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人間も電車の中で立ったままうつらうつらする場合もある。しかしあれでは寝た気がしない。毎日立ったまま眠るのはさぞつらかろうが、弱肉強食のサバンナでは仕方がないのだ。
襲われる心配のない動物園のシマウマの中には、しゃがみこんで眠るものもいるそうだ。その方がよく眠れると気づいたのだろう。
雑学まとめ
シマウマについての雑学、いかがだっただろうか。
シマウマのシマシマは敵の目を欺くためにあると長年信じてきたのに、ここにきてそれが覆ったことにも困惑している。しかし、シマシマが理由でツェツェバエを寄せつけにくいというのは大きな発見である。もっと研究が進めば、眠り病の被害が少なくなるかもしれない。
白黒なせいか、なんとなく地味な印象のあったシマウマ。調べてみたことで、今まで知らなかったシマウマの魅力に出会うことができた。
今度動物園に行くときは、もっとじっくりシマウマを見ることにしよう。