コンテンツというものは、ときにトラブルを起こすことがある。幅広い世代に愛されている「ポケットモンスター」も、あるトラブルに巻き込まれたことのあるコンテンツの1つだ。
実は、「ポケットモンスター」で裁判沙汰になった事件があることを知っているだろうか? それが原因で、あるポケモンが不遇の扱いを受けてしまったことも…。
今回は、そんな「ポケットモンスター」に関する雑学を紹介しよう。
【サブカル雑学】「ポケットモンスター」は昔、肖像権で訴えられたことがある
【雑学解説】肖像権の侵害?言いがかり?まさかの裁判に!
ユリ・ゲラーというのは、イスラエル出身の超能力者だ。「スプーン曲げの人」といえば、ピンと来る人もいるかもしれない。そんな彼がどうして「ポケットモンスター」を訴えたのだろうか?
彼が「ポケットモンスター」を訴える原因となったのが、「ユンゲラー」というポケモンだ。このポケモンはエスパータイプのポケモンで、片手にスプーンを持っているのが特徴となっている。覚える技の1つにも「スプーンまげ」という技が含まれている。
名前やスプーンという要素だけ取っても、名前やスプーンという要素だけ取っても、「スプーン曲げで有名になったユリ・ゲラーをモデルにしている」と思われても仕方のないことだ。
裁判の発端は、ユリ・ゲラーが日本に来た際に、ユンゲラーのポケモンカードを見たことだった。ユンゲラーのポケモンカードには「良いユンゲラー」と「悪いユンゲラー」の2種類ある。ユリ・ゲラーは、悪いキャラクターとしての展開があることに怒ったのだ。
さらに、「ユンゲラーの額にある星はユダヤ教のシンボルである「ダビデの星」で、おなかの模様はナチス親衛隊を表している! だからこのキャラクターは反ユダヤ主義を唱えている!」ということまで主張する始末。
ユンゲラーのキャラクターデザインのコンセプトに関しては公式の発表はないが、ファンのあいだでは、超能力実験に使われた「ゼナーカード」が元ではないかと考察されている。つまり、「反ユダヤ主義」を唱えているわけではないのだ。
「反ユダヤ主義」うんぬんについては言いがかりだと思うが、ユリ・ゲラーが怒るのも無理はないと思う。
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裁判の結果は?
さて、言いがかりにも近い訴えから起こった裁判。その結果は、「ポケットモンスター」側の勝利で終わった。
ユリ・ゲラーが負けた理由として、
「ユンゲラーと自分が似ているのなら、ここで超能力によるスプーン曲げをしてください」
と、裁判中に「ポケットモンスター」側の弁護士から言われて、ユリ・ゲラーが閉口してしまった…とよく言われているが、これはデマである。
正しくは、『「ユンゲラー」という名前が使われているのは日本だけなので、連邦法では訴訟の要件を満たさない』というものだ。ちなみに、海外ではユンゲラーは「カタブラ」という名前で親しまれている。
全世界でユンゲラーが「ユンゲラー」として親しまれていたのであれば、もしかしたら、「ポケットモンスター」は裁判に負けていたのかもしれない。
【追加雑学】起訴が原因でユンゲラーはカードから除外されることに…
さて、「ポケットモンスター」側の勝利で終わったユンゲラー裁判だが、この裁判が原因でユンゲラーは不遇の扱いを受けることになってしまった。
1番大きいのは、ポケモンカードからの除外だろう。ユンゲラーは2001年から2002年にかけて販売されていた「ポケモンカードe」以降、カードに採用されなくなってしまったのだ。
ユンゲラーの進化前であるケーシィや、ユンゲラーの進化後となるフーディンはカードに採用されているのだが、ユンゲラーだけはカードに登場しなくなった。
ユリ・ゲラーに考慮しているのか、それともユリ・ゲラーのように「ユンゲラーは反ユダヤ主義を唱えている」と思ってしまう人が出てくることを危惧してなのか…。いずれにしても、かわいそうなポケモンとなってしまったものである。
雑学まとめ
今回はポケモンの驚きな雑学を紹介したが、いかがだっただろうか。世界的に人気なコンテンツといっても、トラブルを起こしてしまうこともある。「ポケットモンスター」の場合は、ユンゲラーをめぐって、ユリ・ゲラーとの裁判沙汰が起こってしまった。
ユリ・ゲラーの主張には言いがかりのようなものもあるが、「自分をモチーフにしたと考えられるキャラクター」の扱いによって自分の名誉が侵害されると思うのは無理もないことだ。
存命中の人物をモチーフにするには、細心の注意を払う必要があることを教えてくれる事件だと、私は思う。