なんだかのどが痛いなあ…風邪のひきはじめが「のどの痛み」というひとは多いのでは? のどに異変を感じた時点ですでに風邪はひいているのだが、とりあえずのどを回復させるためトローチをなめておこうと考える。
頻繁にのどを痛めてしまうので常にトローチを持ち歩いている、というひともいる。トローチは飴のようになめるだけという手軽さもあるが、やはりあの独特のドーナツ型が「トローチです!効きまっせ」という感じがして、のどが痛むと頼りたくなる。
そういえば、なぜトローチは真ん中に穴が空いているのだろうか? 「トローチっぽさ」を出すために空けているわけではないだろうが、おそらく何かしらの理由があるはずだ!
気になるので、トローチの真ん中の穴についての雑学をいっしょに見てみよう!
【人体雑学】トローチの真ん中に穴が空いている理由とは?
【雑学解説】トローチの穴には、時間をかけてゆっくりなめるための工夫がたくさん
トローチとは「口腔用錠剤」であり、病院で処方される医薬品もあれば、手軽に購入できる医薬部外品もある。厚生労働省の「日本薬局方」によると、「トローチ剤は、口腔内で徐々に溶解または崩壊させ、口腔・咽頭などの局所に適用する」と解説されている。
トローチの穴の秘密を解くカギは、上記の一文にある。
わかりやすくすると、「トローチは口の中でゆっくり溶かして痛い場所に作用させてね」と言っているのだ。そのため、トローチは溶けるのに少し時間がかかるように硬くできている。その際、気を付けなければいけないのは誤飲である。
そこで活躍するのが例の真ん中に空いている穴だ! なんと、あの穴は誤飲のリスクを回避するための工夫だった!
どういうことかというと、真ん中に穴を空けることでトローチの直径を大きくできるため、誤って飲み込む可能性が少ない。さらに穴があることで舌や歯でトローチを口の中で固定しやすくなる。
そして、もしもうっかり飲み込んでしまっても…トローチに穴が空いていると呼吸ができ、窒息の危険性が減るのだ! 実際、初期のトローチにはなかった穴を空けるようになってから、子供や年配者の誤飲窒息事故が減ったのだ。すごいぞ、トローチの穴!
穴があいていないトローチもある
ところで、トローチってどれも穴が空いているのだろうか? 実は意外に穴の空いていないトローチもある。
これは、トローチの直径によって決まりがあるらしい。直径15ミリを超えるトローチには穴が空いていなければいけない。直径15ミリ以下のトローチは穴を空けなくても販売できる。
「穴の空いていないトローチなんて、星のない夜空のようだ」とまでは言わないが、やはりトローチには穴が空いていないとさみしい気がする。
【追加雑学①】トローチの主成分の抗菌作用がすごい!
トローチには安全のために穴があいているのだが、そもそもトローチの効き目はどのようなものなのだろう?
トローチには、殺菌・消毒成分が主成分として含まれていて、抗菌作用をメインにしている。そのため、咽頭炎や扁桃炎のような強い痛みに作用する。黄色ブドウ球菌や、カビであるカンジダ菌とも戦うことができるすご腕なのだ。
そして、トローチの抗菌作用は、なにものどの痛みだけに効くわけではない! 簡単に言うと口の中を消毒する能力が高いのだから、口内炎ができたときや歯を抜いたときなど、口の中にできた傷の治療にも効果がある。
ほかに意外と知られていないのが、口臭対策だ! トローチをなめて口の中を殺菌することで、口臭予防に大きな効果を発揮する。また、殺菌作用のあるだ液も促されるダブル効果がある。
昭和のおじさんは、よく口臭予防のために「仁丹」という銀色の粒を背広の内ポケットに忍ばせていたものだ。いかにも生薬たっぷりな独特のにおいを放っていたため「仁丹くさい」と敬遠されていたっけ。
トローチなら、現代風にさりげなく口臭予防できるぞ! 口臭が気になるお父さんにおすすめしたい。
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【追加雑学②】トローチとのど飴はなにがちがうのか?
ところで、のどが痛いとき「トローチ」と「のど飴」どちらを買うか迷わないだろうか? そもそもトローチとのど飴ってなにが違うんだろうか?
実は、トローチには「口やのどの細菌を退治するよ!」という定義があるのに対し、のど飴には定義がない。そのため、なかには「細菌退治はできないけど、なめるとスーッとするよ~」という爽快感重視ののど飴もあり、これは単純に食品に分類される。
「のど飴」と名のついたものでも、国に効能を認められている医薬品もあるが、市販で買えるのど飴のほとんどには、明確な抗菌作用が認められていない。
では、のどの痛みにはトローチ一択なのかというと、そうではない。のどの痛みには溶連菌など細菌感染によるものもあれば、風邪などのウイルス感染もある。
「痛みがつよい・高熱が出る」という症状は細菌感染。対して「ちょっと風邪ひいたみたいで、なんだかのどが痛い」というときはウイルス感染の可能性が高い。
ウイルス感染が原因の痛みに対して抗菌薬は効かないため、トローチよりのど飴を選択するのがおすすめだ。
ひんやり冷たい「アイストローチ」をご存知か
昔ながらのドーナツ型のトローチも効き目がありそうでいいが、トローチ界のニューフェイス「アイストローチ」をご存知だろうか? 名前のとおり氷のようにひんやり冷たいトローチなのだ。
ほんわか系のシロクマのパッケージがめちゃくちゃかわいい! しかも、味が「はちみつ・オレンジ・レモン・りんご・ブルーハワイ」なんて、まるでかき氷のよう。
それでいて抗菌成分が配合されたトローチで、なにより、口に入れるとひんやりするという特徴が魅力的だ。もちろん口の中でゆっくり溶かすのが正しい用法である。
雑学まとめ
今回は、「トローチ」についての雑学をご紹介してきた。
あの特徴的な真ん中の穴には、安全かつ効き目を最大限にするための工夫が隠されていた。しかも抗菌作用が高く、のどの痛み以外にも口の中の健康維持に役立つとは驚きだ。
安心してゆっくり口の中で溶かせるように、せっかく工夫がされているのだから、トローチをガリガリと噛み砕いて時間短縮するような真似はしないでいただきたい。もっとも、噛み砕きにくいように硬く製造されているのだが。
ちなみに、同じドーナツ型のパインアメをトローチだと小さい頃思い込んでいたのはわたしだけだろうか。念のため、お間違いなく。