メディアでよくみる地球の映像も、家にある地球儀も、ボールのように丸い。だが、実際の地球はボールのような球体ではない。「完全な球体ではない」というのが、正しいようである。
「えっ、そうなの?」と驚くのもつかの間、「そんなこと、どっちでもいいや!」という声が聞こえてきそう…。しかし、宇宙の専門家からすると、かなり大きな違いのようだ。「完全な球体でない」と捉えることで、地球上のさまざまな現象が説明できるようになったという。
今回の雑学では地球が完全な球体ではない理由と、それを裏付ける根拠についても詳しく調べたぞ!
【宇宙雑学】地球は完全な球体ではない
【雑学解説】万有引力のニュートンが提唱した!
「万有引力の法則」を発見したニュートン(1643年~1727年)のことは、誰もが知っているであろう。
その彼が「地球は完全な球体ではなく、回転する楕円体である」と提唱したのである。
そもそも、なぜ彼がそのことに気付いたのか…。それは17世紀頃に使われていた「振り子時計」が、場所によって時間が遅れるという現象が起きていたからである。
そのように振り子時計が正確に動かないのは地球が楕円体で、場所によって重力の違いがあるからではとニュートンは考えた。
地球は回転しているために、赤道に近づくほど膨らんだ楕円体の形をしており、赤道付近の遠心力が重力を弱めている。そのため、「振り子時計」のおもりの動きに違いが出ると説明したのだ。
その当時はそれを証明する測量技術も進んでいなかったし、もちろん地球を外側から見ることも不可能だった。しかし、ニュートンは理論からそれを導き出したのである。
いまさらながら、彼の超越した思考力にあっぱれ! だ。
緯度の1度あたりの距離を比較すると分かりやすい!
ニュートンが提唱したあと、さまざまな方法で地球が楕円体であることが証明されている。
実はフランスの学者たちは、地球は極方向にふくらんでいると反論していたようだ。これに対して、緯度差1度に対する子午線の長さを測定した結果、極付近の方が緯度1度に対する弧が長いことが証明され、ニュートンの説が正しいことが分かったのである。
下表は、南北の子午線上の緯度1度あたりの距離を比較した数値だ。各々の緯度で地球を輪切りした時の円周を360で割ると、1度あたりの距離がでる。
場所 | 緯度の1度あたりの距離 |
北フィンランド | 約112km |
フランス | 約111km |
エクアドル | 約110km |
わずかではあるが、北極近く(北フィンランド)の距離は長く、赤道付近(エクアドル)の距離は短くなっている。このことから地球が楕円体の形になっていることが分かる。
ほかにも、実際に地球の中心から赤道までの距離(赤道半径)は、6,378kmであるのに対して、地球の中心から両極までの距離(極半径)は、6,357kmになる。赤道半径のほうがやや距離が長くなっていることからも、赤道付近が少し伸びた楕円体になっていることが分かる。
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地球の場所によって、重力のはたらき方が違う!
地球の場所によって重力のはたらき方が違うことからも、地球が楕円体であることを証明できる。
実際に、同じ1kgの物体における重力を比較した表がこちら。
緯度 | 1kgの物体にはたらく重力の大きさ(N) |
90度(北極・南極) | 9.832 |
60度 | 9.819 |
30度 | 9.793 |
0度(赤道) | 9.780 |
赤道付近になるにつれ、その重力の値が小さくなっている。地球が完全な球体だとすると、このように重力の値に違いは出てこないという。
【追加雑学】粘土球で試してみよう!
実際に、粘土で球体を作り試してみると、より納得ができる。
粘土球を作って、中心に棒を差し込む。この棒を激しく回転させたとき、球の中心部が遠心力のためにふくらんでくる。そして、上下の極は扁平になり、粘土球は楕円体になる。
地球そのものも回転をしているので、この粘土球と同じように、楕円体になるということだ。
雑学まとめ
地球は、丸い球体ではなく楕円体という雑学をご紹介した。
同じ地球に生きていても、地球の形について考えたことは、今まで一回もなかった。今回調べたことで、私たちが住んでいる地球には、まだまだ不思議なことがたくさんあると痛感した。
もしかしたらこの先の未来、地球の形がまた変化することもあり得るのかもしれない。なぜなら、地球は常に回転している惑星なのだから。