日本一高い塔は、高さ634メートルの「東京スカイツリー」、また日本一高いビルは、高さ300メートルある大阪の「あべのハルカス」だということはよく知られている。
では、日本一高い木造建築は? と聞かれたら、あなたは答えられるだろうか…。
正解は、京都の東寺に建つ五重塔である。その高さゆえに何度も焼失の危機があったこの塔だが、当時の人々の尽力によって現代まで受け継がれてきた歴史をもっていた。この記事では、そんな日本一高い木造建築・五重塔の雑学をご紹介する。
【歴史雑学】日本一番高い木造建築は、京都・東寺の「五重塔」
【雑学解説】東寺の五重塔の高さは約55メートルもある!
日本一高い木造建築は京都・東寺にある「五重塔」で、その高さは約55メートルにものぼる。京都のランドマークタワーとして地元の人々からは親しまれているという。
東寺は794年、桓武天皇(かんむてんのう)によって平安京が遷都された際に創建され、後に空海が真言密教の道場とした寺院である。実際の雰囲気を感じてもらうために、まず東寺の動画を紹介しておこう!
東寺という名称からもわかる通り、かつては、平安京内に西寺という寺も実在していた。都の正門にあたる「羅城門(らじょうもん)」の左右の方角に、東寺と西寺が向かい合って築かれていたのだ。
2つの寺院が建立された目的は、都の守護神を祀るためだった。時代がくだり、嵯峨天皇(さがてんのう)の代になると、天皇は唐で密教を学んだ弘法大師・空海に、東寺を託すことにした。
空海は東寺講堂を建立した後に、現在の五重塔の建造に着手する。その際、木材の運搬を朝廷に願い出た記録が残っているという。
五重塔はこれまで、落雷などによって4度焼失したとされるが、そのたびに多くの人々の尽力があって再建された。よって現在の五重塔は、1644年に再建された5代目にあたる。
なお、五重塔の内部には、空海の真言の教えを伝える極彩色の荘厳な空間が広がっており、空海が唐より持ち帰った仏舎利が納められているという。
ちなみに平安京にあった西寺は、13世紀の火事による消失後、再建されることはなかった。かつて平安京に向い合わせに建っていた東寺と西寺は、まったく対照的な道をたどったのである。
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【追加雑学①】日本一長い木造建築は、京都蓮華王院・三十三間堂
日本一高い木造建築の次は、日本一長い木造建築をご紹介しよう。その寺院があるのは、京都東山区の「蓮華王院本堂(れんげおういんほんどう)」である。通称「三十三間堂」とも呼ばれている。
三十三間堂は、地上16メートル、奥行き22メートル、南北約121メートルの建造物で、江戸時代初期には、本堂前の軒下を使って「三十三間堂前・通し矢」が行われた。
「通し矢」とは、本堂西側の長さ約121メートルの南北の軒下を使って、矢を射通す競技のことだ。現在はこの競技の流れを受け継ぐ、「大的大会(おおまとたいかい)」が毎年1月に行われている。
以下に大的大会の様子を映した動画を紹介しておこう。晴れ着姿の新成人たちの真剣な表情には、どこか初々しさも感じられる。
雑学まとめ
以上、日本一高い木造建築と、日本一長い木造建築の2つの雑学をご紹介した。いずれの木造建築物も京都に現存していたとは、さすが日本の古都である。
筆者もこうしたトリビアを書いていると、現地へ行ってゆっくり寺巡りをしたい気分に誘われる。「そうだ、京都へ行こう!」の心境で、ふらりと古都を巡ってみたいものだ。