大山のぶ代といえばドラえもんの声優で有名である。現在ではドラえもんの声は水田わさびに変更になっており、大山のぶ代以前にもドラえもんを演じた声優はいた。
たくさんの人が演じてきたが、NHKの「ためしてガッテン」でドラえもんのパロディーが放送された際は、ドラえもんはやはり大山氏の声真似であった。ドラえもんといえば大山氏の声というイメージが強い証拠だろう。
しかし大山氏は、ドラえもん以外にもさまざまなアニメに出演している。ザンボット3というロボットアニメでは主人公を演じているが、その内容が驚くほど悲惨なのである。
【サブカル雑学】大山のぶ代が主人公の声優をしたロボットアニメ「ザンボット3」の内容が悲惨すぎる
【雑学解説】大山のぶ代が主人公を演じたザンボット3は、登場人物が全滅するといわれている
「ザンボット3」は株式会社サンライズ初のオリジナルアニメであり、ガンダムを作った富野由悠季監督の代表作1つである。
この作品の主人公を演じたのは、ドラえもんの声優として有名な大山のぶ代であることは意外と知られていない。大山氏はもともと俳優である。
声優としては、1957年に名犬ラッシーの吹き替えでデビュー。ドラえもん以前はべらんめえ調で、活発な少年役を演じることが多かった。
ザンボット3は少年達が操るロボットで侵略者の宇宙人と戦う物語だ。当時としてはオーソドックスなロボットもののようだが、ガンダムの原点ともいわれるリアル志向のストーリーと悲惨な展開で有名なアニメである。
富野氏はイデオンやダンバインなど、作品に登場する人間を全員殺すことがあるため、「皆殺しの富野」と呼ばれることもあるらしい。ザンボット3は、そんな富野氏の最初の作品ともいわれているのだ。
市民から主人公達が迫害される
ザンボット3は、ガイゾックと呼ばれる宇宙人が地球を侵略しにくる話になっている。主人公の神勝平(じんかっぺい)をはじめとする神一族は、ガイゾックに滅ぼされたビアル星人の生き残りという設定だ。
宇宙を放浪していたビアル星人の生き残りは、最終的に地球にたどり着いた。そして、神という姓を名乗り、日本で生活していたのである。しかし、第2の故郷もガイゾックの侵略を受けることになってしまうのだ。
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ビアル星人の遺産キングビアルと巨大ロボット・ザンボット3を操って勝平たちは、ガイゾックと戦っていく。ここまでならありがちな設定だが、ザンボット3では巨大ロボットの戦いが徹底的にリアルに描かれている。
巨大ロボットが戦うことで、周囲の建物が破壊されるのは当然のことである。しかし、普通のロボットアニメでは、こういった問題は無視されるのがお約束だ。
ザンボット3では、このお約束が通用しない。勝平たちは侵略者が攻めてくるから、地球を守るために戦う。しかし、戦いによる被害は勝平たちの責任だとして市民から迫害を受けてしまうのだ。
理不尽な展開だが、謎の侵略者と戦っているのは正体不明の巨大ロボットを操る集団である。混乱した民衆が勝平たちを責めるのは仕方ないともいえる…。
しかし、徐々に理解者が増えていく展開も描かれた。終盤では大勢の人が勝平の味方になり、最終回では街の人々が生き残った勝平を温かく迎えるという感動的なものになっている。
人間の醜い部分も多く描かれたザンボット3だが、決してそれだけではない。人間をリアルに描こうとした結果であり、希望の持てる終わり方になっている。
敵があまりにも凶悪すぎる
ザンボット3は、敵のガイゾックがあまりにも凶悪な集団ということが語りぐさとなっている。
ガイゾックの司令官・キラー・ザ・ブッチャーは、人気悪役レスラーのアブドーラ・ザ・ブッチャーがモデルとされている。コミカルな面も持っているが、ゲーム感覚で地球人を虐殺して楽しむという恐ろしい悪役である。
さまざまなロボットアニメの悪役が共演するスーパーロボット大戦でも、ガイゾックの面々の異常さが強調されている。他の作品の悪役がガイゾックの凶悪な手口にドン引きするという演出がされており、他の作品の悪役とは一線を画している。
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ガイゾックの悪逆非道ぶりを表すエピソードとして有名なのが人間爆弾である。生け捕りにした地球人の体に爆弾を埋め込んでから逃がした後、爆破するという恐ろしいものだ。
人間爆弾に改造された中には、勝平の友人などレギュラーキャラも含まれている。人間爆弾にされた人物は、全員爆破されて他の人間の前で殺されているのだ。とても子ども向けアニメの内容ではない。
あまりに凄惨な展開は、現在でも忘れられない人が多いという。ちなみに、イタリアのサッカークラブ・ヴェネツィアFCの監督を務めたフィリッポ・インザーギは、子供の頃にザンボット3を見ていたらしい。ガンダム好きとしても知られる人物だが、人間爆弾がトラウマになったという話も有名である。
【追加雑学①】作品を見たスポンサーは青くなった
子供向けのわかりやすい勧善懲悪のロボットアニメ全盛の時代に、正義とは何かを問いかけたザンボット3のストーリーはスポンサーに衝撃を与えたという。全く子供向けではない内容なので、商品が売れるかどうか不安になるのも当然だろう。登場人物が次々に死んでいく最終回放送後に、スポンサーは真っ青になったと富野氏は語っている。
ちなみに、ザンボット3は商業的に大成功した作品ともいわれている。おもちゃは日本だけでなくヨーロッパでも売れたせいで、金型はヨーロッパから戻ってこなかったという。
ザンボット3が商業的に成功しなかったら、ガンダムは作られなかったかもしれない。
【追加雑学②】実は登場人物は全滅していない
「皆殺しの富野」と言われつつ、実は登場人物はそこまで死んでいない。最終回では、勝平を除いた神一族は 全員死んだと勘違いしている視聴者は少なくないという。
しかし、死亡したのは戦闘に参加した人間だけで、非戦闘員は全員退避して生き残っているのである。
【追加雑学③】大山のぶ代はザンボット3が嫌い?
ザンボット3はスーパーロボット大戦に登場することも多いが、大山氏は勝平の声をゲーム収録していないため、音声は当時の音源によって再現されている。そういうこともあって、ザンボット3を嫌っているのではないかといわれることもある。
ただ、大山氏は ザンボット3を好きな作品と語っており、この説は完全に誤りである。大山氏はドラえもんの声をしているうちは、他の役をする気にはなれないと言っていたという。
実際、ドラえもんをやめるまで他の作品には一切出演していない。ザンボット3を嫌っていたからではなかった。
雑学まとめ
大山のぶ代が主役のロボットアニメが凄惨過ぎるというトリビアをご紹介した。ザンボット3の後に、大山氏が出演したアニメがドラえもんである。
最後は救われる終わり方になっているが、ドラえもんと比べるとあまりに悲劇的である。ザンボット3の直後に大山氏がドラえもんを演じるようになったことを考えると、非常に大きな転換点だったのではないかと思わされた。
またザンボット3やらないかなあ…。