カタツムリがどのように誕生するのか…知っている人は意外と少ないはずだ。
実のところ、彼らは卵から生まれる。…と言われても、カタツムリの卵なんて見たことがない! という人がほとんどだろう。それもそのはず、彼らは土のなかに卵を産むため、通常目にすることはないからだ。
それよりも、問題はその卵の産み方である。これがまたいろいろ、ツッコミどころ満載なのだ。というかちょっと怖い。
そうなると、いよいよ気になるカタツムリの産卵。今回はそんなカタツムリの卵にまつわる雑学に迫っていこう!
【動物雑学】カタツムリの産卵が怖すぎる。
【雑学解説】カタツムリはスゴいところから卵を産む
カタツムリは1匹が雄の生殖器官と、雌の生殖器官の両方をもっている雄雌同体(しゆうどうたい)の生き物。2匹が交尾をした場合、どちらがオス・メスということはないので、両方が卵を産む。
また別に交尾をしていなくても、孵化しない無精卵を産むことはよくある。これはニワトリと一緒だ。しかし、たま~に自分1匹で交尾をして、有精卵を産むこともあるからまた不思議。それってめっちゃ寂しくないか…。
カタツムリがこうした生態をしているのにも理由があって、ご存知の通り、彼らはめちゃくちゃのろまである。
そのため、なかなかほかの個体に出会えないし、出会う前に死んでしまうことも少なくない。だからとりあえず誰でも交尾できる身体になっているし、最悪1匹でもOKなのだ。オス・メスの区別がないのは、子孫繁栄のための知恵なのである。
で…問題はその産卵に関してだ。カタツムリの卵は、ちょっと考えられないような場所から産まれてくる。実際の映像をご覧いただこう。
なんとカタツムリは、首の横にある穴から卵を産むのだ! 首から産まれるなんて…ちょっとしたホラーじゃないか。
しかも1個の卵を産むのに10分ほどかかるうえ、1回で30~60個ほどの卵を産むので、ひとたび産み出せば、丸一日ぐらいずっと首から卵を出し続ける。…余計に怖い。頼むからお尻らへんから産んでくれないか。
カタツムリは交尾も首で行う…
実のところ、カタツムリが首から卵を産むのも道理である。だって、生殖器が付いているのもだいたいツノの下あたり、首らへんだからだ。交尾をするときは首から生殖器を伸ばして、相手とお互いに挿し込み合うぞ!
以下の動画にカタツムリの交尾が映されている。…想像以上に生殖器が長い…。
BL展開を想像してしまうが、彼らはオスでもあり、メスでもあるわけだから、その辺りの想像はいろいろ複雑である…。
交尾に充てる時間も2~3時間と非常に長い。カタツムリは普段からスローなように、交尾も産卵もめちゃくちゃ時間がかかるのだ。
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【追加雑学①】飼っていたカタツムリが卵を産んだ!孵化させるには?
…となかなか強烈なカタツムリの産卵シーンだが、飼っている人なら、こういった場面に遭遇することも珍しくはない。孵化させようとしたことがある人もいるだろう。
しかし…卵が産まれて放置しているだけでは、カタツムリの子どもはたいてい孵化しない。彼らの卵はかなりデリケートなため、きちんと孵化させようと思うと少しコツがいるのだ。
ここではそんな卵の孵化がうまくいかない人のために、そのコツを伝授していこう。
カタツムリの卵を孵化させるための3つのポイント
カタツムリが産卵を行うのは、1年のうちでも5~7月のあいだ。この時期に飼っているケースの土のなかなどを確認すると、卵が埋まっている場合が多い。
孵化が上手くいけば、だいたい2~3週間、遅くても1ヶ月ほどで子どもが出てくるぞ! 孵化させるためのポイントは大きく以下の3つだ。
- 卵と親のカタツムリは別のケースに移す
- 枝や親が食べていたエサなどはすべて取り除いておく
- 霧吹きなどを駆使して適度な湿度を保つ
以下よりそれぞれ見ていこう。
卵と親のカタツムリは別のケースに移す
まず卵を発見したら、なるべく早い段階で親とは別のケースに移す必要がある。なぜかというと、そのままにしておくと親が卵を踏みつぶしてしまうことがあるからだ。
親と子どもを離れさせるなんて! というのは人間の都合で、カタツムリ界では別々に育てたほうがいいのである。
土などを敷いてカタツムリを飼っている人は、下手に掘り返すとそれこそ卵を潰しかねないので、親のほうを移動させるようにしよう。キッチンペーパーなどを敷いているなら、キッチンペーパーごと持ち上げて卵を移動させるのも可能だ。
枝や親の食べていたエサなどは取り除く
親を移動させるのと同時に、親が登るように置いていた枝、エサなども取り除いておこう。何か障害物があると、ふとした拍子に卵が潰れてしまうことがある。
立てかけた枝が「コテン!」と倒れただけでも、デリケートな卵にとっては致命傷になり得るのだ。
霧吹きなどを駆使して適度な湿度を保つ
カタツムリは大人にしても、乾燥や気温の変化にめっぽう弱い。卵となればなおのこと、この辺りは気にかけておかなければいけないぞ。
まずケースは直射日光が当たらない場所、暗めの場所に置いておくこと。そして大人のカタツムリにもそうするように、定期的に霧吹きで水を与えて、卵が乾燥しないようにしておこう。
とはいえあまり水分が過剰すぎても、卵がカビで覆われてしまい、なかで息ができなくなった赤ちゃんが死んでしまう可能性がある。
「カビが生えたらすぐにでもアウト」なんてことはないので、この辺りは様子を見ながら霧吹きの頻度を調節していこう。
無事に孵化したら
無事に子どもが孵化したら、ニンジンやキャベツ、キュウリといった野菜や、カルシウム不足を補うための卵の殻などをエサに育てよう。これは大人のカタツムリも一緒だ。
カタツムリの子どもはとても小さいので、脱走しないよう、孵化する前から、小さく穴を空けたラップをケースの蓋にするなどの工夫も必要である。
また前述のような環境をしっかり整えても、無精卵だったり、なんらかの原因で孵化しなかったりということもある。1ヶ月以上待っても孵化しない場合、失敗はほぼ確実だ。
しかし、そもそもデリケートなものなので、孵化しなくてもあまり落ち込まないようにしよう。失敗してもまた来年、たくさん卵を産んでくれる。
【追加雑学②】カタツムリは生まれたときから殻を背負っている
ところであなたは、カタツムリの子どもがどんな姿をしているか知っているだろうか。産まれたころは殻のない、ナメクジみたいな感じなのでは…? なんて思っていた人もいるんじゃないか。
しかし…そうすると殻の元々の持ち主は誰だ? ということになる。考えてみれば、砂浜に落ちている巻貝の貝殻のように、カタツムリの殻が落ちているのは見たことがない…。
そう、実はカタツムリは、生まれたときからカタツムリなのである。ナメクジとはまったくの別モノで、ちゃんと殻を背負って生まれてくるのだ!
カタツムリは成長とともに殻の渦が増える
カタツムリの赤ちゃんは、生まれたときは体も殻も透明で、成長するにつれて私たちが見慣れた色に変化していく。殻も硬くなり、サイズアップに合わせて渦巻きの数も増えていくぞ。
カタツムリの殻に縦の筋がたくさん入っていることは、多くの人が知っているだろう。実はこの筋を数えることで、彼らのだいたいの年齢を推測することも可能だ。
カタツムリは殻を次第に大きく成長させていく関係上、明らかに途中から殻の色が変わる部分がある。その境い目は筋が濃くなっているため、その数を数えれば「何回冬を越したか」がわかるのだ。
カタツムリの体と殻は、多くの人が別モノというイメージをもちがちだ。しかし殻も一緒に成長する彼らにとって、もはや殻自体が体の一部なのである。
雑学まとめ
今回はカタツムリの産卵の雑学を紹介した!
カタツムリは首から卵を産む…ちょっぴり変わった生態の持ち主。しかしそれでも産まれてきた子どもはとびきり可愛い。興味が湧いた人は、紫陽花の季節にでも捕まえて、ぜひとも飼ってみてほしい!
卵を還すのはちょっぴりコツがいるが、そのぶん孵化したときの喜びも大きいぞ。