高等教育機関は専門的な研究をするところだ。政治・経済・文学・科学・工学などなど、さまざまな研究が行われている。
日本の高等教育機関である大学へ行くために、日々がんばって勉強に励まれている人も多いだろう。そんな学術的発展の場でもある高等教育機関は、いったいいつどこで始まったのだろうか?
今回は、世界一古い高等教育機関についての雑学を紹介するぞ。その始まりはなんと、アフリカ北部のあの国にあるようで…?!
【世界雑学】世界一古い大学は"アル=アズハル学院"。
【雑学解説】世界一古い大学「アル=アズハル学院」とは?
まず高等教育機関とはなんなのかを確認しておこう。
高等教育機関とは、一般に学術的・専門的教育を行い、その成果として学位などの称号を学習者に与える教育機関だ。単に勉強するだけではなく、試験や論文などによってその成果を示さなければならないのである。
簡単に日本の制度でいえば、主に大学・大学院・短期大学・高等専門学校がこれに当たる。
どこで定義するのかで何が最古になるのかは変わるため確定的にはいえないが、972年にエジプトのカイロに創設された「アル=アズハル大学」が世界一古い大学といわれている。
その歴史は、なんと10世紀後半にまでさかのぼる。10世紀後半といえば、日本はまだ平安時代。『枕草子』や『源氏物語』が書かれる前の話である。
つぎは、アル=アズハル大学の歴史を少しみてみよう。
世界一古い「アル=アズハル大学」の歴史【動画】
アル=アズハル学院の始まりは972年。イスラム教の礼拝堂であるモスクに付属する神学校(マドラサ)として創設された。
イスラム神学・法学の研究を行い、イスラム教の指導者・学者(ウラマー)を養成するのが目的だったという。つまり、修了者にウラマーの称号を与える教育機関なのだ。
実際にこの学院で研究が始まったのは、975年のラマダン月(断食月)だという。設立当初は、当時エジプトを治めていたファーティマ朝の掲げるシーア派の研究をしていた。神と人をつなぐ指導者(イマーム)の指導を重視する研究だ。
しかし、12世紀にスンニ派のアイユーブ朝がエジプトの支配権を獲得すると、指導者サラディーンによって、この学院もスンニ派に変えられたという。それまでのイマームの教えの研究から、預言者ムハンマドの示した規範・慣行であるスンナ(またはスンニー)の解釈へ、研究の力点が変わったのだ。
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アル=アズハル学院はその後もスンニ派の教育委機関として存続し、1961年以降は宗教教育も行う総合大学となっている。
ほんとに大学!? と思っちゃうほど文化的な建物だ。エジプトの人はこういうところで学んでいるんだなあと思うと感慨深い。
【追加雑学①】ヨーロッパで一番古い大学は?
世界で一番古い高等教育機関はエジプトにあるならば、ヨーロッパはどうだろう?
ヨーロッパ最古は、イタリア北部にある「ボローニャ大学」だ! こちらは11世紀ごろ、一説では1088年に設立されたといわれている。
面白いのは、このボローニャ大学が初めて「大学」という言葉を使ったらしい! 厳密には、英語のユニバーシティ(univeristy)の語源であるラテン語のウニヴェルシタス(universitas)が使われたようだ。
高等教育機関の大学という基準で見れば、世界最古の大学はボローニャ大学である。細かくみると、高等教育機関のはじまりと大学のはじまりが違うというのはなかなか面白い。
【追加雑学②】日本一古い大学は?
日本で一番古い高等教育機関についても調べてみたぞ。日本で一番「創立年」が古いのは、京都にある種智院大学(しゅちいんだいがく)の828年のようだが…。どうやら、簡単にこの大学が一番古いとはいえなさそう。
学位などの資格を与えるという考え方が日本に入ってきたのが、やはり近代以降だからだ。高等教育機関としての定義によって変わってきてしまう。
1872年の学制のもと、1877年に設立された東京大学が日本で一番古い高等教育機関とするのが無難かもしれない。
「世界一古い大学」の雑学まとめ
今回は、世界一古い大学について紹介した。
いろんな説があるが、エジプトには世界最古と呼ばれる施設が存在した。日本では平安のときにそのような文化があったとは…。
世界最古の高等教育機関・アル=アズハル学院、入学はかなわなくともぜひ訪ねてみたいものだ。時間とお金があれば、その土地最古の大学巡りなんていうのも面白いかもしれない。