「おい、めし! 」こんな言葉を父親から聞いたことはないだろうか?
「めし行こうぜー!」この言葉は、中学生男子から親世代まで幅広く使われているだろう。
「ただめし食わせるわけにはいかねぇ。」…え? 聞かない? …すみません、ドラマの見過ぎです。
とにかく、よく聞くこの「めし」という言葉。しかし、ご飯をなぜ「めし」と言うのかご存じだろうか?
男女平等! ジェンダーフリー! の世の中ではあるが、なんとなーく女子には使ってほしくないこの「めし」という言葉。実のところ、語源は非常に美しい言葉なのである…!
めし! と自信を持って言うために…かどうかはさておき、今回の雑学では「めし」の美しい由来を紹介したい。
【歴史雑学】ご飯のことを「めし」という由来は?
【雑学解説】ご飯を「めし」というのは「召し上がる」が由来だった!
「めし」という言葉は、「食べる」の尊敬語であり、「召し上がる」という意味の動詞「召す(めす)」が名詞化したもの、つまり「召し上がるもの」という言葉が由来だと考えられている。
私たちが今でも日常的に使っているこの言葉、室町時代にはすでに使われていたというから驚きである。そのうえ「召し上がる」と言う言葉自体が尊敬語であるにも関わらず、室町時代の後期には、さらに「御(お)」をつけた「御めし(おめし)」という言葉もあったそうだ。
ちょんまげを結っていた時代の人々も、我々と同じく「なんか『めし』って言い方、下品じゃない…?」とか考えていたのかと思うと、なんだか勝手に親近感を感じてしまう。ぜひ、「おめし行こうぜー」を流行らせ…うん、流行る予感がしないのでやめておこう。
ちなみに「ごはん」も室町時代にできた言葉である。
室町時代に、古代中国の言葉である漢語「飯(はん)」という言葉が使われるようになり、その後「御(お)」を加えて丁寧にした「御飯(おばん)」という言葉になった。
これが少しずつ人々に広まっていき、江戸時代末期になると「お」が「ご」に変化して、現在と同じ「ごはん」の形となったのだ。
超おなかを空かせた状態で室町時代や江戸時代にタイムスリップしてしまっても、「めし! 」「ごはん! 」と言えばなんとかなるので、覚えておいても損はないだろう。
【追加雑学①】「めし」よりもっと前のご飯の呼び名
では室町時代よりも前にタイムスリップしてしまったらどうするのか…?
室町時代に「めし」という言葉ができる前は、ご飯のことをなんと呼んでいたのか知っておきたいところだ。答えは「いい」。室町時代よりも前には、米を炊いたり蒸したりしたもの全般をまとめて「いい」と呼んでいたそうだ。
つまり我々の知る「ごはん」の呼び方は、「いい」→「めし」→「ごはん」と変化してきたということになる。
ということは、あと何百年かすれば、「ごはん」もまったく違う言葉になっていても不思議ではない。
「了解」を「りょ」とか、「マジ」を「ま」とか、もう略さないでいいだろ! ってくらい略す世の中である。「ごはん」もそのうち「ご」とか「は」とかに変化してしまうのかもしれない…。
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【追加雑学②】地方限定!いろいろなご飯の呼び名
「めし」や「ごはん」など、米を表す言葉たちは、時代だけではなく、地方によってもいろいろなおもしろい呼び名があるのだ!
筆者が個人的に気に入ったものをいくつかご紹介しよう。
- おごわ…青森県の方言。「赤飯」のこと。これはなんだかわかる気がする。もち米の「おこわ」と似ているからだろうか。
- ちょーはん…新潟県の方言。「昼飯」のこと。なんだかチャーハンみたいだ。おいしそう。「きょーのちょーはんはチャーハン!」って早口言葉になりそうだ。
- がんだめし…千葉県の方言。「炊き損ねた、芯のあるごはん」のこと。がんだめしって強そう!!
- ごっくーさん…佐賀県の方言。「神様や仏様にお供えするごはん」のこと。これ、1番お気に入り。かわいい。
ごはんは、時代によっても地域によっても、さまざまな呼び名で愛されているのである。
雑学まとめ
今回は「ご飯」が「めし」といわれる由来についての雑学をご紹介した。
現在のいわゆるJK語も、あと数百年経ったら、「ごはん」と「めし」の違いの数倍は不思議な言葉に感じられるだろう。「あげみざわ」「卍(マンジ)」…由来や用法を説明するのに苦労する姿が目に浮かぶようだ。
しかし、なんとなく俗語っぽい「めし」の由来が、「召し上がるもの」なんて上品で綺麗な日本語だったというのも、一度聞いたら忘れないほど意外ではないだろうか。
「めし!」と言って嫌な顔をされた際には、ぜひこのトリビアを紹介してみてほしい。
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