土用の丑の日が近付くと、スーパーの魚コーナーにはウナギの蒲焼がたくさん売られている。やっぱり中国産より国産の方が身がふっくらしてておいしいわよね~、なんて声も聞こえてきそうだが、ウナギの血には毒が含まれているというなんとも不安になりそうな話も。
スーパーで売られているウナギは安全なの? 毒はないの? そんな不安を解消するべく、ウナギの血に関する雑学をご紹介しよう。
【食べ物雑学】ウナギの血は人間にとって有害?
【雑学解説】お刺身は危険!?ウナギの血には毒がある
ウナギやアナゴ・ウツボなどウナギ目の魚の血には、「イクチオヘモトキシン」という毒が含まれている。これは、フグのように猛毒というわけではないが、大量に摂取した場合は命にも危険がおよぶとのこと。
安心しておいしくウナギを食べるためにも、ウナギの血に含まれる毒について正しく理解しておこう。
ウナギの血の毒はどんな症状を引き起こす?
ウナギの血清毒を大量に飲んだ場合、考えられる症状は、下痢・嘔吐・皮膚の発疹・チアノーゼ・無気力症・不整脈・衰弱・感覚異常・麻痺・呼吸困難など。場合によっては死にいたるともされているが、実は日本国内での食中毒の正式な報告はないらしい。
ただし、ウナギの血が口・目・傷口などに入ると炎症を起こしたり、傷口が化膿したりすることもある。とくに目に入った場合は、灼熱感や結膜炎・まぶたの腫れとなることもあり、数日のあいだ違和感が続くという。
口に入ったときも、灼熱感を感じたり粘膜が赤くなったりすることがある。
ウナギの血を無毒化するには?
ウナギの血にはたしかに毒性があるが、そんなに心配しなくても大丈夫。60℃で5分加熱すれば、毒性が完全になくなるそうだ。
60℃で5分だから、普通に調理してあれば問題なく食べられるということ。安心安心!
ヒトに対する致死量は?
食中毒としての正式報告がないので、正確な致死量は不明なんだそう。マウスでの実験をもとにそれを人間に換算したとすると、体重60kgの人間に対する致死量は1000ml。牛乳パック1本分。
ん、1000ml? そんなに血を飲む人いる? ドラキュラか!
ということで、あまり怖がる必要はなさそうだ。ただ間違っても興味本位でウナギの血を飲んでみようなんて思わないように。
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【追加雑学①】ウナギを扱うときはこんな点に注意!
生きたウナギを扱うことはあまりないと思うが、幸運にもたまたま川や海でウナギを釣り上げることがあるかもしれない。中にはその辺の用水路でウナギが釣れた! なんて話も。いや、ほんとに釣れたら超ラッキー。
そんなときに注意しておきたいポイントを解説しよう。
できれば手袋を着用する
ウナギの血には毒性があるので、ここはやはり手袋をしておこう。手や指には、自分でも気付かないような傷ができていることもある。
そこからウナギの血が入ると、傷口が化膿したり炎症を起こしたりする可能性があるので、安全のためにも手袋がおすすめだ。
調理後は手洗いと調理器具の消毒を
ウナギに限らず食中毒を起こす原因となる食材に共通することだが、使った器具はその都度きちんと消毒しよう。手洗いもこまめにすること。
たとえばウナギを捌いた包丁で、そのまま刺身用の別の魚を捌くなんてことはしないように。
ウナギを捌くときは背開きがおすすめ
ウナギも含めて魚類というのは腹の部分に内臓がある。そのため、お腹から開いてしまうと血がたくさん出てしまう。
ウナギを捌くときは、内臓のない背中側から包丁を入れる背開きがおすすめだ。
お刺身で食べるより加熱した方が安心
やはりいちばん安心できるのは、しっかり加熱すること。
60℃で5分加熱すればウナギの血の毒性は完全に消えるので、食中毒の恐怖に怯えるくらいなら最初から熱を通してしまおう。
そもそもウナギは火を通してもふっくらおいしいし。
ここまでウナギの血には毒が~なんてちょっと怖いことばかりいってきたので、ウナギが食べたくなるような動画を紹介しよう。スーパーで売っているウナギはほとんどが加熱調理済で冷凍されているが、その冷凍のウナギの蒲焼をおいしく食べる方法だ。
謎のテンション。そして「あっついあっつい」の連呼。やけどには気を付けて。
買ってきて温めるだけじゃなく、ちょっとひと手間加えることで、臭みのないふっくらおいしい蒲焼の完成だ。あ…よだれが…。
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【追加雑学②】ウナギ表面のヌルヌルにも毒があった
ウナギの表面ってヌルヌルして気持ち悪~い! たしかにヌルヌル。しかしこのヌルヌル、実はこれにも毒があるのだ。
ウナギの表面を覆っているこのヌルヌルは、「ムチン」という糖を含んだたんぱく質。1日くらいならウナギが地上でも過ごせるくらい保水力が高いのだとか。
そして問題なのはその毒性。ウナギの血1mlが、マウス(体重20g)60~150匹の致死量であるのに対し、ムチン1gの致死量はマウス2000~8000匹分。そう、ウナギの血よりも実はヌルヌルの方が毒性が強いのだ。
ただこのムチンもウナギの血と同様、60℃で5分加熱すれば問題ないので、しっかり熱を加えてから食べるようにしよう。
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雑学まとめ
ウナギの血に関する雑学を紹介したが、普段口にするのはすでに調理済のものばかりなので、正直毒があるとは思ってもみなかった。
猛毒ではないが、炎症を起こしたり傷口が化膿したりする…。ウナギの調理人のおかげで、毒の心配もせずにおいしいウナギが食べられるってことか。
ウナギ調理人に感謝。ありがとう!
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