みなさんは、普段から習慣的に飲んでいるものはあるだろうか。朝は必ず野菜たっぷりのスムージ・寝る前は必ずウイスキーを少々など、人それぞれ違った習慣があるだろう。
その中でも、コーヒーを愛飲している、もしくは無意識のルーティーンとしてコーヒーを飲んでいる人は多いのではないだろうか。仕事の休憩中にほっと落ち着きたいとき。勉強の合間に気持ちを入れ替えたいとき。休日の読書中、コーヒーを片手になどといったこともあるだろう。
わたしたちの暮らしに寄り添い、癒してくれるコーヒーという飲み物。そのコーヒーがなんと、刑罰に使われていたというのだ。なぜコーヒーを刑罰に使用することになったのか。誰がそんなことを提案したのか。今回は、コーヒーにまつわる雑学をご紹介しよう!
【面白い雑学】18世紀のスウェーデンではコーヒーは刑罰に使われていた
【雑学解説】コーヒーが刑罰に使用された経緯とは?
コーヒーを刑罰に使用することを決めたのは、当時のスウェーデンの国王・グスタフ3世である。
その理由については、似ているが発想が異なる説が2種類ある。それぞれについて解説していこう。
①コーヒーが健康に与える影響を実験するため
スウェーデンにコーヒーが伝わったのは1674年頃だといわれている。しかしすぐに民衆に馴染んだわけではなく、18世紀になるまでは飲む人はほとんどいなかったという。グスタフ3世は、コーヒーは健康にとって悪影響を及ぼす可能性があると考えていた。
そこで、コーヒーが健康に与える影響を調べるため、人体実験をすることに決めたグスタフ3世。被験者は、犯罪を犯し囚人となっていた一卵性双生児である。
死刑囚だった彼らは、実験に参加することで終身刑に減刑されることを条件に、この実験の被験者になることを了承するのである。双子の1人には1日にポット3杯のコーヒーを飲ませ、もう1人には1日にポット3杯の紅茶を飲むよう命じた。
悪影響があると思われていたコーヒーを死ぬまで飲み続けるというのは、まるで拷問のような実験だった。2人の医師が監督する中、この実験は何年も何年も、まさに死ぬまで繰り返されたのである。
その結果、先に死亡したのは医者の2人。医者たちは老衰であったという。実験開始の際にすでに高齢だったのかはわからないが、2人ともが老衰で死亡したということは、ほんとうに長い年月に及び、実験は繰り返されていたのだろう。
そして次に死亡したのは、なんとグスタフ3世だった。1792年に暗殺され、実験の結果を見届けることなく死亡してしまう。グスタフ3世の死後、この実験が継続されたかは定かではない。
その後とうとう双子が死亡するのだが、先に死亡したのは紅茶を飲んでいた方であった。享年83歳だったというのだが、病死などの記録がないことから、明確ではないが老衰だったのではないだろうか。結局コーヒーを飲んでいた方は誰よりも長く生き、いつ死亡したのかはわかっていない。
これが、コーヒーが国民に悪影響を与えないように、囚人を使って人体実験をした(当時で考えると)国民思いの国王の説である。
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②苦いコーヒーを毒だと思い込み、囚人を罰するために使用した
コーヒーを、飲み続けると徐々に体が弱っていく毒のようなものだと思い込んでいたグスタフ3世は、囚人への拷問に使用することを思いついたという。
どれほどの効果が表れるのか比較するため、2人の囚人にコーヒーと紅茶を飲ませることにしたのだ。
その後の流れは先に書いた理由と同じく、医者が死亡し、グスタフ3世が暗殺され、最後まで生き残ったのはコーヒーを飲んでいた囚人である。
この話はどちらかというと、刑を科せられた人物が結局1番長生きしたという、コメディ要素を含めて伝わった話なのではないだろうか。
拷問の廃止・死刑の激減・信仰の自由・言論の自由を認め、国民からの人気が非常に高かったといわれているグスタフ3世であることから、自ら拷問のために使用したとは考えにくいように思う。
「コーヒーと刑罰」の雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。今わたしたちの暮らしの中に当たり前に存在するコーヒーに、こんな過去があったとは驚きである。減刑されるにしろ、真っ黒の苦い液体を飲まされた方は気が気じゃなかっただろう。紅茶を飲んでいた方は、ただの優雅なティータイム…。
コーヒーを飲む方と紅茶を飲む方がどのように決められたかはわからないが、天と地の差とはこのことだろう。コーヒーを飲むことになった方の心中はお察しする。
スウェーデンでは、政府によりコーヒー禁止令が幾度も発令されている。コーヒー禁止令が撤回されたあとは、瞬く間に人気のある飲料となった。だめ! といわれたものほど興味をそそるのは、世界各国共通なのだろうか。
しかし何事も適量というものはある。健康に影響のないよう、これからもコーヒーと長い付き合いをしていきたいものだ。
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