昔から、筆者は疑問に思っていることがある。
「どうして、人はうんちを汚いと思ってしまうのか?」
うんちとは、口から入れた食べ物が腸内で消化されて、おしりから出てきたカスである。元は我々の舌を楽しませてくれた食べ物であったはずなのに、どうして肛門から出てきた段階でこれほどまでに嫌われてしまうのだろうか? どうして再び口の中に入れられないのか? それは臭いからなのか? 自問自答の日々である。
そんな鼻つまみ者のうんち、実は薬の原料になっているのである。しかも、われわれ人間のうんちだ。今回は、世間のうんちに対する固定概念を覆したいという思いから、この雑学記事を書くことにした。
【面白い雑学】人間のうんちからできた薬がある
【雑学解説】人間のうんちを用いた漢方・人中黄
うんちといったら、口に入れたくないものナンバーワンといっても過言ではないであろう。大腸菌がウヨウヨいるうんちを食べてしまうのは、体に良くないともいわれている。(うんちを食べても、人体に可も不可もないという説もある。)
しかし、そんな嫌われ者の人間のうんちから作られた薬が存在するのである! それは、「人中黄(じんちゅうおう)」と呼ばれる漢方薬だ。ちなみに漢方薬とは、中国の医学をベースに日本で発展した漢方医学で用いられる薬のことである。
さて、作り方をさらっとご紹介しよう。必要なものは、甘草・片面だけ節がついている竹筒・人間のうんちがたまった便壺である。なお便壺がない場合、肥溜めでも問題はないようだ。
まず、荒目に挽いた甘草を竹の筒の中に入れ、節が付いていない方を布で覆う。それを便壺の中に漬け込むこと2~3か月。この作業は冬に行うのだそうだ。あとは便壺から取り出して、臭いがなくなるまで自然乾燥すれば、人中黄の出来上がりである。
気になる効能だが、高熱・かぶれを伴う急性の伝染病・丹毒という皮膚の化膿性の炎症などに良いのだそうだ。ちなみに、甘草自体の効能としては解毒・鎮痛作用がある。甘草は様々な毒に効く万能の生薬としてよく漢方に用いられているのだが、そこにうんちを足す意味はあったのだろうか…。
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【追加雑学】人間のうんちは人々の生活に役立ってきた
ちょっと引いてしまった読者もいらっしゃるかもしれない。しかし人間のうんちというのは、我々の生活に役立ってきた有益な存在なのである。
今回は、うんちに対する世間の目が変わってほしいと願う筆者が、その具体例をご紹介しよう!
江戸時代、日本では人間のうんちは売り物であった。「金肥(きんぴ)」と呼ばれ、肥料として売買されていたのである。東アジアにはこの風習はわりとあるのだが、動物ではなく人間のうんちを肥料として使う風習は、世界全体で見てみるとレアなんだそうだ。
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また、人間のうんちを使った民間療法も存在する。
岩手県の一部地域では、虫歯が痛むときには便器にこびりついたうんちカスを患部に詰めていたのだという。また、フグの毒に人間のうんちが効くなんていうことが、江戸時代の「救民妙薬」という書物には記されている。
さらに日本国内だけでなく、中国・朝鮮半島そしてヨーロッパにさえ、民間薬として人間のうんちが使われてきたという歴史があるのだ。うんちは人類を救うのである!
「いやいや、民間療法なんて科学的に立証されていないガセでしょ?」とお思いの読者。近年では、「便移植」という立派な医学的治療方法まで登場している。
これは、健康な人間のうんちの中に含まれている腸内細菌を、クローン病や潰瘍性大腸炎の患者に大腸内視鏡を用いて投与するというものである。近年開発されたばかりの新しい治療方法ではあるが、今後の発展が期待されているのだ。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。うんちは、ただの鼻つまみ者ではない。薬や肥料として、われわれ人間の生活をより豊かにしてくれる存在なのである。
「臭い」・「見るからに汚い」と嫌っていてはいけない。「人間見た目じゃない」というではないか! その見た目に惑わされず、うんちだってなかなか使えるヤツだということを忘れないでほしい。
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