みんな大好き中華料理。チャーハンやラーメン、餃子など、安くてお腹いっぱい食べられる中華は庶民の強い味方だ。
その一方で超高級中華食材も存在する。「中華三大珍味」といえばフカヒレ・干しアワビ・ツバメの巣なのだそうだ。すべて食べたことがある人はどれほどいるだろうか。
この珍味の中で一番想像できないのが「ツバメの巣」である。
筆者は実は台湾の結婚式に招かれた際に口にしたことがあるのだが、なんかもう文章にできないくらい複雑で滋味深い味わいだった…ハッ、思い出したらヨダレが…!
まさか日本の軒先で見られるあのツバメの巣ではないだろう。食材としてのツバメの巣の正体は、一体何なのだろうか?
【食べ物雑学】中華三大珍味"ツバメの巣"の正体とは?
【雑学解説】ツバメの巣はヨダレ…?
日本には5種類ほどのツバメが存在するが、なんと分類上はスズメ目。食用のアナツバメは東南アジアに生息し、「アマツバメ目アマツバメ科アナツバメ族」だそう。「アマ」と「アナ」は誤植ではない…! めっちゃややこしいぞ!
日本のツバメの巣は泥や草で作られ、とても食べられる物ではないのだが、アナツバメの巣は真っ白に透き通っていて、はかない見た目だ。
なんとこれ、アナツバメの唾液で出来ている! 泥や草よりはいいものの、我々がありがたがって食べているのは、なんとツバメのヨダレなのだ。
とはいえこのヨダレが珍味たる理由で、免疫機能を向上させるといわれる「シアル酸」がローヤルゼリーの約200倍も含まれているんだとか。中国で薬膳料理として出される理由もよく分かる。
ちなみに、アナツバメは洞窟の中に集団で巣を作るので、その営巣地は圧巻の一言である。あまりに貴重なツバメとその巣を守るため、マレーシア政府は洞窟を24時間体制で厳重管理している。
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【追加雑学①】日本人の「ツバメの巣ハンター」
ツバメの巣は貴重品ということもあり、残念ながら偽物が横行している。現地での採集にはマレーシア政府の許可が必要なので、本物の入手は非常に難しいのだ。
アナツバメは一度使った巣はもう使わず、子育てのたびに新しい巣を作る。そのため、捨てられた古い巣を採集すればアナツバメの迷惑にもならない。生体保護のために厳重管理され、採集許可証をもらった人は「ツバメの巣ハンター」と呼ばれるのだそうだ。
洞窟をロープ1本でツバメの巣まで登り切る命がけの採集だが、なんと日本にも唯一のツバメの巣ハンターが存在する。健康食品などを販売するエムスタイルジャパンの社長、稲冨幹也氏だ。
偽物の横行に困った稲富氏は、社長みずから洞窟に挑んでツバメの巣を採ってくることを選んだのだという。なんとも豪胆だ。
【追加雑学②】ツバメ専用マンション登場
アナツバメは断崖絶壁のある洞窟にしか巣作りしないので、今まで養殖は不可能とされていた。だからこそ生態を保護するため、採集にも厳密なルールが必要だったのだ。
ところが最近、ついにアナツバメの養殖が可能になったという。通称「ツバメ専用マンション」は、最新ツバメの巣ビジネスとしてミャンマーを中心に大流行らしい。
使われるのはなんと普通の人間用のマンション! ツバメが出入りする窓、その一か所以外を全てふさいだ異様な光景だ。現地では、「人間よりツバメ用にした方が儲かる」といわれている。
アナツバメを惹きつけて営巣させるために、ツバメをおびき寄せる周波数の音を発生させるのだが、それが騒音問題になることと、ツバメの糞による被害もあって、近隣住民とトラブルになっている。
「ツバメの巣」の雑学まとめ
ツバメの巣についての雑学をご紹介してきた。人の免疫機能を大幅にアップさせるらしい「シアル酸」。ツバメの巣がローヤルゼリーの200倍も含有しているとは恐れ入った。
一度は口にしてみたいけれど、ミャンマーでの2018年のツバメの巣取引価格は、1.6kgで25万円。採集のための許可証でさえ約16万円でオークションに出されるくらいだから、これでは偽物が横行するわけだ。
アナツバメは東南アジア以外には生息しないので、間違えても日本のツバメの巣を採ったりしないようにしよう。
日本のツバメは毎年同じ巣を使う。万が一壊してしまうとかわいそうだ。残念ながら、日本ではツバメビジネスによる一攫千金は夢のまた夢である。
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